英語の長文読解、ニュース、学術論文、ビジネスメールなどで頻繁に登場するのが non-defining relative clause(非制限用法の関係節 / 非限定的関係節) です。
My brother, who lives in London, is a doctor. や
He passed the exam, which surprised everyone. などのように、先行詞にカンマを添えて補足情報を付け加える文法構造です。
一見すると普通の制限用法(defining relative clause)と似ていますが、カンマの有無によって文全体の意味やニュアンスが大きく変化するため、正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- non-defining relative clause の基本的な概念と定義
- 制限用法(defining relative clause)との決定的な違い
- カンマの付け方と 4 つの基本ルール
- なぜ
thatが使えないのか・省略ができない理由 - 文全体や一部を受ける「カンマ +
which」の特殊ルール - 会話・ニュース・ビジネス・論文での実用例文と自然な日本語訳のコツ
- 話し言葉での発音(ポーズ)や知っておくと役立つ豆知識
1. まず押さえる!Non-defining relative clause は「補足情報(追加情報)を添える関係節」
non-defining relative clause は、すでに特定されている名詞(人・モノ・場所など)に対して、なくても文のメインの意味が成り立つ「追加の情報(extra / non-essential information)」を提供する関係節です。
日本語では「非制限用法の関係節」「非限定的関係節」「継続用法」などと呼ばれます。文脈上、先行詞が誰や何を指しているかが明確であるため、節を取り除いても文脈が破綻しないのが大きな特徴です。
Cambridge Dictionary も、non-defining relative clause を「人やモノについての追加情報(extra
information)を与えるために使われる節であり、なくても対象を特定するのに支障がないもの」と定義しています。
Cambridge Dictionary:
Relative clauses: defining and non-defining
関係節(Relative Clause)の分類構造
関係節は大きく分けて、以下の2種類に分類されます。
├── Defining / Restrictive Relative Clause(制限用法)
│ └── 先行詞を「限定・特定」するために必須の情報(カンマなし)
└── Non-defining / Non-restrictive Relative Clause(非制限用法)
└── 先行詞に「補足・追加」の情報を添えるだけ(カンマあり)
文法書によって「非制限用法」「非限定用法」「継続用法(continuative use)」などの異なる呼称が使われることがありますが、すべて同じ文法構造を指しています。
代表例で比較
| 分類 | 例文 | カンマ | 情報の性質 |
|---|---|---|---|
| Defining (制限用法) |
The players who performed well received medals. | なし | 必須情報 (活躍した選手「だけ」に絞り込んでいる) |
| Non-defining (非制限用法) |
The players, who performed well, received medals. | あり(, ... ,) |
補足情報 (選手全員が活躍し、全員がメダルを得た) |
2. 関連語:「Non-defining」と「Defining(Restrictive)」の用語整理
文法用語としての英語表現と日本語訳の関係を整理しておきましょう。文法書や辞書によって使われる用語が異なります。
| 英語表記 | 別の英語表記 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Non-defining relative clause | Non-restrictive clause | 非制限用法の関係節 / 非限定的関係節 |
| Defining relative clause | Restrictive clause | 制限用法の関係節 / 限定的関係節 |
| Extra information | Non-essential information | 補足情報 / 追加情報(必須でない情報) |
| Essential information | Defining information | 特定に必要な必須情報 |
用語の意味合いの補足
- defining(定義・特定する): 対象が誰・何であるかを「特定する」役割を持ちます。
- non-defining(特定しない): 対象はすでに決まっており、単に説明を「付け加える」役割を持ちます。
・Defining =「~という(特定の)」と範囲を狭める(限定する)
・Non-defining =「~で、ちなみに…だ」と情報を付け足す(限定しない)
3. Non-defining relative clause を見分ける・使うための4つの基本ルール
非制限用法を使用する際には、押さえておきたい 4つの基本ルール が存在します。
【ルール1】節の前後にカンマ(,)を置く
非制限用法の関係節は、必ず カンマ(,) で独立させます。
文の途中に差し挟む場合は節の前後に2つのカンマ(, who ...,)を置き、文末に来る場合は直前にカンマ(, which ... .)を置きます。
・文末:I gave the book to John, who loves reading history.
【ルール2】関係代名詞 that は使用できない
制限用法では who や which の代わりに that
を自由に使うことができますが、非制限用法(カンマの後)では that を使うことができません。
⭕ My father, who is 60 years old, retired last year.
必ず人には who / whom / whose、モノには which /
whose を使用します。
【ルール3】関係代名詞の省略は不可(目的格でも省略できない)
制限用法では、目的格の関係代名詞(the book (which) I bought)を省略できますが、非制限用法では目的格であっても関係代名詞を省略できません。
⭕ This jacket, which I bought in Italy, is very warm.
【ルール4】関係節を取り除いても主文の意味・文脈が成り立つ
関係節全体をかっこ( )でくくって取り除いても、残りの部分だけで1つの完璧な文として成立します。
→ 関係節を取り除くと:My sister is coming next week.(意味がしっかり通じる)
4. カンマ1つで意味が大違い!Defining と Non-defining の比較
カンマがあるか無いかで、文章が伝える状況や前提条件が大きく変わる典型的な例を見ていきましょう。
例題1:兄弟の人数に関する違い
| 英文 | 用法 | 伝わる事実・ニュアンス |
|---|---|---|
| My brother who lives in Tokyo is a doctor. | Defining (制限) |
兄弟は複数いると推測される。 (「東京に住んでいる方の」兄弟を指しており、他所に住む別の兄弟の存在を暗示) |
| My brother, who lives in Tokyo, is a doctor. | Non-defining (非制限) |
兄弟は特定されている(通常1人)。 (「私の兄弟は医師だ。ちなみに彼は東京に住んでいる」と補足説明を加えている) |
例題2:りんごの廃棄量に関する違い
| 英文 | 用法 | 伝わる事実・ニュアンス |
|---|---|---|
| The apples which were rotten were thrown away. | Defining (制限) |
腐っていたりんご「だけ」を捨てた。 (対象のうち、腐っていなかったものは捨てずに残している) |
| The apples, which were rotten, were thrown away. | Non-defining (非制限) |
すべてのりんごを捨てた。 (それらのりんごはすべて腐っていたため、全量が破棄されたと解釈される) |
固有名詞(
Tokyo, Mount Fuji, Einstein
など)や、文脈上すでに特定されている名詞(my mother など)を先行詞にする場合は、範囲を限定する必要がないため、基本的に
Non-defining relative clause(カンマあり) が使われます。ただし、my brother
のように複数の対象が存在し得る親族表現では、制限用法(カンマなし)も一般的に用いられます。
5. 使える関係詞と「カンマ + which」の特殊用法
非制限用法で使用できる関係代名詞・関係副詞の整理と、実用上極めて重要な「文全体を受ける which」を解説します。
非制限用法で使用できる関係詞一覧
| 関係詞 | 対象 | 格・役割 | 例文 |
|---|---|---|---|
| who | 人 | 主格 / 目的格 | Mr. Smith, who teaches English, retired. |
| whom | 人 | 目的格(フォーマル) | Her father, whom I met yesterday, is kind. |
| whose | 人・モノ | 所有格 | John, whose car was stolen, called the police. |
| which | モノ・節全体 | 主格 / 目的格 | Kyoto, which has many temples, is famous. |
| where | 場所 | 関係副詞 | We visited Rome, where we saw the Colosseum. |
| when | 時 | 関係副詞 | I arrived in 2010, when the museum opened. |
【特殊ルール】「カンマ + which」が前文全体や節の一部を受ける
非制限用法の which
は、直前の単語(名詞)だけでなく、直前の節全体、または文の一部(出来事・状況)を先行詞として受けることができます。
これは会話やニュース、論文で非常に高頻度で使われる便利な表現です。
(彼は期末試験に落ちたが、そのこと(=試験に落ちたこと)がみんなを驚かせた。)
この場合、and that や and this のような接続詞+指示代名詞のニュアンスに置き換えて理解することができます。
Cambridge Dictionary でも「関係代名詞 which
は単語1つだけでなく、文全体の主旨を指し示すために非制限用法としてよく用いられる」と解説されています。
Cambridge Dictionary:
Relative pronouns - which
6. 実用例文と訳し方のコツ(会話・ビジネス・論文)
非制限用法が含まれる英文を読む・訳すときのコツは、「後ろから返って訳すのではなく、前から順番に流して訳す(返り読みをしない)」ことです。
訳し下ろしのイメージ
[ ❌ 返り読み ] ハムレットを書いたシェイクスピアは、ストラトフォードで生まれた。
[ ⭕ 前から訳す ] シェイクスピアは(ちなみに)ハムレットを書いた人物だが、ストラトフォードで生まれた。
場面別の実用例文
- 日常会話:
My phone, which I bought only last month, is already broken.
(私のスマホは、先月買ったばかりなんだけど、もう壊れちゃったんだ。) - ビジネスメール:
Mr. Tanaka, who is managing this project, will contact you shortly.
(本プロジェクトを担当しております田中より、追ってご連絡申し上げます。) - ニュース・論文:
The government announced a new tax policy, which sparked widespread debate.
(政府は新たな税制政策を発表したが、これが広範な議論を引き起こした。) - 歴史・地理の説明:
Mount Fuji, which is the highest mountain in Japan, was registered as a World Heritage site in 2013.
(富士山は日本で最も高い山であるが、2013年に世界文化遺産に登録された。)
7. 知っておくと役立つ Non-defining relative clause の豆知識
① 話し言葉での発音(ポーズの置き方)
話し言葉(スピーキング)ではカンマを見ることができないため、話者は 関係節の前後に短いポーズ(間)を置く ことで、補足情報であることを聞き手に伝えます。
例:My brother [pause] who lives in Tokyo [pause] is a doctor.
と区切ることで非制限用法であることを音声で表現します。
② なぜ that は非制限用法で使えないのか
標準的な英文法において、関係代名詞 that は制限用法(defining relative
clause)でのみ使用され、非制限用法(non-defining relative clause)では使用しないルールになっています。
カンマを伴う追加補足の非制限用法では、人には who / whom、モノには which
を使用します。
③ 前置詞 + 関係代名詞 の非制限用法
フォーマルな文章では , in which や , about whom
のように前置詞が関係代名詞の前に置かれる非制限用法が多く見られます。
The company released its report, in which several errors were found.(会社は報告書を公表したが、その中にいくつかの誤りが見つかった。)
④ 数量表現との組み合わせ(most of which など)
all of which, some of whom, neither of which
などの数量表現を伴う非制限用法はライティングで極めて有用です。
She has written three books, all of which became
bestsellers.(彼女は3冊の本を書いたが、そのすべてがベストセラーになった。)
8. FAQ(よくある質問)
Q1. non-defining relative clause とは何ですか?
A. カンマで挟んで先行詞に追加の補足情報を与える関係節のことです。
「非制限用法の関係節」と呼ばれ、なくても文のメインの意味が成立する情報を添えます。
Q2. 制限用法(defining)との一番の違いは何ですか?
A. カンマの有無と、情報が「特定に必須か」「単なる追加か」という点です。
制限用法は名詞を絞り込むための必須情報(カンマなし)、非制限用法は単なる補足説明(カンマあり)です。
Q3. 非制限用法で that を使ってもいいですか?
A. いいえ、使えません。
カンマの直後で関係代名詞の that を使用することは英文法上の誤りとされます。人には who、モノには
which を使います。
Q4. 関係代名詞を省略することはできますか?
A. いいえ、省略できません。
目的格の関係代名詞であっても、非制限用法では必ず who(m) や which を明記しなければなりません。
Q5. 固有名詞の後は必ず非制限用法になりますか?
A. 多くの場合、非制限用法(カンマあり)になります。
London や John
などの固有名詞はすでに誰・何を指しているかが特定されているため、関係節で限定する必要がなく補足情報(非制限用法)になりやすいからです。ただし、文脈や特殊な状況では制限用法が使われることもあります。
Q6. 「カンマ + which」は文全体を受けることができますか?
A. はい、できます。
直前の単語だけでなく、直前の節全体や文の一部の出来事全体を先行詞として「そしてそのことは…」と受けることができます。
Q7. 会話(話し言葉)で非制限用法を使うときはどう表現しますか?
A. カンマの位置で一瞬のポーズ(間)を置きます。
ポーズを置くことで、先行詞に対する補足説明(追加情報)であることを聞き手に分かりやすく伝えます。
Q8. カンマは文末にも必要ですか?
A. 関係節が文の最後に来る場合は、直前に1つのカンマを置くだけです。
文の途中に割り込む場合のみ、前後を2つのカンマ(, who ...,)で挟みます。
9. まとめ
Non-defining relative clause(非制限用法の関係節)をマスターするための重要ポイントをまとめます。
- 非制限用法は「なくても文が成り立つ補足・追加情報」を添える
- 必ず節の前後にカンマ(,)を配置する
- 関係代名詞
thatは絶対に使用できない(who,whichを使用) - 目的格であっても関係代名詞の省略は不可
- 制限用法(カンマなし)は「範囲を絞り込む必須情報」
- 固有名詞や特定済み名詞の後は非制限用法になりやすい
, whichは直前の「文全体・出来事」を先行詞にできる- 訳すときは後ろから返らず、「前から順番に流して訳す」と自然
- スピーキングではカンマの位置で短くポーズを置く
all of whichやin whichなどの発展形もライティングで頻出
非制限用法は、単にカンマの有無という表面的なルールだけでなく、「書き手がその情報を文脈上でどのように位置づけているか(必須か補足か)」を伝えるための重要な文法表現です。
この仕組みを理解しておくと、英語のリーディングで筆者の意図を正確に読み取れるようになります。
文法用語やルールの暗記にとどまらず、「ネイティブが実際にどう使い分けているか」をアルファベット順(A-Z)で直感的に引ける定番の英文法リファレンスです。
Practical English Usage 4th Edition
世界中の英語学習者・英語教師が手元に置くバイブル。「この前置詞はどう使い分ける?」「似た単語のニュアンスの違いは?」といった疑問を即座に解決できる決定版。