英語を学ぶ上で避けて通れない最重要の文法概念の一つが plural(複数形) です。
日本語では「本」という言葉が1冊でも10冊でも同じ形ですが、英語では book と books
のように、数量が2つ以上(または2人以上)になると形を変化させます。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- plural の基本的な意味と単数形(singular)との違い
- 規則変化のスペリングルール(-s, -es, -ies, -ves)と語尾の発音(/s/, /z/, /ɪz/)
childrenやfeetなどの代表的な不規則変化名詞sheepやfishなどの単複同形名詞glasses、scissors、belongingsなど常に複数形で扱う名詞(pluralia tantum)- ラテン語・ギリシャ語由来の外来複数形(
data,analysesなど) - 複数形に伴う主語と動詞の一致(Subject-Verb Agreement)
1. まず押さえる!Plural の基本概念
plural は、文法上の「数(Number)」において、対象となる人・物・事柄が 2つ以上(または2人以上)
であることを表す形(複数形)です。辞書ではしばしば pl. と略記されます。
対象が「1つ(1人)」であることを表す singular(単数形 / 略記: sing.) と対比して用いられます。
Cambridge Dictionary でも、plural を「2つ以上の人や物を指す単語の形態」と定義しています。
[Cambridge Dictionary:
Nouns: singular and plural]
Plural(複数形)の全体像
英語の名詞の複数形は、次のように分類できます。
├── Regular Plurals(規則変化:語尾に -s, -es などをつける)
│ └── cats, boxes, cities, leaves など
├── Irregular Plurals(不規則変化:母音が変化したり語尾が変わる)
│ └── men, feet, children, mice など
├── Zero Plural / Invariable(単複同形:単数形と複数形が同じ形)
│ └── sheep, deer, fish, series, means など
├── Pluralia Tantum(常に複数形:2部構造の道具・衣服、定着した複数名詞)
│ └── scissors, glasses, trousers, belongings, stairs など
└── Foreign Plurals(外来複数形:ラテン語・ギリシャ語由来の伝統的な複数形)
└── data, criteria, hypotheses, analyses, fungi など
代表例で比較
| 分類 | 単数形 (Singular) | 複数形 (Plural) | 特徴・変化方法 |
|---|---|---|---|
| 規則変化 | apple / bus | apples / buses | 語尾に -s や -es を付ける |
| 不規則変化 | man / tooth | men / teeth | 母音が変化する(語尾に-sがつかない) |
| 単複同形 | sheep / deer | sheep / deer | 単数形と複数形で形が変わらない |
| 常に複数形 | - (a pair of ...) | scissors / pants | 対になる構造や慣用で常に複数扱い |
| 外来複数形 | criterion / analysis | criteria / analyses | ギリシャ語・ラテン語などの伝統的語形を保持 |
2. 規則変化のルールとスペリング
英語の名詞の大多数は 規則変化(Regular Plurals) をします。基本は語尾に -s
を付けるだけですが、語尾のスペリングによってルールが分かれます。
| 語尾の条件 | 変化ルール | 単数形 | 複数形 |
|---|---|---|---|
| 一般的な名詞 | -s を付ける |
book / dog / car | books / dogs / cars |
| -s, -sh, -ch, -x, -z で終わる語 | -es を付ける |
bus / dish / watch / box | buses / dishes / watches / boxes |
| 〈子音字 + y〉で終わる語 | y を i に変えて -es |
city / baby / story | cities / babies / stories |
| 〈母音字 + y〉で終わる語 | そのまま -s を付ける |
boy / key / day | boys / keys / days |
| -f, -fe で終わる語(一部) | f, fe を v に変えて -es |
leaf / wolf / life / knife | leaves / wolves / lives / knives |
| -o で終わる語 | -es または -s(単語により異なる) |
tomato / hero photo / piano |
tomatoes / heroes photos / pianos |
-f / -fe や -o の複数形は単語ごとに確認
leaf → leaves のように -ves に変化する語がある一方で、単に -s
を付ける名詞(roof → roofs, cliff → cliffs,
chef → chefs)も多く存在します。語尾の綴りだけで一律に決まる完全な一般則はないため、単語ごとに形を確認して覚えるのが安全です。
また、-o で終わる名詞も、tomatoes, heroes のように -es
を付ける語、photos, pianos, memos のように -s
だけを付ける語、さらには volcanos / volcanoes のように両方の綴りが認められている語があります。
複数形の語尾 -s / -es の発音ルール
複数形語尾の -s または -es は、直前の音によって3通りの発音になります。
| 発音 | 条件 | 例 |
|---|---|---|
| /s/(無声音) | 無声子音(/p/, /t/, /k/, /f/, /θ/ など)の直後 | cats (/kæts/), books (/bʊks/), caps (/kæps/) |
| /z/(有声音) | 有声音(母音、/b/, /d/, /ɡ/, /v/, /m/, /n/, /l/ など)の直後 | dogs (/dɒɡz/), cars (/kɑːrz/), boys (/bɔɪz/) |
| /ɪz/ または /əz/ | 歯擦音(/s/, /z/, /ʃ/, /tʃ/, /dʒ/ など)の直後 | buses (/ˈbʌs.ɪz/), watches (/ˈwɒtʃ.ɪz/), boxes (/ˈbɒk.sɪz/) |
3. 不規則な複数変化(Irregular Plurals)
語尾に -s や -es を付けず、単語の内部の母音を変化させたり、歴史的な語尾を残していたりする名詞を
不規則変化名詞 と呼びます。
日常で頻出する不規則名詞
| 単数形 | 複数形 | 意味 | 変化の特徴 |
|---|---|---|---|
| man | men | 男性、人 | a → e に母音変化 |
| woman | women | 女性 | 発音も /ˈwɪm.ɪn/ に変化 |
| child | children | 子ども | -ren が付く不規則形 |
| foot | feet | 足、フィート | oo → ee に母音変化 |
| tooth | teeth | 歯 | oo → ee に母音変化 |
| goose | geese | ガチョウ | oo → ee に母音変化 |
| mouse | mice | ネズミ | -ice に変化 |
| ox | oxen | 雄牛 | -en が付く古形 |
| person | people(形式的には persons) | 人 | 通常は people を用いる |
例文
- Both men and women attended the seminar.(男女双方がセミナーに出席しました。)
- The children are playing in the park.(子どもたちが公園で遊んでいます。)
- Brush your teeth twice a day.(1日2回歯を磨きなさい。)
ラテン語・ギリシャ語由来の外来複数形
学術論文、医学、科学技術などの専門分野では、語源(ギリシャ語やラテン語)に由来する伝統的な複数形が広く使われています。なお、語によっては英語式の複数形(-es, -s)と併用されるものもあります。
| 単数形 | 複数形 | 語尾の変化 | 意味 |
|---|---|---|---|
| analysis | analyses | -is → -es | 分析 |
| basis | bases | -is → -es | 基礎、根拠 |
| crisis | crises | -is → -es | 危機 |
| hypothesis | hypotheses | -is → -es | 仮説 |
| criterion | criteria | -on → -a | 基準 |
| phenomenon | phenomena | -on → -a | 現象 |
| datum | data | -um → -a | データ、資料 |
| medium | media(または mediums) | -um → -a | 媒体、メディア |
| fungus | fungi(または funguses) | -us → -i | 菌類、キノコ |
4. 単複同形名詞と常に複数形の名詞
① 単複同形名詞(Zero Plural)
単数形と複数形がまったく同じ形の名詞です。文脈や冠詞(a / an)、動詞の形(is /
are)で単数か複数かを判断します。
| 名詞 | 単数としての例 | 複数としての例 |
|---|---|---|
| sheep(羊) | a sheep is grazing | ten sheep are grazing |
| deer(鹿) | one deer was seen | many deer were seen |
| fish(魚) | a fish swims | two fish swim |
| species(種) | a rare species | several new species |
| series(シリーズ) | a TV series is | two TV series are |
| means(手段) | a means of transport is | all possible means are |
※means や species、series は末尾に -s
が付いていますが、単数・複数ともに同じ means, species, series
という形をとる単複同形名詞です。
※fish の複数形に fishes を使う場合もありますが、これは生物学などで「複数種の魚(species of
fish)」を区別・強調する文脈で主に用いられます。通常の匹数を表すときは three fish のように単複同形とします。
② 常に複数形で使われる名詞(Pluralia Tantum)
2つの対称的な部分から成る道具や衣服のほか、慣用的に複数形で定着している名詞は、常に複数形(-s 付き)で表され、動詞も複数扱いになります。
| 分類 | 代表例 | 数え方 / 特徴 |
|---|---|---|
| 2つの部分からなる衣服 | pants, trousers, jeans, shorts, pajamas | a pair of pants / two pairs of pants |
| 2つの部分からなる道具 | scissors, glasses (眼鏡), binoculars, pliers | a pair of scissors / two pairs of glasses |
| 状態・環境・感情など | belongings (所持品), surroundings (周囲の環境), congratulations (お祝い), stairs (階段) | 常に複数名詞・複数動詞として扱う |
※glasses は「眼鏡」の意味では常に複数形ですが、「ガラス製品」「コップ」の意味(glass)の規則的な複数形(two
glasses of water)としても存在します。
例文と主語・動詞の一致
A pair of scissors is on the desk.(ハサミ1丁が机の上にある。※a pair of が主語の中核となるため単数扱い)
5. 複合名詞や固有名詞の複数形
① 複合名詞(Compound Nouns)の複数形
2つ以上の語からなる複合名詞では、通常 中心となる名詞(Head noun) を複数形にします。
passer-by→ passers-by(通行人)mother-in-law→ mothers-in-law(義理の母)editor-in-chief→ editors-in-chief(編集長)looker-on→ lookers-on(傍観者)
※中心となる名詞がない語(grown-up, breakthrough
など)は末尾を複数形にします(grown-ups, breakthroughs)。
② 固有名詞や苗字の複数形
苗字に the ...s / the ...es を付けることで、「〜家の人々」「〜一家」を表します。
Smith→ the Smiths(スミス一家/スミス家の人々)Jones→ the Joneses(ジョーンズ一家 ※-sで終わる苗字には -es)Kennedy→ the Kennedys(ケネディ一家 ※固有名詞は y→ies にせず単に -s)
※アポストロフィーを付けて「the Smith's」と書くのは文法的に誤りです。
6. 複数形と主語・動詞の一致(Subject-Verb Agreement)
英語では、主語が単数形なら動詞は単数形(現在形なら三単現の
-s、is、has)、主語が複数形なら動詞は複数形(原形、are、have)に対応させる必要があります。
| パターン | 例文 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常の複数主語 | The students are studying. | 複数名詞には複数動詞(are) |
| 不規則複数主語 | The children have gone to bed. | -s が付いていなくても children は複数扱い(have) |
| 集合名詞 (people/police) | The police are investigating. | police や people は常に複数動詞を受ける |
| 見た目が-sで終わる単数名詞 | News is updated hourly. | news や 学問名(physics, economics)は単数扱い(is) |
| 時間・金額・距離の単位 | Ten dollars is enough. | 1つのまとまりとして捉える場合は単数扱い |
[誤] The police is coming. ❌
[正] The police are coming. ⭕(警察は常に複数扱い)
[誤] Physics are my favorite subject. ❌
[正] Physics is my favorite subject. ⭕(学問名は-sが付いていても単数扱い)
7. 知っておくと役立つ複数形の豆知識
① data(データ)は単数?複数?
data は語源上、ラテン語 datum の複数形です。伝統的・学術的な文脈では複数扱い(The data
show...)とする書法が残っていますが、現代英語では不可算名詞として単数扱い(The data
is...)することも非常に広く定着しています。
※論文やビジネス文書では、対象の分野や出版元のスタイルガイド(APA、Chicagoなど)の指示に従うのが一般的です。
② ゼロ(0)の後ろは単数?複数?
英語では「1」以外の数量(0や小数点を含む数値)には通常 複数形 を用います。
- 0 degrees Celsius(0度)
- 0.5 miles(0.5マイル ※1未満でも複数形)
- 1 dollar(1ドル ※1のみ単数形)
③ 数字やアルファベットの複数形
1980年代を指す the 1980s や、文字の複数を指す two As and three Bs
では、通常アポストロフィーなしで -s を付けます。ただし dot your i's and cross your t's
のように、小文字に -s を付けると単語(is など)と見分けがつかなくなる場合に限り、慣習的に 's が用いられます。
④ staff や family の単数・複数扱い
集団を1つの組織・単位として見る場合は単数扱い(Our staff is dedicated.)、構成員一人ひとりに着目する場合は複数扱い(Our staff are working remotely.)になります。イギリス英語では集合名詞を複数動詞で受ける傾向がアメリカ英語よりも強く見られます。
8. FAQ(よくある質問)
Q1. plural と singular の違いは何ですか?
A. singular は「単数(1つ・1人)」、plural は「複数(2つ以上・2人以上)」を表します。
辞書などでは singular を sing.、plural を pl. と略すのが一般的です。
Q2. 不可算名詞(Uncountable Nouns)に複数形はありますか?
A. 原則として不可算名詞には複数形(-s)がありません。
information、advice、furniture、baggage
などは複数形にできず、数を数えたいときは a piece of advice / two pieces of furniture のように単位表現を使います。
Q3. person の複数形は people ですか? persons ですか?
A. 日常的な会話や一般的な文章では people を用います。
persons は people よりも硬く形式的な語で、法律文書・行政規則(例: persons under
18、authorized persons)や警察の公表(例: missing
persons)、エレベーターの積載表示などで用いられます。
Q4. なぜ glasses や scissors は常に複数形なのですか?
A. 2つの対称的な部品が組み合わさって1つの道具を形成しているためです。
レンズが2つある眼鏡(glasses)や刃が2枚あるハサミ(scissors)、脚を通す部分が2つあるズボン(pants/jeans)などは複数形として扱われます。1つ・2つと数える場合は
a pair of scissors / two pairs of pants のように pair を用います。
Q5. sheep や deer はなぜ複数形に -s が付かないのですか?
A. 古英語などの歴史的な語形変化の名残です。
英語の歴史の中で名詞の語尾変化が整理されていく過程において、特定の語群(sheep, deer, fish など)が単数・複数同形のまま現代英語に残りました。
Q6. money や water を複数形にすることは絶対にできませんか?
A. 特殊な文脈(「資金」「海域」など)では複数形になることがあります。
例えば法的な公的資金を指す public monies / moneys や、特定の領海・水域を指す
international waters など、意味が専門化・限定化された場合に複数形が用いられます。
9. まとめ
Plural(複数形)をマスターするための重要ポイントを整理します。
- Plural(複数形)は、対象が2つ(2人)以上であることを表す文法形態
- 規則変化の基本は語尾に
-sまたは-esを付ける(語尾のスペリングや発音の違いに注意) -f / -feや-oで終わる語は、変化パターン(-ves / -es / -s)を個別に確認するman → men、child → childrenなどの不規則変化は頻出語から覚えるsheep、deer、fish、meansなどは単数形と複数形が同じ(単複同形)scissors、glasses、pantsなどの Pluralia Tantum は複数形で扱い、数える時は a pair of を用いる- 学術用語にはラテン語・ギリシャ語由来の外来複数形(
analyses,criteria等)が存在する - 主語が複数形になると、受ける動詞も複数形(are / have / 一般動詞の原形)に一致させる必要がある
名詞の複数形は英語の基礎ですが、不規則変化や単複同形、主語と動詞の一致など、注意すべき点が多数あります。
規則性と個別の慣用を正しく整理して覚えておくことで、ライティングやスピーキングの正確さが格段に向上します。
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