英語学習や文法解説、辞書などを読んでいると、bare infinitive(原形不定詞 / toのない不定詞) という用語によく出会います。
「不定詞」といえば to + 動詞の原形(to-infinitive)を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、英語には to
を伴わずに動詞の原形だけで不定詞の役割を果たす表現が存在します。それが bare infinitive です。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- bare infinitive(原形不定詞)の基本的な意味
- infinitive / to-infinitive / bare infinitive / base form の違い
- 助動詞(can, must など)の後ろで使われる理由
- 使役動詞(make, let, have)と知覚動詞(see, hear など)での構文
- 慣用表現(had better, would rather, why not)での使い方
- 受動態(受ける形)になると
toが復活する超重要ルール helpや擬似分裂文など間違いやすい発展的パターン
1. まず押さえる!Bare Infinitive は「toのつかない不定詞」
bare infinitive は、日本語で「原形不定詞」や「toのない不定詞(infinitive without to)」と呼ばれます。
"bare" には「裸の」「包まれていない」という意味があり、to という衣(ころも)を脱いだ「裸の不定詞」=動詞の原形そのものの形を指しています。
Cambridge Dictionary でも、不定詞には to-infinitive(例: to speak)と
infinitive without to / bare infinitive(例:
speak)の2つの形態があると説明されています。
[Cambridge Dictionary:
Infinitives with and without to]
Infinitive(不定詞)の全体像
不定詞は、大きく2つのタイプに分類されます。
├── To-infinitive(to 不定詞:to + 動詞の原形)
│ └── I want to go home. / It is easy to learn.
└── Bare infinitive / Infinitive without 'to'(原形不定詞:動詞の原形単体)
├── 助動詞の後ろ: You must go.
├── 使役動詞の補語: She made me laugh.
├── 知覚動詞の補語: I heard him sing.
└── 慣用構文: You had better stay here.
代表例で比較
| 文法分類 | 形態 | 例文 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| To-infinitive | to + 原形 |
I decided to study. | 勉強することに決めた。 |
| Bare infinitive | 動詞の原形のみ |
She can speak French. | 彼女はフランス語を話せる。 |
| Bare infinitive | 動詞の原形のみ |
He made me clean the room. | 彼は私に部屋を掃除させた。 |
| Bare infinitive | 動詞の原形のみ |
I saw her cross the street. | 私は彼女が通りを渡るのを見た。 |
2. 関連語:「Infinitive」「To-Infinitive」「Bare Infinitive」「Base Form」の違い
英文法では似たような用語が多く使われるため、それぞれの関係性を正しく整理することが大切です。
| 用語 | 和訳 | 意味と役割 |
|---|---|---|
| Infinitive | 不定詞 | 動詞の原形をベースにした非時制形(主語や時制によって変化しない形)の総称。 |
| To-infinitive | to 不定詞 | to + 動詞の原形。名詞・形容詞・副詞的用法を持つ。 |
| Bare infinitive | 原形不定詞 | to を伴わない不定詞。助動詞や使役・知覚動詞の後に置く。 |
| Base form | 原形・基本形 | 辞書の見出し語になっている動詞のそのままの形(例: go, eat,
be)。形態上の用語。
|
「Bare Infinitive」と「Base Form」の違いは?
形自体はどちらも go や eat のように同じですが、Base
Form(原形)は「単語の形(形態)」を指し、Bare Infinitive(原形不定詞)は「文構造の中での機能・役割」を指します。
go は現在形の「述語動詞(finite
verb)」です。・She will go to school. → この
go は助動詞の後に続く「原形不定詞(bare
infinitive)」です。
3. Bare Infinitive(原形不定詞)を使う代表的なパターン
原形不定詞が登場する代表的なパターンは、主に以下の5つです。
① 法助動詞(Modal Auxiliaries)の後ろ
英語の助動詞(法助動詞)の後ろには、原則として bare infinitive(原形不定詞) が続きます。
対象となる主な法助動詞:can, could, may, might,
will, would, shall, should,
must
| 助動詞 | 例文 | 意味 |
|---|---|---|
| can | She can speak three languages. | 彼女は3か国語を話すことができる。 |
| must | You must finish this work today. | 今日中にこの仕事を終わらせなければならない。 |
| should | We should help each other. | 私たちは助け合うべきだ。 |
※ただし ought to や used to などの擬似助動詞(semi-modals)は、歴史的な成り立ちから
to を含みます。
② 使役動詞(make / let / have + O + bare infinitive)
「〜に…させる」「〜に…してもらう」という意味を表す使役動詞の構文 [ S + 動詞 + O(目的語) + Bare Infinitive ] で使われます。
| 動詞 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|
| make | 強制的に〜させる | My boss made me work overtime.(上司は私に残業させた。) |
| let | 〜することを許可する | Please let me know your schedule.(スケジュールを知らせてください。) |
| have | (当然のこととして)〜してもらう | I'll have my assistant call you.(アシスタントに電話させます。) |
注意:get は to-infinitive をとる
「〜させる」という意味の動詞でも、get は原形不定詞ではなく to-infinitive をとります(例:
I got him to repair my car.)。間違えやすい重要ポイントです。
③ 知覚動詞(see / hear / watch / feel + O + bare infinitive)
「Oが〜するのを見る/聞く/感じ取る」という構文 [ S + 知覚動詞 + O + Bare Infinitive ] で使われます。
主な知覚動詞:see, watch, hear, listen to,
feel, notice, observe など
| 動詞 | 例文 | ニュアンス |
|---|---|---|
| see | I saw a thief enter the building. | 泥棒が入るのを目撃した(一部始終) |
| hear | We heard someone shout in the hallway. | 誰かが叫ぶ声(動作の一部始終)を聞いた |
| feel | She felt the ground shake during the earthquake. | 揺れるのを感じた |
現在分詞(-ing)との違い
原形不定詞(see O do)は「動作の全体(始めから終わりまで)」を指すのに対し、現在分詞(see O doing)は「動作が進行中の一瞬・場面」を強調します。
④ 慣用表現(had better / would rather / why not など)
特定の慣用フレーズの後には、to をつけずに原形不定詞を置きます。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| had better | 〜したほうがよい | You had better see a doctor.(医者に見てもらったほうがいい。) |
| would rather | むしろ〜したい | I would rather stay at home.(むしろ家にいたい。) |
| Why not...? | 〜してはどうですか? | Why not join us for lunch?(昼食を一緒にどう?) |
| cannot but | 〜せざるを得ない | I cannot but admire his courage.(彼の勇気に感心せざるを得ない / 彼の勇気を称賛せざるを得ない。) |
⑤ help(〜を手伝う・〜が…するのに役立つ)
help は、後ろに to-infinitive または bare infinitive
のどちらも取ることができる特殊な動詞です。
・Can you help me to clean the room?(to 不定詞:ややフォーマル / イギリス英語)
どちらの形も標準的に使用されます。
4. 【超重要】受動態になると to 不定詞に変わる注意点
使役動詞 make や知覚動詞を使った能動態の文では bare infinitive
を使いますが、これらを受動態(受け身)に書き換える場合は to が復活して to-infinitive に変わります。
試験や英作文でも非常に間違いやすい重要ルールです。
1. 使役動詞 make の受動態
clean)[受動態] I was made to clean the room by her.(to 不定詞
to clean に変化!)
2. 知覚動詞 see / hear の受動態
enter)[受動態] He was seen to enter the shop.(to 不定詞
to enter に変化!)
能動態では動詞と目的語(
made me clean / saw him enter)の間に境界がありスムーズに読めましたが、受動態になると
was made clean / was seen enter
のように動詞の過去分詞と原形が直接隣り合ってしまい、文の構造が紛らわしくなります。そのため、音や意味の区切りを明確にするために to が補われます。
※使役動詞の let や have は通常この形で受動態にせず、be allowed to や
be asked to など別の表現に言い換えます(例: I was allowed to go.)。
5. Bare Infinitive を使う特殊な構文
文法的に少し高度ですが、ライティングや論文・ニュース記事でよく見られる原形不定詞のパターンです。
① 擬似分裂文(Pseudo-cleft sentences)
All / What ... do is ... (〜することは…だけだ)の構文では、be動詞の補語として bare infinitive
が好まれます。
(私がしたことは単に質問をしただけだ。)
・What you need to do is press this button.
(あなたがすべきことはこのボタンを押すことだ。)
【混同注意】仮定法現在(要求・提案動詞の that 節)※Bare Infinitive ではない構文
suggest, insist, recommend などの後の
that 節中では、アメリカ英語等で動詞の原形(base form)が使われますが、文法的には定形節の仮定法現在(subjunctive)であり、不定詞(bare infinitive)とは別の構文です。
(彼は彼女が出席することを提案した。)
・The doctor recommended that he take a rest.
(医師は彼が休養をとるよう勧めた。)
② Emphatic do(強調の do)
動詞の直前に do / does / did を置いて意味を強調する場合(Emphatic do)、助動詞
do の後ろには bare infinitive(原形不定詞) が続きます。
(あなたが成功することを心から願っています。)
・She did tell me the truth.
(彼女は確かに私に真実を話してくれた。)
③ except / but の後ろ
do を伴う表現の後ろにある except や but の後ろには、bare infinitive
が続きます。
(彼は文句を言うこと以外何もしない。)
・There was nothing to do but wait.
(待つよりほかに仕方がなかった。)
6. 辞書や文法書でよく見かける表記
英英辞典や文法解説書(Cambridge, Oxford, Longman など)では、原形不定詞をとる動詞の型が以下のような記号・略称で表記されています。
| 辞書等の表記 | 正式名称・意味 | 該当する動詞の例 |
|---|---|---|
| [+ bare inf] | bare infinitive を伴う | modal verbs (can, must) |
| [V + obj + bare inf] | Verb + Object + Bare Infinitive | make, let, see, hear |
| [infinitive without to] | to なしの不定詞 | had better, would rather |
7. 知っておくと役立つ豆知識
① help O do と help O to do のニュアンス差
どちらも文法的に正しいですが、bare infinitive(help O do) を使うと「直接手助けして一緒に動いた」感覚が強くなり、to-infinitive(help O to do) を使うと「間接的な支援や環境づくり」を暗示することがあります。
② see O do と see O doing の違い
・I saw her cross the street.(原形不定詞: 渡り始めてから渡り終わるまでを見た)
・I saw her crossing the street.(現在分詞: 渡っている最中のシーンを目撃した)
一瞬の動作や全過程か、途中の状態かで使い分けます。
③ had better の否定形の位置
had better の否定文を作る際、not は bare infinitive の直前に置きます(例:
You had better not go there.)。had not better
にしないよう注意しましょう。
④ why と why not の省略疑問文
提案や理由を尋ねる口語表現 Why pay more?(なぜ余計にお金を払う必要があるのか?)や
Why not ask him?(彼に聞いてみたら?)の動詞は、すべて bare infinitive(原形不定詞)です。
8. FAQ(よくある質問)
Q1. bare infinitive と動詞の原形(base form)の違いは何ですか?
A. 形は同じですが、文法的役割の呼び方が異なります。
Base form は辞書の見出し語のような「単語の元の形」を指すのに対し、bare infinitive は文中で to を伴わずに不定詞として機能している状態を指します。
Q2. なぜ "bare" と呼ばれるのですか?
A. "bare" は「露出した」「何も身につけていない」という意味だからです。
通常の不定詞が身につけている to を伴っていない(裸の)形であることから、bare infinitive と呼ばれます。
Q3. 使役動詞の get はなぜ bare infinitive を使わないのですか?
A. 語源的・文法的な成り立ちの違いによるものです。
get は「説得して〜させる」という方向性(to)を強く持つため、get O to do のように to 不定詞をとります。
Q4. 知覚動詞の後に to 不定詞が来ることは絶対にないのですか?
A. 能動態では来ませんが、受動態になると to 不定詞に変わります。
例: He was seen to enter the room.(受動態では to が復帰します)。
Q5. help の後ろの to は省略するのが普通ですか?
A. 日常会話や現代アメリカ英語では省略(bare infinitive)が一般的です。
help me do が主流ですが、help me to do も文法的に間違いではありません。
Q6. had better の後に to をつけてはいけませんか?
A. はい、つけません。
had better は助動詞のように振る舞うため、直後には必ず bare infinitive(原形不定詞)が来ます(✕
had better to go)。
Q7. Bare infinitive の否定形はどう作りますか?
A. 原形不定詞の直前に not を置きます。
例: You had better not leave. / I would rather not say.
Q8. let の受動態はどう作りますか?
A. let は通常 be made to do のようには受動態にせず、be allowed to を使います。
例: I was allowed to enter.(✕ I was let enter / to enter
とは通常いいません)。
9. まとめ
Bare Infinitive(原形不定詞)を理解するための重要ポイントを整理します。
- Bare Infinitive は
toを伴わない動詞の原形による不定詞 - 形は動詞の原形(base form)と同じだが、文中での機能(不定詞)を指す
- 法助動詞(
can,must,should等)の後ろで使われる - 使役動詞 make / let / have + O + bare infinitive で使われる
- 知覚動詞 see / hear / watch / feel + O + bare infinitive で使われる
- 慣用句(
had better,would rather,why not)の後ろで使われる helpは to-infinitive と bare infinitive の両方が使える- 受動態になると
toが復活する(例:be made to do/be seen to do) - 擬似分裂文(
All I did was ask)や except / but の後などの特殊構文でも用いられる(※仮定法現在は別構文) - 否定形は bare infinitive の直前に
notを置く
原形不定詞は「なぜここで to がないのか?」「受動態でなぜ to が付くのか?」という疑問をクリアにするための非常に重要で応用範囲の広い文法概念です。
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