英語の5文型(SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC)を学習する際、必ず登場するのが complement(補語) です。文構造の記号では C で表されます。
「補語」はその名の通り、主語や目的語の意味を『補って』文を完成させる要素です。補語の理解があやふやだと、文型の判別や正しい文の作成、さらには形容詞と副詞の使い分けでつまずく原因になります。
この記事では、次のポイントを徹底整理します。
- complement(補語)の基本的な定義と役割
- 主格補語(Subject Complement) と 目的格補語(Object Complement) の違い
- 目的語(Object / O)と補語(Complement / C)の見分け方
- 補語になれる表現(形容詞・名詞・分詞・不定詞・節など)
- 間違いやすい品詞の選択(副詞との使い分け)
- 混同しやすい
complementとcomplimentの違い
1. まず押さえる!Complement は「主語や目的語を説明・補う要素」
complement は、動詞だけでは意味が不十分なときに、主語や目的語の状態・性質・正体を説明して文の意味を完成させる語句(文要素)を指します。
語源的にはラテン語の complementum(満たすもの・補完するもの)に由来し、英語の complete(完成させる)と同じ語源を持ちます。
Cambridge Dictionary でも、complement は「動詞の後に続き、主語や目的語に関する情報を追加して節の意味を完成させる主要な構成要素」と定義されています。
Cambridge Dictionary:
Complements
Complement(補語)の全体像
補語(C)は、どの要素を説明するかによって大きく2つに分類されます。
├── Subject Complement(主格補語)
│ └── 主語(S)の状態や性質を説明する(第2文型:SVC)
│ 例:He is a doctor. / She looks happy.
└── Object Complement(目的格補語)
└── 目的語(O)の状態や結果を説明する(第5文型:SVOC)
例:We call him Tom. / The news made her sad.
補語(C)になれる中心的な品詞は 名詞 や 形容詞(およびそれらに相当する句・節)です。日本の英語学習(5文型)では「副詞は補語にならない」と学習するのが一般的ですが、現代英文法では場所を表す副詞句や前置詞句(例:He is upstairs.)も主格補語と扱われることがあります。
代表例で比較
| 文法型 | 例文 | 補語(C)の位置 | イコール関係の成立 |
|---|---|---|---|
| SVC(第2文型) | He is a teacher. | a teacher |
S = C(He = a teacher) |
| SVC(第2文型) | She looks happy. | happy |
S = C(She = happyな状態) |
| SVOC(第5文型) | They named him Bob. | Bob |
O = C(him = Bob) |
| SVOC(第5文型) | The news made me sad. | sad |
O = C(me = sadな状態) |
2. 関連語:「Complement」と「Compliment」の違い
complement と同音異義語(ホモフォン)として非常によく混同されるのが compliment です。スペルが
e か i かだけの違いですが、意味は全く異なります。
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音記号 |
|---|---|---|---|
| complement | 名詞 / 動詞 | 【名】補語、補完物 【動】〜を補う、引き立てる |
【名】/ˈkɒm.plɪ.mənt/ 【動】/ˈkɒm.plɪ.ment/ |
| compliment | 名詞 / 動詞 | 【名】賛辞、褒め言葉、お世辞 【動】〜を褒める、称賛する |
【名】/ˈkɒm.plɪ.mənt/ 【動】/ˈkɒm.plɪ.ment/ |
例文
- This wine is a perfect complement to the cheese.
(このワインはそのチーズの完璧な引き立て役[補完物]です。) - He paid her a nice compliment on her dress.
(彼は彼女のドレスについて素敵な褒め言葉を贈りました。) - In this sentence, “happy” works as a complement.
(この文では “happy” が補語として機能しています。)
・complement = complete(完成させる・補う)と同じ e を含む
・compliment = I(私)が相手を褒める(I が含まれる)
3. 2種類の補語:主格補語と目的格補語
英語の補語(C)は、役割によって 主格補語 と 目的格補語 の2つに分かれます。
① Subject Complement(主格補語:SVC文型)
主格補語(Subject Complement) は、文の主語(Subject)の状態・身分・性質を表し、主語を説明する補語です。文型としては SVC(第2文型) を作ります。
主格補語を取る動詞は 連結動詞(Linking Verb) と呼ばれ、主語と補語を結びつけるイコール(=)のハシゴのような役割を果たします。
代表的な連結動詞(Linking Verbs)
- 状態を表す動詞:
be(〜である),remain(〜のままでいる),stay(〜のままである) - 変化を表す動詞:
become(〜になる),get(〜になる),turn(〜になる),grow(〜になる) - 知覚・感覚・様相を表す動詞(五感動詞・推量):
look(〜に見える),sound(〜に聞こえる),smell(〜のにおいがする),taste(〜の味がする),feel(〜の感じがする),seem(〜に思える)
例文
- My sister became a lawyer.(私の姉は弁護士になりました。[My sister = a lawyer])
- The soup smells delicious.(そのスープはとても美味しそうなにおいがします。[The soup = deliciousな状態])
- He remains silent during the meeting.(彼は会議中ずっと黙ったままでいる/黙っています。[He = silentな状態])
② Object Complement(目的格補語:SVOC文型)
目的格補語(Object Complement) は、文の目的語(Object)の状態・身分・動作・結果を表し、目的語を説明する補語です。文型としては SVOC(第5文型) を作ります。
目的格補語を使う文では、「目的語(O)= 目的格補語(C)」 または 「OがCする / される(主語と述語の関係)」 が成り立ちます。
代表的な SVOC をとる動詞
- 呼称・命名:
call(OをCと呼ぶ),name(OをCと名付ける) - 思考・認知:
find(OがCだと分かる),think(OをCと思う),consider(OをCとみなす) - 変化・維持・状態移行:
make(OをCにする),keep(OをCに保つ),leave(OをCのままにする) - 選出・指名:
elect(OをCに選出する),appoint(OをCに任命する)
例文
- We painted the wall white.(私たちは壁を白く塗りました。[the wall = white])
- She keeps her room clean.(彼女は部屋を常に綺麗に保っています。[her room = clean])
- I found the task difficult.(私はその作業が難しいと分かりました。[the task = difficult])
4. 【超重要】目的語(O)と補語(C)の見分け方
英文法を学ぶ上で多くの人が混乱するのが、「目的語(Object / O)と補語(Complement / C)の違い」 です。学校文法の5文型分析では、以下の判定ルールを使うと明確に見分けることができます。
1. SVC(第2文型)と SVO(第3文型)の見分け方
動詞の後ろに要素が1つある場合、「主語(S)= その要素」の関係が成り立つかどうか で見分けます。
| 例文 | 関係性 | 文型 | 解説 |
|---|---|---|---|
| He became a doctor. | He = doctor ⭕ | SVC(第2文型) | a doctor は主語を説明する補語(C) |
| He made a cake. | He = cake ❌ | SVO(第3文型) | a cake は動作の対象となる目的語(O) |
2. SVOO(第4文型)と SVOC(第5文型)の見分け方
動詞の後ろに名詞が2つ連続して並ぶ場合、「後ろの名詞2つに イコール関係(O1 = O2)が成り立つかどうか」 で見分けます。
| 例文 | 関係性 | 文型 | 解説 |
|---|---|---|---|
| She made him a cake. | him = cake ❌ | SVOO(第4文型) | him(O1)に a cake(O2)を作ってあげた |
| She made him a doctor. | him = doctor ⭕ | SVOC(第5文型) | him(O)を a doctor(C)に育て上げた |
3. 補語(C)と修飾語(M / Adjunct)の違い
文法要素の M(Modifier / 修飾語・付加語) は、取り除いても文の主要な構造(SV)が成立します。一方で、補語(C)は動詞の意味を完成させるために不可欠な要素であるため、取り除くと文の意味が不完全になります。
quietly
を除いても He spoke. で文が成立(M: 修飾語)・He turned pale.(彼は青ざめた) →
pale を取り除くと
He turned.(彼は回転した?)となり文の元の意味が成り立たなくなる(C: 補語)
5. Complement(補語)になれる品詞・形式一覧
補語(C)の位置には、単なる形容詞や名詞だけでなく、分詞・不定詞・節などさまざまな形式が入ることができます。
| 形・品詞 | 例文 | 解説 |
|---|---|---|
| 形容詞 | The decision proved correct. | correct が主語の状態を説明(SVC) |
| 名詞(句) | They elected her president. | president が目的語の職位を説明(SVOC) |
| 現在分詞(ing) | I caught him stealing. | stealing(〜している)が目的語の動作を示す |
| 過去分詞(p.p.) | He had his watch stolen. | stolen(〜される)が目的語の状態を示す |
| to不定詞 | My goal is to pass the exam. | to不定詞句が主語の具体的な内容を示す |
| 原形不定詞 | I saw the boy run away. | 知覚動詞の SVOC 文型で動詞の原形が C になる |
| 名詞節(that / wh) | The truth is that he failed. | that 節 全体が主語の内容を説明する補語 |
6. 英語学習で間違えやすい「補語」のポイント
日本の英語学習者がよく間違えてしまう「補語」に関する2つの落とし穴について解説します。
① 五感動詞の後で副詞を選んでしまうミス
日本語の「美味しそうに匂う」「幸せそうに見える」といった訳につられて、補語の位置に副詞を選んでしまうミスが多発します。
⭕ The soup smells delicious.(そのスープは美味しそうな匂いがする)
理由: smell が「〜な匂いがする」という連結動詞(Linking Verb)として機能する場合、主語(The
soup)の状態や性質を説明するために形容詞(delicious)を配置するのが基本です。副詞(deliciously)を置くと「スープが美味しそうに何かを嗅いでいる」という意味合いになり不自然になります。
② 使役動詞・知覚動詞の目的格補語(原形不定詞)
make, have, let などの使役動詞や、see,
hear, feel などの知覚動詞では、目的格補語(C)に to のない
原形不定詞 が来ます。
⭕ She made me cry.(彼女は私を泣かせた[me = cry する])
理由: 使役・知覚動詞の SVOC 文型では、補語の位置に原形動詞(原形不定詞)を配置することで「Oが〜する」という直接的な動作関係を表します。
7. FAQ(よくある質問)
Q1. Complement(補語)は省略できますか?
A. 原則として省略できません。
補語は、動詞や文構造の意味を完成させるために必須の構成要素です。例えば He became a doctor. から a doctor
を省いて He became. にすると、文として意味が通じなくなります。
Q2. 副詞は補語(C)になれますか?
A. 学校文法(5文型)では基本的に「副詞は修飾語(M)」として扱います。
5文型分析では主に「名詞」と「形容詞」を補語(C)として整理しますが、現代英文法では He is upstairs. や The party is
tonight. などの場所や時間を表す副詞(句)を Subject
Complement(主格補語)と分類することもあります。学習上はまず名詞・形容詞を中心に押さえておくと混乱を防げます。
Q3. O(目的語)と C(補語)の見分け方を一言で教えてください。
A. 「イコール関係(=)が成り立つかどうか」で見分けます。
主語や目的語とイコール関係(S=C または O=C)が成り立つものが補語(C)です。成り立たない場合(S ≠ O)は目的語(O)となります。
Q4. complement と compliment の違いは何ですか?
A. スペルと意味が異なります。発音はほぼ同じです。
complement(eを含む)は「補語・補完物・〜を補う」、compliment(iを含む)は「賛辞・お世辞・〜を褒める」の意味です。
Q5. 不定詞や分詞も補語(C)に含まれますか?
A. はい、含まれます。
不定詞句(to do / 原形)や分詞(ing / p.p.)は名詞や形容詞の働きをするため、補語(C)として文中で重要な役割を果たします。
Q6. 補語をとる動詞(連結動詞)にはどのようなものがありますか?
A. be動詞のほか、become, look, seem, feel, smell, taste, stay, remain
などがあります。
これらは後ろに形容詞や名詞の補語を従えて「〜である」「〜のようだ」「〜になる」といった意味を作ります。
8. まとめ
Complement(補語)をマスターするための重要ポイントをまとめます。
- Complement(補語)は主語や目的語の意味を『補って』文を完成させる要素(C)
- 主格補語(Subject Complement) は主語を説明する(SVC文型:S = C)
- 目的格補語(Object Complement) は目的語を説明する(SVOC文型:O = C)
- 補語になれる主要な品詞は 形容詞 と 名詞
- 分詞(ing / p.p.)、to不定詞、原形不定詞、that節なども補語になる
- SVC文型とSVO文型の違いは、S = 要素 が成り立つかどうかで判断する
- SVOC文型とSVOO文型の違いは、後ろの2語に O = C が成り立つかどうかで判断する
- 五感動詞(look, smell, tasteなど)の後は、主語の状態を表す 形容詞(補語) を置くのが基本
- 使役動詞・知覚動詞の SVOC では 原形不定詞 が補語(C)になる
- complement(補う)と compliment(褒める)のスペル違いに注意する
補語(C)の概念を正しく理解することは、英語の文型(SVC・SVOC)を速く正確に見抜く鍵となります。英文を読む際や作成する際は、常に「イコール関係(=)」を意識してみてください。
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