英語を話したり書いたりする際に、相手や状況に合わせて言葉遣いを変える概念を register(使用域・言語域) や style(文体) と呼びます。
その中でも、家族や友人との会話、SNSのメッセージ、カジュアルな日常連絡などで使われる親しみやすい言葉遣いが informal style(インフォーマル・スタイル/日常語体・口語体) です。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- informal style の基本的な意味と概念
- formal style(フォーマル)との違い・対比表
- 短縮形・省略・句動詞(phrasal verbs)など文法・語彙上の特徴
- informal, colloquial, slang の関係と意味の違い
- ビジネスメールや論文などシーン別の使い分けルール
- gonna, wanna や絵文字などの扱い方
1. まず押さえる!Informal Style は「日常的で親しみやすい言葉遣い」
informal style は、緊張感のないリラックスした状況で使われる英語の文体・表現スタイルを指します。
日本語では「日常語体」「口語体」「カジュアルな表現」「くだけた文体」などと訳されます。決して「間違い」や「下品な英語」という意味ではなく、人間関係を近づけ、スムーズで自然なコミュニケーションを行うために不可欠な表現形式です。
Cambridge Dictionary でも、informal language
を「親しい人々や、リラックスした状況で日常的に使われる言語表現」と説明し、formal(公式的・格式高い)な言葉遣いと対比させています。
[Cambridge Dictionary:
Formal and informal language]
文体の連続性(Style Spectrum)
英語のスタイルは「フォーマルかインフォーマルかの二者択一」ではなく、次のようにグラデーションになっています。
├── Formal Style(論文・契約書・公式スピーチ・厳格なビジネス)
├── Semi-formal Style(標準的なビジネスメール・ニュース記事)
├── Informal Style(友人との日常会話・チャット・同僚への連絡)
└── Very Informal / Slang(スラング・仲間内の若者言葉・SNSの略称)
文脈(誰に対して、どのような状況で、何の目的で話すか/書くか)に応じて、適切なスタイルを選択することが英語コミュニケーションでは重要になります。
同じ内容での比較
| 文体 | 英語の例文 | 日本語訳のニュアンス |
|---|---|---|
| Formal | We regret to inform you that the meeting has been postponed. | 会議が延期されましたことをご報告申し上げます。 |
| Semi-formal | I am writing to let you know that our meeting has been pushed back. | ご連絡ですが、私たちの会議は後日に延期となりました。 |
| Informal | Sorry, but we've got to put off the meeting. | ごめん、会議延期になっちゃった! |
2. 関連語:「Informal」「Formality」「Register」の違い
文体や言葉遣いに関連する英語用語の意味と品詞を整理しておきましょう。
| 語 | 品詞 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| informal | 形容詞 | 非公式の、日常的な、略式の、くだけた |
| informally | 副詞 | 非公式に、形式張らずに、日常的に |
| formality | 名詞 | 格式、礼儀、正しさ、手続・形通りのこと |
| register | 名詞 | 使用域、言語域(TPOや立場に応じた言語の選択) |
| style | 名詞 | 文体、表現様式、言葉遣い |
例文
- “Thanks” is an informal way of saying “Thank you”.
(「Thanks」は「Thank you」のカジュアルな言い方です。) - They spoke informally over lunch.
(彼らは昼食をとりながらカジュアルに話しました。) - You should adjust your register depending on your
audience.
(聞き手に合わせて言葉遣いの度合い(Register)を調整するべきです。)
発音
- informal:インフォーマル(/ɪnˈfɔːr.məl/)
- formality:フォーマリティ(/fɔːrˈmæl.ə.ti/)
- register:レジスター(/ˈredʒ.ɪ.stər/)
3. Informal Style の主な特徴(文法・語彙・記号)
Informal style には、文法構造・単語の選び方・文の短さなどに特徴的な傾向があります。
① 短縮形(Contraction)と文の一部の省略(Ellipsis)
informal style では、短縮形(Contraction)に加えて、会話やメッセージなどで文の一部を省略する Ellipsis(省略)が比較的よく見られます。
| Informal(短縮・省略) | Standard / Formal(完全形) | 補足 |
|---|---|---|
| I'm / don't / can't | I am / do not / cannot | 短縮形(Contraction)の使用 |
| Seen Pete? | Have you seen Pete? | 主語・助動詞の省略 |
| Sounds good! | That sounds good! | 主語・指示語の省略 |
| Hope to see you soon. | I hope to see you soon. | 主語 I の省略 |
例文
- Can’t make it today. Got too much work.(今日は行けないや。仕事多すぎて。)
- Got any questions?(何か質問ある?)
② 句動詞(Phrasal Verbs)や短くて親しみやすい単語
Informal style では、単一のラテン語系動詞(investigate, establish)よりも、短く日常的な語や
句動詞(Phrasal Verbs) が好まれる傾向があります。
※ただし、すべての句動詞が informal というわけではありません(carry
out や point out などフォーマルな文章で普通に使われる句動詞もあります)。
| Informal(日常語・句動詞) | Formal(ラテン語由来語など) | 意味 |
|---|---|---|
| look into | investigate | 調査する、調べる |
| find out | discover / ascertain | 見つけ出す、確認する |
| set up | establish | 設立する、設定する |
| get | obtain | 手に入れる |
| buy | purchase | 購入する |
| help | assist | 手助けする |
例文
- I’ll check out the issue and get back to you.(その件調べて、また連絡するね。)
- We need to set up a meeting.(打ち合わせをセットしよう。)
③ 人称代名詞や能動態を使った、直接的な表現
informal style では、I, you, we などの人称代名詞を明示し、話し手・聞き手を直接表す表現がよく使われます。そのため、自然と能動態(Active Voice)が選ばれる場面が多くなります。一方、フォーマルな文では客観性や距離感を保つために受動態(Passive Voice)が好まれる傾向がありますが、受動態自体はフォーマル専用というわけではありません。
| Informal(能動態・人称主語) | Formal(受動態・客観主語) |
|---|---|
| We made a mistake in the report. | A mistake was made in the report. |
| You should read page 5. | Attention should be directed to page 5. |
④ 話し言葉のつなぎ語・感嘆符(!)の使用
会話の流れを作ったり、感情を直接表したりするために、つなぎ語(well, anyway, like, by the
way)や感嘆符(!)が自由に使われます。
- Well, I think it's a great idea!(うーん、それすごくいい考えだと思うよ!)
- Anyway, let’s talk about this tomorrow.(とにかく、この話はまた明日にしよう。)
- Thanks a lot! See you soon!(本当にありがとう!また近いうちにね!)
4. 【比較表】Formal Style vs. Informal Style
フォーマルな文体とインフォーマルな文体の構成要素の違いを一覧表で整理しました。
| 要素 | Formal Style(フォーマル) | Informal Style(インフォーマル) |
|---|---|---|
| 目的・場面 | 論文、契約書、公式の挨拶、初対面 | 友人・家族との会話、SNS、カジュアルメール |
| 短縮形 (didn't) | 使わない(did not と書く) | 積極的に使う(didn't) |
| 語彙の傾向 | 難易度の高い語、ラテン語由来語 | 日常語、句動詞、親しみやすい単語 |
| 文構造 | 複雑な文構造や名詞化表現が比較的多い | 比較的内容が簡潔でシンプルな文構造、省略表現 |
| 主語・視点 | 客観的・三人称・受動態が多用される | 主観的・一人称(I / We)・能動態が中心 |
| 挨拶・結び | Dear Mr. Smith / Sincerely yours | Hi John / Best / Cheers / See ya |
| 感情表現・記号 | 感情表現を控えめにする(感嘆符は避ける) | 感嘆符(!)や感嘆詞、メッセージ等での絵文字の使用 |
同じ場面での言い換え例
[Informal] Could you give me a hand with this?(これ手伝ってくれない?)
[Formal] Please accept our apologies for any inconvenience caused.
[Informal] Sorry for the hassle!(ご面倒をおかけしてごめんね!)
5. シーン別!Informal Style の具体例と使い分け
言葉遣いは「相手との距離感」によって決まります。実際のシーン別の例を見てみましょう。
シーン1:日常会話・チャット・SNS(完全な Informal)
友人や家族に対しては、短縮形・省略・カジュアルな言い回しをフルに活用します。
B: Sounds awesome! What time works for you?(最高だね!何時がいい?)
シーン2:職場の同僚・親しい取引先(Semi-formal 〜 Neutral / Informal)
仕事上のやり取りでも、チーム内や親しい間柄であれば、適度な informal 〜 neutral 表現を使うことで親密さやスピード感を出すことができます。
Thanks for sending over the draft. Looks great overall! I just left a few quick comments on page 2.
Let me know what you think.
Best,
Alex
注意:Informal を避けるべきシーン(Formal が必要な場面)
以下のような場面では、informal style(特にスラングや過度な省略)を使うと「不躾」「失礼」と受け取られるリスクがあります。
- 学術論文・レポート(Academic Writing): 客観性と論理性が求められるため。
- 採用応募・履歴書(Cover Letter / Resume): プロフェッショナリズムを示すため。
- 公式な謝罪文・契約書・法律文書: 誤解を防ぎ厳粛さを保つため。
- 面識のない目上の人物や重要顧客への初回連絡: 礼儀を重んじるため。
6. 英語学習・辞書表記で見る Informal(Colloquial や Slang との違い)
英語の辞書を引くと、単語の横に [informal]、[colloquial]、[slang] などの注記(ラベル)が付いていることがあります。これらは似ていますが、少しニュアンスが異なります。
| 辞書ラベル | 意味・ニュアンス | 代表例 |
|---|---|---|
| informal | 日常的な会話や気軽な文章で普通に使われる表現 | kid(子供), guy(男の人), cool(素晴らしい) |
| colloquial | 「口語的」。書く時よりも話し言葉で主に使われる表現 | gonna(going to), wanna(want to) |
| slang | 特定のグループや若者が使う、よりくだけた流行語・俗語 | ghost(音信不通になる), salty(イライラしている) |
概念の関係性について
これらは完全な階層構造というより、意味の範囲が重なり合う関連概念です。informal は「フォーマルではない」というスタイル全般を指し、colloquial は特に話し言葉に適した表現、slang は特定グループや若者間で使われる非常にくだけた俗語(Very Informal)を指します。
・child [standard] → kid [informal]
・purchase [standard] → buy [informal]
・assist [standard] → help [informal]
・understand [standard] → get it [informal]
7. 知っておくと役立つ文体(Style)の豆知識
① Textspeak(チャット表現)と Informal の関係
スマホのSNSやチャット(SMS/WhatsApp等)では、informal style がさらに発展した Textspeak(テキスト表現) が使われます。
例:u(you), r(are), pls(please),
btw(by the way), lol(laugh out loud)。これらは極めてカジュアルな文脈でのみ使用されます。
② 丁寧さ(Politeness)= Formal とは限らない
「informal だと不躾で失礼になる」とは限りません。親しい友人に対して過度に formal な表現を使うと、かえってよそよそしく冷たい印象(distance)を与えてしまうことがあります。
親しい間柄では、“Could you possibly hand me the salt?”(フォーマル)よりも “Pass the salt, please!”(インフォーマル)の方があたたかみのある自然なやり取りになります。
③ 書き言葉での gonna / wanna の扱い
gonna(going to)や wanna(want
to)は、話し言葉で広く使われる非常にくだけた形で、カジュアルなチャットなどで文字としても使われます。ただし、一般的なフォーマル文書や標準的な書き文章では
going to / want to と綴るのが基本です。
8. FAQ(よくある質問)
Q1. informal style は「正しくない英語」ですか?
A. いいえ、間違いではありません。
TPOや相手に応じた「適切なスタイルのひとつ」です。日常会話や親しいやり取りで過度にフォーマルな言葉を使う方が不自然に聞こえる場合があります。
Q2. ビジネスメールで informal に書いても大丈夫ですか?
A. 相手との関係性によります。
同僚や何度もやり取りしている親しいパートナーなら短縮形(I'm / thanks)を含む適度な informal style が好まれます。ただし初対面や目上の顧客には
formal 〜 semi-formal が安全です。
Q3. colloquial と informal はどう違いますか?
A. informal はカジュアルなスタイル全般、colloquial は特に「話し言葉(口語)」を指します。
辞書ではほぼ同義として扱われることも多いです。
Q4. slang(スラング)と informal は同じですか?
A. スラングは informal の中でも特にくだけた限定的な表現です。
informal(kid, thanks)は一般の誰にでも通じますが、slang は特定の年代やグループを中心に使われます。
Q5. 英検やTOEIC、IELTSのライティングで informal style を使ってもいいですか?
A. 課題の種類に応じた文体(Style / Register)を選ぶ必要があります。
一般的なアカデミック・エッセイや論文課題では、短縮形(don't ❌ → do not ⭕️)やスラング、過度にくだけた表現を避け、formal 〜 neutral
な文体を保つのが基本です。ただし、IELTS General Training Task 1 の個人向けの手紙(親しい友人への連絡等)のように、設問によって informal
な文体が求められるケースもあります。
Q6. Phrasal verb(句動詞)は常に informal ですか?
A. 多くは informal / neutral(中立)ですが、すべてではありません。
carry out(実施する)や point out(指摘する)など、学術文章やニュースでも普通に使われるフォーマル寄りの句動詞もあります。
Q7. gonna や wanna は文章で書いてもいいですか?
A. 親しいチャットやSNS以外では、going to / want to と書くのが普通です。
会話で発音するのは自然ですが、文字にする際は口語テキスト特有の表現となります。
Q8. 自然な informal style を身につけるにはどうすればいいですか?
A. 海外のドラマ、映画の会話シーン、YouTube、SNSの投稿を観察するのが効果的です。
ネイティブが日常でどのような短縮形・つなぎ語・句動詞を使っているかを意識してみましょう。
9. まとめ
Informal Style(日常語体・口語体)を理解するための重要ポイントを整理します。
- Informal Style は、日常会話や気軽な文脈で使われる親しみやすい文体
- 間違いではなく、親近感を出しコミュニケーションを円滑にするための大切なスタイル
- 短縮形(I'm, can't)や文の一部省略(Seen Pete?)がよく使われる
- 難しい単語(investigate)より、句動詞(look into)や日常的な短い単語が好まれる(※すべての句動詞が informal とは限らない)
- 受動態よりも、人称代名詞(I, you, we)を使った直接的な能動態が選ばれやすい
- つなぎ語(well, anyway)や感嘆符(!)で感情や会話の流れを表す
- 辞書ラベルの informal は「カジュアル全般」、colloquial は「口語」、slang は「俗語」を表す
- 友人・同僚とのチャットや日常メールに最適だが、小論文や公式文書では避けるのが基本
- 書き言葉では、gonna / wanna よりも going to / want to と綴るのが標準
- 状況・相手(TPO)に合わせて register(文体度合い)を柔軟に変えることが鍵
英語の学習では「文法的に正しいか」だけでなく、「この場面や相手に対して適切な文体(style/register)か」を意識することが上達の近道です。
formal と informal の違いをつかんで、より生き生きとした自然な英語コミュニケーションを目指しましょう!
文法用語やルールの暗記にとどまらず、「ネイティブが実際にどう使い分けているか」をアルファベット順(A-Z)で直感的に引ける定番の英文法リファレンスです。
Practical English Usage 4th Edition
世界中の英語学習者・英語教師が手元に置くバイブル。「この前置詞はどう使い分ける?」「似た単語のニュアンスの違いは?」といった疑問を即座に解決できる決定版。