英語の文章を読む・書くうえで欠かせない記号が apostrophe(アポストロフィー:') です。
Tom's car や don't、it's など日常的に目にする一方で、「s' と
's の違いは?」「it's と its
はどう違う?」「複数形にアポストロフィーは必要なの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- apostrophe の基本概念と2大役割
- 所有格を作る時の付け方(
'sとs'の使い分け) - 縮約形(contraction)での省略箇所の示し方
- 【超重要】間違えやすい
it'sとitsの使い分け - 「sで終わる名前(James)」や「連名」での所有格ルール
- ネイティブでも間違える誤用(Greengrocer's apostrophe)
- 引用符(シングルクォート)との違い・キーボード表記マナー
1. まず押さえる!Apostrophe(アポストロフィー)の2大役割
apostrophe は、英語の句読点(punctuation mark)の一種で、形状は '(または曲線の
’)です。
アポストロフィーが持つ主な役割は、大きく分けて次の 2つです。この原則を押さえるだけで、使い方の大部分を理解できます。
├── ① 所有を表す(Possession)
│ └── 例:Tom's book, the dogs' owner, children's toys
└── ② 文字・数字の省略を表す(Omission / Contraction)
└── 例:don't (do not), it's (it is), '90s (1990s)
重要な原則: アポストロフィーは「単なる名詞の複数形」を作るためには原則使用しません(例:two apples ⭕ /
two apple's ❌)。
2大役割の代表例で比較
| 表現 | 役割の分類 | 元の形・仕組み | 意味 |
|---|---|---|---|
| cat's | 所有格(単数) | cat + 's |
猫の(1匹) |
| cats' | 所有格(複数) | cats + ' |
猫たちの(複数匹) |
| can't | 縮約(文字省略) | can not(o等の省略) |
〜できない(cannot) |
| it's | 縮約(文字省略) | it is(iの省略) |
それは〜です(it is) |
2. Apostrophe の主な役割①:所有格を作る(Possession)
名詞の後ろにアポストロフィーを付けることで、「〜の(所有・所属・関係)」という意味の所有格を作ります。名詞が単数か複数かによってルールが変わります。
① 単数名詞の所有格: 語尾に 's を付ける
単数名詞に所有格を作る場合、語尾に関わらず原則として 's を付けます。
| 単数名詞 | 所有格表現 | 意味 |
|---|---|---|
| my friend | my friend's house | 私の友人の家 |
| the doctor | the doctor's opinion | その医者の意見 |
| today | today's news | 今日のニュース |
s で終わる固有名詞(James, Chris など)の所有格
James や Chris、Keats のように、最初から語尾が s
で終わる単数固有名詞の場合、次の2通りの表記が存在します。
- James's car(
'sを付ける表記:現在の標準的文法・スタイルガイドで主流) - James' car(
'のみを付ける表記:報道機関スタイルや旧来の伝統表記)
※現代のスタイルガイド(Chicago Manual of Style, APA Style など)では、口語での発音(ジェームズィズ /ˈdʒeɪmzɪz/)に合わせて
James's と書くことが強く推奨されています。どちらを使っても間違いではありませんが、文書内での統一が重要です。
② 複数名詞の所有格: s で終わる場合は
' のみ
複数形が s で終わる一般的な名詞の場合、すでに s があるため、アポストロフィー '
のみを最後に追加 します(s's にはしません)。
| 複数名詞 | 所有格表現 | 意味 |
|---|---|---|
| my parents (sで終わる) | my parents' house | 両親の家 |
| students (sで終わる) | the students' locker room | 生徒たちのロッカー室 |
| girls (sで終わる) | the girls' school | 女子学校 |
不規則複数形(children, men, people など)の場合
children や men、women、people のように
語尾が s で終わらない不規則複数形 の場合は、単数名詞と同じく 's を付けます。
・women's clothing(婦人服)
・people's rights(人々の権利)
③ 連名(2人以上)の場合:共同所有と個別所有
「〜と〜の」と2人以上の名前を並べるとき、所有している対象が「共同」か「個別」かによってアポストロフィーの位置が変わります。
| 表現 | 所有の状態 | 解説・意味 |
|---|---|---|
| Jack and Jill's house | 共同所有(1つの家) | ジャックとジルが共同で住んでいる家 |
| Jack's and Jill's cars | 個別所有(それぞれの車) | ジャックの車と、ジルの車(それぞれ別々) |
3. Apostrophe の主な役割②:縮約形・省略を表す(Contraction & Omission)
アポストロフィーのもう1つの重要な役割は、省略された文字(数字)の位置を示すこと です。
① 語句の縮約(Contraction)
日常会話やカジュアルな文章では、2つの単語を合体させて1つの短縮形(縮約形)にします。省略された文字のスペースにアポストロフィーを置きます。
| 縮約形 | 元の表現 | 脱落(省略)している文字 |
|---|---|---|
| don't | do not | o(do not) |
| can't | cannot | no(cannot) |
| I'm | I am | a(I am) |
| they're | they are | a(they are) |
| he's | he is / he has | i(he is)または ha(he
has)
|
| we've | we have | ha(we have) |
| I'll | I will / I shall | wi(I will) |
| you'd | you would / you had | woul または ha |
② 年号や数値の省略
西暦の上2桁を省略する際にも、先頭にアポストロフィーを付けます。
- the '90s (= the 1990s:1990年代)
- the class of '24 (= the class of 2024:2024年卒業組)
③ 発音・口語表現の省略表記
詩、歌詞、セリフなどで、会話の自然な脱落音(gの発音省略など)を視覚的に表現する際にも用いられます。
- rock 'n' roll (= rock and roll:and の a と d が脱落)
- singin' (= singing:g の脱落)
- o'clock (= of the clock の古い省略形)
4. 【超重要】間違えやすい!Apostrophe を使わないパターン
ネイティブスピーカーでも頻繁にミスする英語学習の最重要ポイントです。所有代名詞や限定詞にはアポストロフィーを付けません。
1番の難所: it's と its の超重要ルール
it's と its は発音が全く同じですが、文法的な役割が180度異なります。
| 表記 | 文法上の役割 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|---|
| it's (アポストロフィーあり) |
縮約形 (it is または it has) |
それは〜です/〜した | It's a nice day. (いい天気です。) |
| its (アポストロフィーなし) |
所有限定詞 (possessive determiner) (it の所有格) |
それの、その | The dog wags its tail. (犬が尻尾を振る。) |
迷ったら文章の
it('s) を it is に置き換えて声に出して読んでみる。・The company changed (it is / its) policy. → "The company changed it is policy" は不自然!だから its ⭕
・(It is / Its) raining outside. → "It is raining" は意味が通る!だから It's ⭕
所有代名詞にはアポストロフィーを絶対につけない
代名詞の所有格(my, your, his, her, its, our, their)や所有代名詞(yours, hers, ours, theirs, whose)は、代名詞自体が最初から「〜の」という意味を含んでいるため、アポストロフィーは不要です。
| 間違った表記 ❌ | 正しい表記 ⭕ | 意味・注意点 |
|---|---|---|
| your's / her's | yours / hers | あなたのもの / 彼女のもの('は不要) |
| our's / their's | ours / theirs | 私たちのもの / 彼らのもの('は不要) |
| who's car | whose car | 誰の車(who's は who is の意味になる) |
同音異義語の対比まとめ
- who's(= who is / who has) vs whose(誰の)
- you're(= you are) vs your(あなたの)
- they're(= they are) vs their(彼らの) vs there(そこに)
5. 複数形と Apostrophe の関係(「単なる複数形」にはつけない!)
① グリーングローサーズ・アポストロフィーとは?
単なる名詞の複数形に誤ってアポストロフィーを付けてしまうミスは、英語圏で "Greengrocer's apostrophe"(八百屋のアポストロフィー) と呼ばれます。店頭の看板などで「Apple's $1」「Banana's 50p」などの誤表記が多発することに由来します。
[正しい ⭕] I bought two apples.(所有の意味がないため ' は不要)
② 西暦・年代の表記(1990s vs 1990's)
「1990年代」を表す際、かつては 1990's と書かれることもありましたが、現代英語の文法・スタイルガイド(APA, Chicago,
AP等)では アポストロフィーなしの 1990s が標準 となっています。
- 1990s (⭕ 現在の標準・推奨表記)
- '90s (⭕ 先頭に ' を付ける省略表記)
- 1990's (⚠️ 現代のスタイルガイドでは非推奨)
③ 【例外】文字・記号の複数形
原則として複数形にアポストロフィーは使いませんが、アルファベット1文字や文字の複数形
で、アポストロフィーを付けないと別の単語と見誤る危険がある場合には、例外的・可読性のために 's を付けることが認められます。
・She got all A's on her test.(As=前置詞の as と区別するため A's)
6. 引用符(Single Quotes)との違いと入力・表記マナー
アポストロフィーは文字入力やタイポグラフィ(印刷・WEB表記)において、シングルクォーテーション(引用符)と混同されやすい記号です。
① 引用符(Single Quotation Marks)との違い
イギリス英語などで使われるシングルクォート '...'
は、語句の引用を囲むための記号(開始と終了のペア)です。一方、アポストロフィーは単語の一部として特定の文字に直接付着します。
② ストレートクォートとカーリークォート
フォントや入力環境によってアポストロフィーの形状が変わります。
- ストレートアポストロフィー(
'): キーボードで直接入力されるまっすぐな記号(Webやプログラミング等で汎用的に使用)。 - カーリー(スマート)アポストロフィー(
’): 印刷物や出版物で使われるカギ状の記号(文字コード’/U+2019)。
'90s(1990年代)をカーリークォートで書く場合、左開きのシングルクォート ‘90s ❌
になってしまう自動変換エラーがよく起こります。脱落記号のアポストロフィーであるため、向きは ’90s ⭕(右閉じの向き)
が正解です。
7. FAQ(よくある質問)
Q1. James の所有格は James's ですか? James' ですか?
A. どちらも文法的に存在しますが、現代英語では James's が推奨されます。
発音(ジェームズィズ)に合わせて 's を付けるスタイル(Chicago Manual of Style等)が一般的です。ただし報道系など
James' を採用するスタイルガイドもあります。
Q2. it's と its の一番簡単な見分け方は?
A. 「it is」に入れ替えて意味が通るかどうか試してください。
通るならアポストロフィーありの it's(= it is)、通らないならアポストロフィーなしの its(〜の)です。
Q3. 複数形の名詞にアポストロフィーをつけてもいいですか?
A. 原則としてダメです。
「所有」を表す場合(cats' toys)を除き、単に「リンゴ2個(two apples)」のような複数形を作るためにアポストロフィーを使うのは誤りです。
Q4. 1980年代は 1980s ですか? 1980's ですか?
A. 1980s が現代の標準的な表記です。
1980's と書くスタイルもかつては存在しましたが、現代のスタイルガイドではアポストロフィーなしが推奨されます。省略して書く場合は
'80s とします。
Q5. who's と whose はどう違いますか?
A. who's は「who is / who has」の縮約形で、whose は「誰の」という意味の所有代名詞です。
例:Who's coming?(誰が来るの?) / Whose coat is this?(これは誰のコートですか?)
Q6. Boss の複数形所有格はどう書きますか?
A. bosses' と表記します。
単数は boss(所有格:boss's)、複数形は bosses なので、複数所有格は
s の後ろに ' のみを付けて bosses' となります。
8. まとめ
Apostrophe(アポストロフィー)を正しく使うための重要ルールを整理します。
- アポストロフィーの役割は「所有(Possession)」と「省略(Omission)」の2つだけ
- 単数名詞の所有格は
's(例:Tom's car,James's book) sで終わる複数名詞の所有格は'のみ(例:my parents' house)- 不規則複数形は
's(例:children's toys) - 縮約形は省略された文字の位置に置く(例:
don't,can't,I'm) it's= it is / it has の略、its= それの(所有格・所有限定詞には ' は不要)yours,hers,ours,theirs,whoseにアポストロフィーは絶対つけない- 単なる複数形にアポストロフィーは使わない(Greengrocer's apostrophe の回避)
- 年代表記は
1990sまたは'90sが現代標準
アポストロフィーは小さく目立たない記号ですが、一文字あるかないかで文章の文法構造や意味が大きく変わります。
「所有か省略か」の原則と it's / its の区別をマスターして、正確で読みやすい英文を作成しましょう。
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