Cleft sentence(分裂文・強調構文)とは?種類・作り方・見分け方を徹底解説

「まさに彼がその窓を割った」「私が欲しいのはこれだ」など、特定の情報を際立たせる分裂文(cleft sentence)。It is ... that 強調構文から What節を使う疑似分裂文(wh-cleft)、形式主語構文との見分け方まで詳しく解説します。

英語で会話や文章を作成するとき、「他の誰でもなく彼なんだ」「私が言いたいのはこういうことだ」のように、特定の情報にスポットライトを当てたい場面があります。その際に使われる文法構造が cleft sentence(分裂文) です。

日本の学校英文法では一般に「It is ... that ... の強調構文」として親しまれていますが、現代言語学や英語教育では、1つの文を2つの節に「分裂(cleft)」させて焦点を生み出すことから cleft sentence(分裂文) と呼ばれます。

この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。

  • cleft sentence(分裂文)の基本的な仕組みと語源
  • It-cleft(強調構文) の作り方と強調できる要素
  • Wh-cleft(疑似分裂文 / pseudo-cleft) と倒置形
  • 【最重要】強調構文形式主語構文(It is ... that) の見分け方
  • 普通の文と分裂文で生まれる「ニュアンスや焦点(フォーカス)」の違い
  • 人称代名詞の格や動詞の一致など、間違えやすい文法ポイント

1. まず押さえる!Cleft sentence(分裂文)の全体像と仕組み

cleft sentence は、1つの単純な文を2つの節(clause)に分割し、伝えたい特定の語句を際立たせる文構造です。

cleft は、動詞 cleave(〜を割る、引き裂く)の過去分詞形で、「割られた、分裂した」を意味します。1つのメッセージを「強調したい新情報(焦点)」と「すでに分かっている前提情報」の2つに切り分けるため、言語学で「分裂文」と名付けられました。

Cambridge Dictionary でも、cleft sentence について「1つのメッセージを2つの節に分割(cleft)し、新情報や強調したい部分に焦点を当てる構文」と説明しています。
[Cambridge Dictionary: Cleft sentences]

Cleft sentence の全体像

分裂文は、大きく分けると It-cleft(It分裂文 / 強調構文)Wh-cleft(wh分裂文 / 疑似分裂文) の2つに分類されます。

Cleft sentence(分裂文)
├── It-cleft(It is ... that / 一般的な強調構文)
│    └── It was Tom that broke the window.
├── Wh-cleft / Pseudo-cleft(疑似分裂文:What節などで始める)
│    └── What I need is your help.
├── Reversed wh-cleft(倒置疑似分裂文:強調要素を文頭に置く)
│    └── Your help is what I need.
└── All-cleft / Other clefts(All や The person などを使った派生形)
    └── All I want for Christmas is you.

基本文との比較

元の平叙文(John broke the window yesterday.)を分裂文に変換すると、次のように焦点が変わります。

文の種類 例文 焦点(強調される部分)
元の文(平叙文) John broke the window yesterday. 文全体(通常の事実伝達)
It-cleft(主語強調) It was John that broke the window yesterday. ジョンこそが(窓を割った)」
It-cleft(時強調) It was yesterday that John broke the window. 昨日こそ(ジョンが窓を割った)」
Wh-cleft(目的語強調) What John broke yesterday was the window. 「ジョンが割ったのは窓だった
Wh-cleft(動作強調) What John did was break the window. 「ジョンがしたことは窓を割ることだった

2. It-cleft(It is ... that 強調構文)の基本と作り方

日本で最も馴染み深いのが It-cleft(いわゆる It is ... that ... 強調構文)です。

基本フォーマットは以下の通りです。

It + be動詞(is / was) + 【強調したい要素】 + that + 【文の残り】

強調できる要素と例文

元の文:“Emily met Kevin in Paris last summer.”(エミリーは去年の夏、パリでケビンに会った。)

強調する要素 分裂文(It-cleft) 日本語訳
主語(S) It was Emily that met Kevin in Paris last summer. 去年の夏パリでケビンに会ったのは、エミリーだった
目的語(O) It was Kevin that Emily met in Paris last summer. エミリーが去年の夏パリで会ったのは、ケビンだった
場所の副詞句 It was in Paris that Emily met Kevin last summer. エミリーが去年の夏ケビンに会ったのは、パリだった
時の副詞句 It was last summer that Emily met Kevin in Paris. エミリーがパリでケビンに会ったのは、去年の夏だった
副詞節(because等) It was because she was tired that she went home early. 彼女が早く帰宅したのは、疲れていたからだった

that の代わりに使われる関係詞(who など)

It-cleft の接続部には基本的に that が使われますが、特に人を強調する場合には who を使うことも一般的です。

  • 人が強調される場合: who または that
    It was my sister who told me the news.(その知らせを私に教えてくれたのは姉だった。)
    It was my husband who (that) you spoke to on the phone.(あなたが電話で話したのは夫でした。)
  • 人以外(物・時・場所など): 基本的に that を使うのが自然です(時や場所で when / where、物で which が使われることもあります)。
注意:It-cleft で強調できない要素
It-cleft では、動詞そのもの(V)文の補語(C)となる形容詞 を単体で強調することは基本的にできません(例:❌ It was broke that John the window.)。
動詞や動作を強調したい場合は、後述する Wh-cleft(疑似分裂文) を使います。

3. Wh-cleft(疑似分裂文 / Pseudo-cleft)の基本と作り方

Wh-cleft(疑似分裂文 / pseudo-cleft)は、主に what などの wh節を主語にし、be動詞の後ろに強調したい情報(新情報)を置く構文です。

① 基本パターン(What節 + be動詞 + 強調要素)

文頭に What ... を置いて聞き手の興味を引きつけ、文末に最も重要な情報(新情報)を提示します。

元の文 Wh-cleft(疑似分裂文) 強調されるニュアンス
I need a cup of coffee. What I need is a cup of coffee. 私が今必要なのは、1杯のコーヒーだ。
She loves classical music. What she loves is classical music. 彼女が大好きなのは、クラシック音楽だ。

動詞の動作(アクション)を強調できる

Wh-cleft の最大の強みは、do を使うことで 「〜がしたこと(動作そのもの)」 を強調できる点です。be動詞の後ろには 原形不定詞(または to 不定詞) を置きます。

Original: He complained about the food.
Wh-cleft: What he did was (to) complain about the food.(彼がしたのは、料理に文句を言うことだった。)

② 倒置疑似分裂文(Reversed wh-cleft)

Wh-cleft の前後をひっくり返し、強調したい語句を文頭 に置く形式です。会話の受け答えなどで非常に頻繁に使われます。

A cup of coffee is what I need.(1杯のコーヒーこそが、私の必要なものだ。)
This is what I wanted to tell you.(これこそが、君に伝えたかったことなんだ。)

③ What 以外の語を使った Wh-cleft のバリエーション

what は主に「物・事」を指すため、「人」「場所」「時」「理由」を疑似分裂文の形式で強調したい場合は、以下のような表現を使います。

強調対象 構文パターン 例文
The person who ... is The person who helped me was Ken.(私を助けてくれた人はケンだった。)
場所 The place where ... is The place where we met was Kyoto.(私たちが最初に出会った場所は京都だった。)
The day / year when ... is The day when he arrived was Monday.(彼が到着した日は月曜日だった。)
理由 The reason why ... is that The reason why I called you is that I need your advice.(電話した理由は、助言が欲しいからです。)
すべて・唯一 All / The only thing (that) ... is All I want is to make you happy.(私が望むすべては、あなたを幸せにすることだけだ。)

4. 【超重要】「強調構文」と「形式主語構文(It is ... that...)」の見分け方

高校英語や資格試験(TOEIC・大学入試)で最も頻出する疑問が、「It is ... that ... という見た目の文が、強調構文(It-cleft) なのか 形式主語構文(It=仮主語 / that節=真主語) なのか」という点です。

【見分けるための黄金ルール】
文中の It is (was)that を消去して、残りの語句を並べ直したときに、1つの完全な英文が成立するかどうか を確認します。
  • 成立する(意味の通る文に戻る) → 強調構文(It-cleft)
  • 成立しない(文法が崩壊する・文にならない) → 形式主語構文(真主語 that 節)

具体例で検証

例文 It was / that を消去 判定 解説
It was Tom that broke the window. Tom broke the window.
成立する ◎
強調構文 Tom が主語として元の位置に戻り、完全な SVO 文になる。
It was yesterday that I met her. Yesterday I met her.
成立する ◎
強調構文 yesterday が副詞として文末・文頭に収まり、完全な文になる。
It is true that Tom broke the window. True Tom broke the window.
成立しない ❌
形式主語構文 形容詞 true が宙に浮き、文が作れない。that節が本来の主語(That Tom broke the window is true)。
It is a pity that she failed the test. A pity she failed the test.
成立しない ❌
形式主語構文 名詞 a pity は補語であり、that節の中に戻る場所(SやOなど)がない。

品詞による一発判定テクニック

  • It is + [副詞・前置詞句] + that ...基本的に強調構文(例:It was in Tokyo that they met.)※形式主語構文で副詞句が補語になることはないため。
  • It is + [形容詞] + that ...ほぼ 100% 形式主語構文(例:It is clear that... / It is important that...)※強調構文で形容詞だけが挟まれることは原則ないため。
  • It is + [名詞] + that ...文構造の検証が必要(that節内に S や O の欠落があれば強調構文、that節内が完全文なら同格または形式主語構文)。

5. 会話・文章でのニュアンスと使い分け

なぜ普通の平叙文(S + V + O)があるのに、わざわざ長くて複雑な分裂文を使うのでしょうか?それには英語の 「情報構造(旧情報と新情報)」「焦点化(フォーカス)」 の明確な目的があるからです。

① 誤解の訂正・対比(Contrast / Correction)

「Aではなく、まさにBなんだ」と相手の思い込みを正したり、2つのものを対比させたりするときに最も強力に働きます。

A: Did Mary give you this present?(メアリーがこのプレゼントをくれたの?)
B: No, it was Lucy that gave it to me, not Mary.(いいえ、私にくれたのはメアリーじゃなくてルーシーだよ。)

② 排他性・唯一性の明示(Exclusivity)

普通の文 “I love you.” は単に「あなたを愛している」という事実を伝えますが、分裂文 It is you that I love.” にすると、「他の誰でもない、まさにあなたこそを愛している」という強い排他性が生まれます。

③ プレゼンや論文での注目集め(Focusing & Topic Introduction)

スピーチや学術論文で、聞き手や読者の注意を一気に惹きつけたいとき、Wh-cleft や It-cleft が効果的に使われます。

What we need to focus on today is our customer retention rate.
(本日私たちが焦点を当てるべきなのは、顧客維持率です。)

6. 発展・応用:さまざまな Cleft Sentences

It-cleft や Wh-cleft 以外にも、英語には以下のような発展的な分裂文パターンが存在します。

① All-cleft

「〜なのは…だけだ(= the only thing)」という意味を表す構文です。日常会話から名曲のタイトルまで頻出します。

All I want is a peaceful life.(私が欲しいのは平穏な暮らしだけです。)
All you have to do is press this button.(あなたはこのボタンを押しさえすればよい。)

② There-cleft(発展)

There is/are 構文と関係代名詞節を組み合わせ、特定の話題を焦点化して提示する構文です(専門的な文法分類で there-cleft と呼ばれます)。

There is one point that I would like to clarify.(私が明確にしておきたい点が1点あります。)

③ If / Because-cleft

理由や条件を強調するために If ... 節や Because ... 節と It-cleft を組み合わせる形式です。

If anyone knows the truth, it's David.(真実を知っている人がいるとすれば、それはデビッドだ。)

④ 疑問文・否定文の強調構文

強調構文全体を疑問文や否定文にすることで、「一体だれが〜したのか?」などの強い感情を表せます。

Who was it that called you so late last night?(昨夜あんなに遅くに電話してきたのは一体誰だったんだ?)
It was not until yesterday that I heard the news.(昨日になって初めてその知らせを聞いた。)

7. 知っておくと役立つ文法ルールと注意点

① 人称代名詞の格(主格 vs 目的格)

代名詞を強調する場合、日常的な現代英語では 目的格(me, him, them) が一般的ですが、よりフォーマルな場面では 主格(I, he, they) が好まれます。

  • 一般的な現代英語(ややくだけた表現): It is me who is to blame. / It was him that I saw.
  • フォーマルな表現: It is I who am to blame.

② 複数名詞を強調する場合の be動詞

複数名詞を強調するとき、文頭の It は常に単数扱い(It is / It was)のままですが、that節の中の動詞は強調される名詞に一致 します。

It is the teachers who are working hard.(⭕️)
※ ❌ They are the teachers who... とはしません。

③ 時制の一致(is vs was)

強調構文の be動詞は、基本的に元の文の時制に合わせます。

  • 現在:It is today that we make the decision.
  • 過去:It was three years ago that they got married.

④ that の省略

会話(口語)では、目的語や副詞句が強調される場合、that が省略されることがよくあります。

It was in June (that) we got married.
It was my brother (who/that) you met.

8. FAQ(よくある質問)

Q1. cleft sentence と「強調構文」は同じものですか?

A. 日本の学校文法でいう「強調構文」は、cleft sentence(分裂文)の代表例(It-cleft)に相当します。
英語圏の文法書では、1つの文を2つに分割(cleft)して焦点を作る構文全般を cleft sentence と呼び、一般的な「It is ... that ...」だけでなく、What節を用いる疑似分裂文(Wh-cleft)なども含まれます。

Q2. 強調構文の that は who に変えてもいいですか?

A. はい、人を強調する場合は who を使うことができます。
It was my sister who told me the news. のように人が主語や目的語の場合は who もよく使われます。物や副詞句などを強調する場合は that を使うのが一般的です。

Q3. 動詞(動作)を It is ... that で強調できますか?

A. いいえ、It-cleft では動詞を直接強調できません。
動詞の動作を強調したい場合は、Wh-cleft(疑似分裂文)を使い、What he did was break the window. のように表現します。

Q4. 形式主語構文(It is ... that)と一瞬で見分ける方法は?

A. 「It is」と「that」を取り除いて、1つの文として成り立つかチェックします。
取り除いて語順を直すだけで文が成立すれば「強調構文」、形容詞が浮いて文が成り立たなければ「形式主語構文」です。また、間に「前置詞句・副詞」が入っていれば、基本的に強調構文と判断できます。

Q5. It is me who... と It is I who... はどちらが正しいですか?

A. どちらも使われますが、文体のフォーマル度(場面)が異なります。
現代の日常会話や一般的な英文では It is me who...(目的格)が自然でよく使われます。一方、より改まったフォーマルな場面では It is I who am...(主格+対応する動詞)が使われます。

Q6. What he did was (to) do の to は省略できますか?

A. はい、to は省略して原形不定詞にするのが一般的です。
主語節に diddoes などの do動詞が含まれる場合、be動詞の後ろの to は省略される傾向があります(例:What you should do is apologize.)。

Q7. Not until を使った強調構文はどう訳しますか?

A. 「〜して初めて…した」と訳すと自然です。
It was not until yesterday that I realized the mistake.(昨日になって初めて、私はその間違いに気づいた。)のように、時間の経過と気づきをドラマチックに強調します。

Q8. 会話で分裂文を使いすぎると不自然ですか?

A. はい、多用しすぎると大げさに聞こえることがあります。
分裂文は「対比・訂正・強い焦点」を与える構文なので、すべての文を It is ... that や What ... is にするのではなく、本当に際立たせたいポイントに絞って使うのが自然な英語のコツです。

9. まとめ

Cleft sentence(分裂文・強調構文)を理解するための重要ポイントを整理します。

  1. Cleft は「分裂した」という意味で、1文を2節に割って焦点を生み出す構文
  2. It-cleft(強調構文)It is/was + [強調要素] + that + [残り] で作る
  3. It-cleft では 主語・目的語・副詞句・副詞節 を強調できる
  4. 動詞や動作そのものを強調したいときは Wh-cleft(What he did was...) を使う
  5. 倒置形である Reversed wh-cleft(This is what I need) も頻出
  6. It is と that を消して文が成立すれば「強調構文」、成立しなければ「形式主語構文」
  7. It is + [副詞句] + that のパターンは基本的に強調構文
  8. It is + [形容詞] + that は 原則として形式主語構文
  9. 複数名詞を強調しても文頭は It is / It was のまま(that節内の動詞は一致させる)
  10. 対比(〜ではなく…だ)や誤解の訂正、注意喚起に最適な構文

分裂文(cleft sentence)の構造を理解すると、英文読解時に「書き手がどの単語にスポットライトを当てているのか」が瞬時に見抜けるようになります。
また、スピーチやライティングでも自分の主張を明快に際立たせることができる強力な武器になります。

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