英文法において、文の構造を正確に理解するために極めて重要なのが direct object(直接目的語) です。
例えば She bought a book.(彼女は本を買った)という文では、a book が direct object
です。動詞の動作(買った)が直接及ぶ対象(何を?)を表しています。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- direct object(直接目的語)の基本的な意味と定義
- 「What? / Whom?」を使った簡単で見誤らない見分け方
- direct object(直接目的語)と indirect object(間接目的語)の違い
- 第3文型(SVO)と第4文型(SVOO)での書き換えルール
- 単体名詞だけでなく、動名詞・to不定詞・that節が目的語になるパターン
- 補語(Complement)や前置詞の目的語との区別方法
1. まず押さえる!Direct Object の基本構造
direct object とは、主に「他動詞の動作を直接受ける対象(人・物・事)」を指します。日本語では一般に「〜を」「〜に」にあたります。
Cambridge Dictionary では、direct object(直接目的語)を「動詞の動作によって直接影響を受ける人や物(the thing or person that is
affected by the action of the verb)」と説明しています。
[Cambridge Dictionary: Objects]
文における Object(目的語)の位置づけ
英文の構造において、目的語は次のように整理できます。
├── Direct Object [DO](直接目的語):動作の直接の対象(何/誰を)
│ └── 例:She kicked the ball. / I like music.
├── Indirect Object [IO](間接目的語):動作を受け取る相手(誰に・何に)
│ └── 例:He gave me a present.
└── Object of a Preposition(前置詞の目的語):前置詞の後に続く名詞
└── 例:She listened to the radio.
※ direct object は、文型でいうと SVO(第3文型) や SVOO(第4文型)、SVOC(第5文型) の「O」として登場します。
代表例で確認
| 英文 | Direct Object | 文型 | 意味・解説 |
|---|---|---|---|
| I made a cake. | a cake |
SVO(第3文型) | 作られた対象(ケーキ) |
| He gave me a letter. | a letter |
SVOO(第4文型) | 渡された物(手紙) |
| They painted the wall white. | the wall |
SVOC(第5文型) | 塗られた対象(壁) |
| I know that he is right. | that he is right |
SVO(第3文型) | 知っている内容(節) |
2. 関連語:「Direct Object」と「Indirect Object」の違い
目的語(Object)に関連する文法用語の品詞・記号と意味を整理しておきましょう。
| 用語 | 略号 | 意味・役割 |
|---|---|---|
| Direct Object | DO / O | 直接目的語:動詞の動作が直接及ぶ「何・誰」(〜を) |
| Indirect Object | IO / O1 | 間接目的語:動作の受取人や対象となる「人・物」(〜に) |
| Transitive Verb | vt. / V | 他動詞:Direct Object を取り得る動詞(典型的には伴う) |
| Intransitive Verb | vi. / V | 自動詞:原則として Direct Object を伴わない動詞 |
SVOO(第4文型)での並び順
間接目的語(IO)と直接目的語(DO)が両方登場する第4文型では、通常「IO(受け手・対象)+ DO(渡すもの・事)」の順番になります(学習上は「人 + 物」と整理されるのが一般的です)。
My parents bought me a computer.
(両親は私にコンピュータを買ってくれた。)
3. 簡単!Direct Object の見分け方(質問メソッド)
文の中でどれが Direct Object(直接目的語)か迷ったときは、「主語 + 動詞 + What(何を)/ Whom(誰を)?」 と自問自答するのが、基本的で非常に便利かつ実践的な見分け方です。
見分け方のステップ
- 文の主語(Subject)と動詞(Verb)を見つける。
- 「主語 は 動詞 した... 何を?(What?) / 誰を?(Whom?)」と尋ねる。
- その質問の答えとなる部分が Direct Object。
| 例文 | 質問(What? / Whom?) | Direct Object |
|---|---|---|
| John kicked the ball. | John kicked what? | the ball |
| She loves her dog. | She loves what/whom? | her dog |
| The teacher asked a question. | The teacher asked what? | a question |
| He sent his wife flowers. | He sent what? | flowers |
※ 最後の He sent his wife flowers. の場合、質問「He sent
whom?(誰を送信した?)」はおかしい(妻を送信したわけではない)ので、his wife は Direct Object
ではなく Indirect Object(間接目的語)だと見抜けます。「何を送信した?」の答えである flowers が Direct Object です。
4. Direct Object になれる6つの表現パターン
Direct Object になれるのは単一の「名詞」だけではありません。文法上、名詞の働きをする表現(名詞相当語句)であれば Direct Object になれます。
① 名詞(Noun) / 名詞句(Noun Phrase)
最も一般的なパターンです。冠詞や形容詞を伴った名詞句も全体で1つの Direct Object になります。
- I washed my car.(車を洗いました。)
- They built a brand-new house near the lake.(彼らは湖の近くに新しい家を建てました。)
② 代名詞の目的格(Pronoun)
人称代名詞を使う場合は、原則として目的格(me, him, her, us, them など)になります(you, it は同形)。
- She called him yesterday.(彼女は昨日彼に電話しました。)
- We invited them to the party.(私たちは彼らをパーティーに招待しました。)
③ 動名詞(Gerund: -ing)
enjoy, avoid, finish, suggest
などの他動詞の後ろで、動名詞句が Direct Object になります。
- He enjoys playing video games.(彼はゲームをすることを楽しんでいます。)
- Have you finished cleaning your room?(部屋の掃除は終わりましたか?)
④ To不定詞の名詞的用法(To-Infinitive)
want, hope, decide, plan などの他動詞の後ろで、不定詞句が
Direct Object になります。
- I want to study abroad next year.(私は来年留学したいです。)
- She decided to accept the job offer.(彼女は内定を承諾することに決めました。)
⑤ 名詞節(Noun Clause: that節 / wh-節)
know, think, believe, understand
などの後ろで、節(主語+動詞を含むカタマリ)が Direct Object になります。
- I believe that everything happens for a reason.(すべてのことには意味があると信じています。)
- Nobody knows what will happen tomorrow.(明日何が起こるかは誰もわかりません。)
⑥ 形式目的語(Dummy / Preparatory Object "it")
目的語となる that節や to不定詞が長く、さらに補語(C)が続く場合(SVOC文型)、形式的な Direct Object として it
を置き、真の目的語を後ろに回します。
[Cambridge Dictionary: It -
Anticipating object]
- I found it difficult to master English
grammar.
(英文法をマスターすることは難しいと実感しました。) - They made it clear that the deadline is
strict.
(彼らは締め切りが厳格であることを明確にしました。)
5. 第4文型(SVOO)から第3文型(SVO)への書き換え
give, buy, send などの動詞は、目的語を2つ(IO と DO)取る
SVOO(第4文型) を作ることができます。
この SVOO の文は、前置詞(to や for)を用いて Direct Object
を前に出し、SVO(第3文型) に書き換えることができます。
to を使う動詞(相手への移動・到達)
give, send, show, teach, pass,
write など、多くは「物・情報が相手へ移動する」文脈で前置詞 to を使います。
↓ 前置詞
to を使用SVO: She gave a present (DO) to me.
for を使う動詞(相手のための利益・作成)
buy, make, cook, find, get
など、「相手のために何かを用意・調理・購入する」文脈では前置詞 for を用いるのが一般的です。
↓ 前置詞
for を使用SVO: He bought a toy (DO) for his daughter.
※ SVOに書き換えた場合、to me や for his daughter は前置詞句となり、ここでの Direct Object は
a present や a toy のみになります。
6. 自動詞・他動詞・受動態と Direct Object の関係
① 他動詞と自動詞の違い
他動詞(Transitive Verb)は、目的語を取ることができる動詞で、典型的には Direct Object
を伴います。一方、自動詞(Intransitive Verb)は原則として Direct Object を取りません。
[Cambridge
Dictionary: Transitive and intransitive verbs]
- 他動詞: She discussed the issue.(Direct Object を伴う)
- 自動詞: The sun rose.(目的語なしで完結)
② 能動態から受動態への変形
受動態(Passive Voice)を作るとき、原則として能動態の Direct Object が受動態の「主語(Subject)」に変化します。そのため、Direct Object を持たない自動詞は原則として受動態にできません。
↓
受動態: This play (S) was written by Shakespeare.
7. 間違えやすい注意点・補語(C)との見分け方
① Direct Object(O)と Subject Complement(補語 C)の違い
動詞の後ろに名詞が来るとき、それが「目的語(O)」なのか「補語(C)」なのか混乱することがあります。見分け方の目安は 「イコール関係(S = 名詞)が成り立つかどうか」 です。
- S = C(第2文型 SVC): He became a doctor.(He = doctor
なので
a doctorは補語) - S ≠ O(第3文型 SVO): He met a doctor.(He ≠ doctor なので
a doctorは Direct Object)
② 「前置詞の目的語」との混同に注意
look at や listen to などの表現で、前置詞の後ろに来る名詞は「前置詞の目的語(Object
of a
Preposition)」であり、動詞の Direct Object ではありません。
- I listened to the music.
(the musicは前置詞toの目的語。) - I enjoyed the music.
(the musicは動詞enjoyedの Direct Object。)
8. FAQ(よくある質問)
Q1. Direct Object(直接目的語)は日本語の「〜を」だけにあたりますか?
A. 基本は「〜を」ですが、「〜に」や「〜と」と訳す場合もあります。
例えば
reach the station(駅に到着する)、attend the meeting(会議に出席する)、marry him(彼と結婚する)など、日本語の感覚では「〜に」や「〜と」と訳す動詞であっても、英語で他動詞の直後に置かれる名詞は
Direct Object(直接目的語)です。
Q2. 自動詞は Direct Object をとることができますか?
A. 原則として自動詞は Direct Object をとりません。
ただし、live a happy life(幸せな生活を送る)のように、通常は自動詞として使われる動詞が、動詞と意味的・語源的に関連する名詞を目的語として伴う「同源目的語(Cognate
Object)」の構文など、例外的な表現が存在します。
Q3. Direct Object になれるのは1つの単語だけですか?
A. いいえ。名詞句や名詞節、動名詞、to不定詞など長いカタマリも Direct Object になります。
I know that she is coming. の that she is coming 全体が1つの Direct
Object です。
Q4. SVOO の文で Direct Object と Indirect Object の位置を入れ替えることはできますか?
A. はい。前置詞(to や for)を使えば入れ替えが可能です。
Give me the book.(SVOO)は
Give the book to me.(SVO)に書き換えることができます。
Q5. Direct Object と Complement(補語)の違いを簡単に見抜く方法は?
A. 主語との「イコール関係」の有無が分かりやすい目安です。
「主語 = 後ろの名詞」が成り立つなら補語(C)、「主語 ≠ 後ろの名詞」なら Direct
Object(O)です(例:She is a teacher → She = teacher は補語 /
She saw a teacher → She ≠ teacher は Direct Object)。
Q6. 受動態の文には Direct Object は残りますか?
A. 第3文型(SVO)の受動態では消えますが、第4文型(SVOO)の受動態では残ることがあります。
SVOOで Indirect Object(人)を主語にして受動態を作った場合、Direct Object
はそのまま動詞の後ろに残ります(例:I was given a present. の a present
は保留目的語とも呼ばれます)。
9. まとめ
Direct Object(直接目的語)をマスターするための要点を整理します。
- Direct Object(直接目的語)は、他動詞の動作が直接及ぶ対象(何/誰を)
- 文の中で見つけるには「主語 + 動詞 + What? / Whom?」と質問するのが便利
- SVO(第3文型)、SVOO(第4文型)、SVOC(第5文型)で重要な役割を果たす
- 第4文型(SVOO)では通常「受け手(IO)+ 渡すもの(DO)」の順で並ぶ
- 前置詞
toやforを使って SVOO ⇄ SVO の書き換えができる - 単一の名詞・代名詞だけでなく、動名詞・to不定詞・that節も Direct Object になる
- 能動態の Direct Object は、原則として受動態の主語(Subject)になる
- 「主語 = 名詞」なら補語(C)、「主語 ≠ 名詞」なら Direct Object(O)
Direct Object の概念と位置づけが理解できると、英文を読む際に「動詞がどこにかかっているのか」「文の骨組みはどうなっているのか」を正しく把握できるようになります。長文読解やライティングの精度向上にぜひ役立ててください。
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