英語の文章を正確に読み解く上で、最も重要な文法概念のひとつが noun clause(名詞節) です。
I know that she is right. や What you said is true. のように、<主語 +
動詞>を含む塊(節)が全体で1つの「名詞」として働く構造を指します。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- noun clause(名詞節)の基本的な定義と仕組み
- 文中で果たす4つの役割(主語・目的語・補語・前置詞の目的語)
- 名詞節を作る接続詞・疑問詞(
that、whether / if、what、howなど) that節の完全文とwhat節の不完全文の違い- 間違えやすい「副詞節」「形容詞節」との見分け方
- 間接疑問文(語順:疑問詞 + S + V)のルールと注意点
- 仮定法現在や形式主語
It構文などの応用表現
1. まず押さえる!Noun Clause(名詞節)とは?
noun clause(名詞節) とは、<主語+動詞>を含んだ「節(clause)」が、文の中で 1つの名詞と同じ働き(主語・目的語・補語など)をするグループのことです。
例えば、apple や the news などの単語(名詞)が入る位置に、<主語+動詞>を組み込んだ大きなまとまりが入るイメージです。
Noun Clause の全体像
名詞節は、何を頭に置いて文をつなぐか(導き手)によって主に4つのタイプに分類されます。
├── that 節(〜ということ・事実や意見)
├── whether / if 節(〜かどうか・不確実なこと)
├── 疑問詞節 / 間接疑問文(what, who, when, where, why, how など)
└── 複合関係代名詞節(whatever, whoever, whichever など)
名詞節の最大の特徴は、「文中の主語(S)・目的語(O)・補語(C)・前置詞の目的語」のいずれかになれるという点です。文中で主語や目的語などを担っているため、名詞節を取り除くと文の意味や構造が不完全になります。
代表例で比較
| 導き手 | 例文 | 文中の役割 | 意味 |
|---|---|---|---|
| that | I know that he is honest. |
目的語 (O) | 彼が誠実であること |
| whether / if | I wonder if it will rain. |
目的語 (O) | 雨が降るかどうか |
| 疑問詞 (what) | What you said is true. |
主語 (S) | あなたが言ったこと |
| 疑問詞 (where) | It depends on where you live. |
前置詞の目的語 | あなたがどこに住んでいるか |
2. 関連語:「Clause(節)」・「Phrase(句)」・「Sentence(文)」の違い
名詞節を正しく理解するために、文法用語である clause、phrase、sentence
の相違点を整理しておきましょう。
| 用語 | 品詞 / 単位 | 主語+動詞(S+V) | 特徴・例 |
|---|---|---|---|
| Phrase(句) | 名詞句・形容詞句など | 持たない | 2語以上からなる意味のまとまりで<S+V>を含まないもの(例:to study English) |
| Clause(節) | 名詞節・副詞節など | 含む | 大きな文の一部となる<S+V>の塊(例:that you are here) |
| Sentence(文) | 文全般 | 含む | 大文字で始まりピリオド等で終わる完結した1文 |
「名詞句」と「名詞節」の比較例文
- 名詞句(Noun Phrase): I like to play
tennis.
(私はテニスをすることが好きです。※独立したS+Vを持たない不定詞のまとまり) - 名詞節(Noun Clause): I know that you play
tennis.
(私はあなたがテニスをすることを知っています。※thatの後に S+V が含まれる)
3. 名詞節の4つの主要な役割(文法的な働き)
名詞節は、一単語の名詞(例:cat や information)と同じ位置に入ることができるため、文中で以下の4つの主要な役割を果たします。
① 文の主語(Subject)
文全体の主語(S)として機能します。名詞節が主語になる場合、原則として 単数扱い(単数動詞)を受けます。
| 名詞節(主語 S) | 動詞 (V) | 補語・目的語など |
|---|---|---|
That he will succeed |
is | certain.(彼が成功することは確実だ。) |
What you need right now |
is | a good rest.(あなたが今必要としているのは十分な休養だ。) |
Whether she agrees or not |
does not matter. | (彼女が同意するかどうかは問題ではない。) |
※ That... で始まる長い主語は頭重(head-heavy)になるため、実際の会話や文章では
It is certain that he will succeed. のように形式主語 It を使うのが一般的です。
② 他動詞の目的語(Direct Object)
他動詞の後ろに置かれ、動作の対象・内容を示す目的語(O)になります。名詞節の用法として最も頻出します。
| 主語+動詞 | 名詞節(目的語 O) | 和訳 |
|---|---|---|
| I believe | (that) honesty is the best policy. |
正直が一番の策だと信じている。 |
| She asked me | if I knew the answer. |
私が答えを知っているかどうか尋ねた。 |
| Do you know | where they live? |
彼らがどこに住んでいるか知っていますか? |
③ 主格補語(Subject Complement)
be動詞などの後ろに置かれ、主語(S)の内容を補足説明する補語(C)になります(S = C の関係)。
| 主語+be動詞 | 名詞節(補語 C) | 和訳 |
|---|---|---|
| The truth is | that we don't have enough time. |
真実は、時間が十分ないということだ。 |
| This is | what I was looking for. |
これが私の探していたものです。 |
| The point is | how we can solve the problem. |
ポイントは、問題をどう解決できるかだ。 |
④ 前置詞の目的語(Object of a Preposition)
in、about、on、to、from
などの前置詞の後ろに名詞節を配置する用法です。
| 主節+前置詞 | 名詞節(前置詞の目的語) | 和訳 |
|---|---|---|
| Pay attention to | what the teacher says. |
先生の言うことに注意を払いなさい。 |
| He is worried about | whether he can pass the exam. |
試験に合格できるか懸念している。 |
| You should decide based on | what is best for you. |
何が自分にとって最良かに基づき決めるべきだ。 |
that
節・if
節を置かない原則として、前置詞の直後に
that 節や if 節を直接続けることは避けられます。❌ He is interested in that she said. → ⭕ He is interested in what she said.
❌ It depends on if it rains. → ⭕ It depends on whether it rains.
※例外的に
in that...(〜という点において)や
except that...(〜ということを除いて)という固定的な接続詞的表現は存在します。
4. 名詞節をつくる主な接続詞・疑問詞の種類
どのような語によって名詞節が導かれるかを個別に深掘りします。
① that 節(完全な文を従える)
that 節は「〜ということ」の意味を持ち、後ろには文法的に欠落のない 完全な文(S+V+O/C) が続きます。
- 目的語での省略: 目的語となる that 節を導く接続詞
thatは、口語やカジュアルな文章でしばしば省略されます。
I think (that) it is a great idea. - 同格の that 節:
fact,news,idea,rumorなどの抽象名詞の後ろについて具体内容を表します。
The news that the president resigned shocked everyone.(大統領が辞任したというニュースは皆を驚かせた。)
② whether / if 節(〜かどうか)
不確実な事実や疑問を表し、「〜かどうか」を意味します。
| 語句 | 使える位置・役割 | 例文 |
|---|---|---|
| whether | 主語、目的語、補語、前置詞の目的語(万能) | Whether he will come is uncertain. |
| if | 主に動詞の目的語(O) | I don't know if he will come. |
※ if 節を主語や前置詞の目的語にする使い方は、標準的・フォーマルな英語では避けられます(例:❌ If he comes is
uncertain. → ⭕
Whether he comes is uncertain.)。
③ 疑問詞節(間接疑問文)
who, what, which, when, where,
why, how などの疑問詞が導く節です。
間接疑問文として文の中に組み込まれる場合、疑問文の語順(例: Where does he live?)ではなく、肯定文の語順(例: where he lives)に戻ります。
❌ I know where does he live.
⭕ I know where he lives.
④ 複合関係代名詞(-ever)
whatever(〜するものは何でも)、whoever(〜する人は誰でも)、whichever(〜するものはどちらでも)なども名詞節を作ります。
- Whoever wants to join us is welcome.(参加したい人は誰でも歓迎します。[主語])
- You can choose whatever you like.(好きなものを何でも選んでいいですよ。[目的語])
5. 【超重要】that 節 と what 節 の決定的な見分け方
TOEIC や大学受験などで極めて頻出するのが、「名詞節をつくる that と what の判別問題」 です。どちらも「〜ということ・もの」と訳せる場合があり混同しやすいですが、後ろに続く節の文法構造が決定的に異なります。
| 表現 | 品詞的性格 | 後ろの節の構造 | 例文 |
|---|---|---|---|
| that 節 | 接続詞 | 完全な文 (S, O, C が揃っている) |
I know that he bought a car.(S+V+Oが揃った完全文) |
| what 節 | 関係代名詞 (= the thing which) |
不完全な文 (SまたはOが欠けている) |
I know what he bought.(bought の目的語 O が欠けている) |
見分け方のフローチャート
2. S・V・O・Cが揃っている完全な文 =
that を選択3. 主語(S)や目的語(O)が欠けている不完全な文 =
what を選択
6. 名詞節 vs 副詞節 vs 形容詞節 の判別
that や if、when
などの単語は、名詞節だけでなく副詞節や形容詞節を作ることもあります。文脈と文法上の役割で見極める必要があります。
① if 節:名詞節(〜かどうか) vs 副詞節(もし〜なら)
| 種類 | 意味 | 時制のルール | 例文 |
|---|---|---|---|
| 名詞節 | 〜かどうか | 未来のことは will を使う | I don't know if he will come tomorrow. |
| 副詞節 | もし〜ならば | 未来のことでも 現在形を使う | If he comes tomorrow, I will talk to him. |
② that 節:名詞節 vs 形容詞節(関係代名詞)
- 名詞節の that: 前に名詞(先行詞)がなく、that節自体が文の S, O, C になる。
That she won the prize is amazing.(彼女が賞を取ったことは素晴らしい。) - 形容詞節の that(関係代名詞): 直前に修飾される「名詞(先行詞)」が存在する。
This is the book that I bought yesterday.(これは私が昨日買った本です。※the book を修飾)
7. 知っておくと役立つ名詞節の応用知識
① 形式主語 / 形式目的語の It 構文
名詞節(特に that 節)が主語や目的語になると長くなり読みづらいため、仮の It を置く構文が多用されます。
- 形式主語: It is important that we finish this on time.
- 形式目的語: I found it strange that he didn't call.
② 感情・確信を表す形容詞 + that 節
sure, certain, glad, sorry,
afraid などの形容詞の後ろに続く that 節は、文法上、形容詞の内容を補う「補部(complement)」としての働きをします。
I am sure that you will succeed.(あなたが成功することを確信しています。)
③ 提案・要求の動詞 + that 節(仮定法現在)
suggest, recommend, insist, demand
などの動詞に伴う that 節内では、動詞が 原形((should) + 動詞の原形) になります。
She suggested that he be present at the meeting.(主語が he であっても is や was ではなく原形 be / should be となる)
④ ビジネスメールで役立つ名詞節フレーズ
- Please let me know if you have any questions.(ご質問があるかどうかお知らせください。)
- We are pleased to announce that the project has started.(プロジェクトの開始をお知らせします。)
8. FAQ(よくある質問)
Q1. 名詞節と名詞句の違いは何ですか?
A. 塊の中に<主語 + 動詞>を含んでいるかどうかが違いです。
独立した主語や動詞を含まない塊(例:to study English / cooking dinner)は「名詞句」、<主語+動詞>を含む塊(例:that he is kind
/
what you want)は「名詞節」と呼ばれます。
Q2. that 節の that はいつでも省略できますか?
A. 動詞の目的語になる場合は省略可能ですが、主語になる場合や同格の場合は省略できません。
I think (that) it's good. のように目的語であれば省略できますが、文頭で主語になる
That he lied is true. の That は省略不可能です。
Q3. whether と if はいつでも言い換えられますか?
A. いいえ。主語や補語の位置、前置詞の後ろなどでは、標準的・フォーマルな英語では whether を使うのが基本です。
主語になる位置(Whether... is true)、補語の位置(The problem is whether...)、前置詞の後ろ(depend on
whether...)では whether を用いるのが標準的です。if は主に他動詞の目的語(例:I don't know
if...)の位置で使われます。
Q4. I don't know if he (will come / comes) tomorrow. はどちらが正しいですか?
A. will come が正しいです。
「彼が明日来るかどうか(名詞節)」を意味するため、未来の出来事には未来形 will come
を用います。「条件を表す副詞節(もし明日来れば)」の場合のみ現在形になります。
Q5. 間接疑問文で語順を間違えないコツは?
A. 疑問詞の後ろを「普通の肯定文(S + V)」の順番に戻すと意識することです。
❌ what is your name → ⭕ what your name is のように、動詞を主語の後ろに配置し直す必要があります。
Q6. what 節は単数扱いですか?複数扱いですか?
A. 原則として単数扱いですが、補語が複数の場合は複数動詞をとることもあります。
基本は What I need is time. のように単数扱いですが、What I need are
books. のように意味上複数を指す場合は複数動詞が使われるケースもあります。
9. まとめ
Noun Clause(名詞節)をマスターするための重要ポイントを整理します。
- 名詞節は、<S + V>を含む塊全体が1つの名詞として働くもの
- 文中で 主語(S)・目的語(O)・補語(C)・前置詞の目的語 の4つの役割を果たす
that節(〜ということ)は後ろに 完全な文 が続くwhat節(〜なこと・もの)は後ろに 不完全な文(SやOの欠如)が続くwhether / if節は「〜かどうか」を意味し、前置詞の後や主語の位置ではwhetherを使うのが標準的- 間接疑問文の名詞節は <疑問詞 + S + V> の語順を守る
- 「〜かどうか」を意味する名詞節の
if節では、未来の出来事にwillを使う
英語の長文を読む際に、名詞節を [ 括弧 ] でくくって文の骨組み(S, V, O, C)を把握できるようになると、複雑な英文の構造が一気にクリアに見えるようになります。
文法用語やルールの暗記にとどまらず、「ネイティブが実際にどう使い分けているか」をアルファベット順(A-Z)で直感的に引ける定番の英文法リファレンスです。
Practical English Usage 4th Edition
世界中の英語学習者・英語教師が手元に置くバイブル。「この前置詞はどう使い分ける?」「似た単語のニュアンスの違いは?」といった疑問を即座に解決できる決定版。