英語のリーディングやリスニングで「一文が長くて構造がつかめない」「どこが主語でどこが動詞かわからなくなる」と感じたことはありませんか?その大きな原因の一つが postmodifier(後置修飾語 / 後置修飾) です。
日本語は「昨日の夜に駅前で買った本」のように、修飾する言葉を名詞の前に置くのが自然です。一方の英語では、前置詞句や節などのまとまりになると
the book [that I bought in front of the station last night]
のように名詞の後ろに置くことが多くあります。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- postmodifier(後置修飾語)の基本的な意味と役割
- 前置修飾(premodifier)との違い
- postmodifier の代表的な種類(前置詞句・分詞・関係詞など)
- なぜ英語は名詞の後ろから説明を付け足すのか
- 修飾語が重なる「多重後置修飾」の構造把握法
- 長文読解で主語と動詞を見失わないための見抜き方
1. まず押さえる!Postmodifier は「後ろから説明を足す修飾語」
postmodifier(名詞形:postmodification)とは、修飾する対象(主に名詞や代名詞などの主要部:Head)の「後ろ」に置かれて、その意味を限定したり追加の説明を加えたりする語句のことです。
接頭辞の post-(〜の後)+
modifier(修飾語)という成り立ちから、日本語では「後置修飾語」「後置修飾要素」「後置修飾」と呼ばれます。
各種英文法書や辞書(Cambridge Dictionaryなど)でも、名詞句(Noun Phrase)などにおいて主要部(Head)の後に続く修飾要素として定義されています。
修飾語の全体像
名詞を修飾する要素(Modifier)は、名詞に対して置かれる位置によって大きく2つに分かれます。
├── Premodifier(前置修飾語:主要部の前に置く)
│ └── 1語の形容詞、分詞、名詞修飾語など(a red apple, a sleeping baby)
└── Postmodifier(後置修飾語:主要部の後ろに置く)
├── 前置詞句(the book on the desk)
├── 現在分詞句(the girl playing tennis)
├── 過去分詞句(the letter written in English)
├── to不定詞(a place to study)
├── 関係詞節(the person who called you)
└── 形容詞句・特定形容詞(something cold, tickets available)
前置修飾と後置修飾の比較
| 区分 | 位置 | 英語の例 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| Premodifier (前置修飾語) |
名詞の前 | a beautiful flower | 美しい花 |
| Postmodifier (後置修飾語) |
名詞の後ろ | the flower in the garden | 庭にある花 |
| Premodifier | 名詞の前 | a sleeping baby | 眠っている赤ちゃん |
| Postmodifier | 名詞の後ろ | the baby sleeping in the crib | ベビーベッドで眠っている赤ちゃん |
2. 関連する重要文法用語の整理
後置修飾を正しく理解するために、文法書で登場する関連用語の違いを整理しておきましょう。
| 用語 | 品詞 / 役割 | 意味・解説 |
|---|---|---|
| Modifier | 名詞 | 修飾語(他の語の意味を詳しく説明・限定する語句の総称) |
| Premodifier | 名詞 | 前置修飾語(被修飾語の前に置かれる修飾語) |
| Postmodifier | 名詞 | 後置修飾語(被修飾語の後ろに置かれる修飾語) |
| Head / Head word | 名詞 | 主要部・被修飾語(修飾される中心となる語。名詞句では中心名詞) |
| Postmodify | 動詞 | 後置修飾する(語句の後ろから修飾する) |
| Postmodification | 名詞 | 後置修飾(後ろから修飾する構文・現象そのもの) |
名詞句(Noun Phrase)における位置関係
・Premodifier:
These beautiful(前置修飾語)・Head(中心名詞):
cars(主要部)・Postmodifier:
made in Japan(後置修飾語)
3. Postmodifier の代表的なパターン
英語で名詞の後ろに置かれる代表的な postmodifier には、主に以下のようなパターンがあります。
① 前置詞句(Prepositional Phrase)
「前置詞 + 名詞」 のカタマリが、直前の名詞を後ろから修飾する頻出パターンです。「〜にある」「〜の」「〜を持った」などの情報を付け足します。
| 名詞 + Postmodifier | 構成 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| the man with glasses | with(前置詞)+ glasses | メガネをかけた男性 |
| the book on the desk | on(前置詞)+ the desk | 机の上にある本 |
| a city in northern Italy | in(前置詞)+ northern Italy | 北イタリアにある都市 |
例文
- The woman with the red umbrella is my
teacher.
(赤い傘を持った女性は私の先生です。) - I found a solution to the problem.
(私はその問題に対する解決策を見つけました。)
② 現在分詞句(Present Participle Phrase:-ing)
「動詞の -ing 形 + 目的語・修飾語など」 のカタマリで、能動的な動作や進行中の状態を表しながら直前の名詞を修飾します。
| 名詞 + Postmodifier | 構成 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| the boy playing soccer | playing + 目的語 (soccer) | サッカーをしている少年 |
| students waiting for the bus | waiting + 前置詞句 | バスを待っている生徒たち |
| the sound coming from upstairs | coming + 前置詞句 | 上の階から聞こえてくる音 |
例文
- Do you know the girl talking to Ken?
(ケンと話している女の子を知っていますか?) - Passengers traveling to London must go to Gate
5.
(ロンドンへ行かれる乗客は5番ゲートへお進みください。)
③ 過去分詞句(Past Participle Phrase:-ed / p.p.)
「動詞の過去分詞(p.p.) + 修飾語など」 のカタマリで、受動や完了の状態を表しながら直前の名詞を修飾します。
| 名詞 + Postmodifier | 構成 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| a letter written in French | written(過去分詞)+ 前置詞句 | フランス語で書かれた手紙 |
| cars manufactured in Japan | manufactured + 前置詞句 | 日本で製造された車 |
| the data collected by the team | collected + 前置詞句 | チームによって集められたデータ |
例文
- The software developed by this company is widely
used.
(この会社によって開発されたソフトウェアは広く使われています。) - Any items left in the room will be
discarded.
(部屋に残された物品はすべて処分されます。)
④ to不定詞(Infinitive Phrase / 形容詞的用法)
「to + 動詞の原形」 が名詞の後ろに付き、「〜するための」「〜すべき」という目的・予定・義務などのニュアンスを加えます。
| 名詞 + Postmodifier | ニュアンス | 日本語訳 |
|---|---|---|
| something to eat | 食べるための(目的) | 何か食べるもの |
| a lot of work to do | やるべき(義務) | やるべき多くの仕事 |
| a quiet place to study | 勉強するための(用途・目的) | 勉強するための静かな場所 |
例文
- I need some time to think about
it.
(それについて考えるための時間が少し必要です。) - She was the first person to arrive at the
office.
(彼女はオフィスに最初に到着した人でした。)
⑤ 関係詞節(Relative Clause)
who, which, that, where, when, why などの関係詞に導かれる「主語+動詞」を含む節(節=clause)が、直前の名詞(先行詞)を詳しく説明します。
| 名詞 + Postmodifier | 関係詞の種類 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| the doctor who treated me | 関係代名詞(主格:who) | 私を治療してくれた医師 |
| the movie (that) I watched yesterday | 関係代名詞(目的格:that省略可) | 私が昨日見た映画 |
| the town where I was born | 関係副詞(場所:where) | 私が生まれた町 |
例文
- The report which he submitted this morning was very
detailed.
(彼が今朝提出したレポートはとても詳細でした。) - This is the reason why I chose this
career.
(これが私がこの仕事を選んだ理由です。)
⑥ 形容詞(句)(Adjective Phrase)
形容詞は名詞の前に置かれることが多いですが、特定の代名詞(-thing, -body,
-one)を修飾する場合や、形容詞自身が前置詞句などを伴って長いカタマリになる場合は後ろに置かれます。
| 名詞 + Postmodifier | 後置される理由 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| something cold | -thing 代名詞を修飾 | 何か冷たいもの |
| a person capable of doing it | 形容詞が前置詞句を従えている | それを実行する能力がある人 |
| all the tickets available | 特定形容詞(available, present等) | 手に入るすべてのチケット |
例文
- Let’s go somewhere quiet.
(どこか静かな場所へ行きましょう。) - They hired a consultant responsible for international
sales.
(彼らは海外営業を担当するコンサルタントを雇いました。)
⑦ その他の後置要素:同格(Apposition)や補部(Complement)
文法体系(Cambridge Grammar等)によっては修飾語(Modifier)と明確に区別されることもありますが、学習上、名詞の後ろに置かれてその中身を説明する要素として「同格の名詞」や「that節」などがあります。
| 英語の例 | 形式・役割 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| the fact that Earth is round | 名詞を補足する that 節(補部) | 地球が丸いという事実 |
| Mr. Smith, the CEO of the company | 同格名詞句(Apposition) | その会社のCEOであるスミス氏 |
例文
- There is no doubt that technology changes our
lives.
(テクノロジーが私たちの生活を変えるということに疑いの余地はありません。) - My friend Ken helped me with my
homework.
(私の友人であるケンが宿題を手伝ってくれました。)
4. なぜ英語は名詞の「後ろ」から修飾するのか?
英語において修飾語を名詞の後ろに置く構造(Postmodification)が多く使われる背景には、英語の語順に関する基本的な特徴があります。
傾向:前置修飾と後置修飾のバランス
英語では、1語の形容詞などは名詞の前に置かれることが多い一方、前置詞句や関係詞節、分詞句などのまとまりのある修飾語は名詞の後ろに置かれるのが一般的です。
【後置修飾】 a baby [sleeping in the car](車の中で眠っている赤ちゃん)
【前置修飾】 a used car(中古車)
【後置修飾】 a car [used by my brother](兄に使われていた車)
エンド・ウェイト(End-Weight:末尾重心の原則)
英語には「長くて情報量の多い要素は後ろに置く」という傾向(End-Weight の原則)があります。
すべての修飾語を名詞の前に置いてしまうと、文の核となる中心名詞(Head)がどこにあるのかが捉えにくくなります。英語はまず中心となる名詞を提示し、そのあとに詳しい説明を付け加えることで、聞き手や読み手の理解の負担を減らしています。
5. 長文読解でつまずかない!Postmodifier の見抜き方
長文読解で文構造を見失いやすい原因の一つが、「主語の直後にある後置修飾(過去分詞など)を述語動詞と勘違いすること」です。
よくある罠:過去形動詞 vs 過去分詞の後置修飾
次の文の「本当の動詞(述語動詞)」はどれでしょうか?
❌ sent を述語動詞と捉えると:「レポートは昨日マネージャーに送った…?」となり意味が破綻します。
⭕ sent to the manager yesterday は The report
を修飾する過去分詞の後置修飾です。
・主語(S):
The report・後置修飾(M):
[sent to the manager yesterday](昨日マネージャーに送られた)・述語動詞(V):
contained(〜を含んでいた)・目的語(O):
several errors(いくつかの誤り)訳:昨日マネージャーに送られたそのレポートには、いくつかの誤りが含まれていました。
多重後置修飾(後置修飾が2つ以上重なるケース)
英文では、1つの名詞に対して複数の後置修飾が連続して付くことがあります。
・主要部(名詞):
the photo・Postmodifier 1:
on the wall(壁にある / 前置詞句)・Postmodifier 2:
taken by my grandfather when he was young(祖父が若かった頃に撮られた /
過去分詞句)(※
when he was young は過去分詞
taken を修飾する副詞節)訳:祖父が若かった頃に撮った、壁に掛かっている写真を見てごらん。
6. 制限用法と非制限用法の違い(カンマの有無)
関係詞節や分詞句などの後置要素は、カンマ(,)を伴うかどうかで修飾の働きが異なります。
| 用法 | カンマ | 英語例文 | 働きの違い |
|---|---|---|---|
| 制限用法 (Restrictive) |
なし | My brother who lives in Tokyo is a doctor. | 「東京に住んでいるほうの兄」は医者です。 (複数いる兄弟の中から特定・限定する) |
| 非制限用法 (Non-restrictive) |
あり(,) | My brother, who lives in Tokyo, is a doctor. | 私の兄(東京に住んでいます)は医者です。 (すでに特定されている兄に補足情報を添える) |
制限用法: 先行詞の意味を限定し、「どの名詞か」を特定する。
非制限用法: すでに特定されている名詞に対して、補足的な説明(追加情報)を加える。
7. 知っておくと役立つ Postmodifier の関連知識
① 位置で意味が変わる形容詞
present や responsible など一部の形容詞は、名詞の前か後ろかで表す意味が変化します。
- the present members(現在の会員)
- the members present(出席している会員)
- the responsible person(信頼できる・責任感のある人)
- the person responsible(担当者・責任のある人)
② 分詞と関係詞節の関係
分詞句による後置修飾は、関係詞節を簡潔に表現した形として捉えると構造を整理しやすくなります。
例:the book [which was] written by him →
the book written by him。
この関係を理解しておくと、分詞の修飾構文をすっきりと読み解くことができます。
③ 形容詞を後置修飾する副詞
postmodifier は名詞句だけでなく、形容詞の後ろに置かれて修飾することもあります。
・形容詞の後置修飾:good enough(十分良い / enough
は形容詞の後ろに置かれる)
④ 名詞を後置修飾する副詞
場所や時を表す副詞は、名詞の後ろから直接修飾することがあります。
・the room upstairs(上の階の部屋)
・the day before(前日)
・the way back(帰り道)
8. FAQ(よくある質問)
Q1. Postmodifier と Premodifier の違いは何ですか?
A. 被修飾語(名詞など)の「後ろ」に置くか「前」に置くかの違いです。
a red apple(赤いリンゴ)のように前に置くのが
Premodifier、the apple on the table(テーブルの上のリンゴ)のように後ろに置くのが Postmodifier です。
Q2. なぜ形容詞が1語なのに名詞の後ろに置かれることがあるのですか?
A. something, anyone などの代名詞を修飾する場合や、特定の語彙(available,
present等)だからです。
-thing, -body, -one
で終わる代名詞は、1語の形容詞でも後ろから修飾します(例:something new ⭕ / new something
❌)。
Q3. 日本人学習者が後置修飾を難しく感じる理由は何ですか?
A. 日本語では英語のように名詞の後ろに長い説明を置く語順が一般的ではないためです。
日本語は修飾語を名詞の前に置く傾向が強いため、英語の「主要部を先に提示してから後ろに説明を足す」という語順リズムに慣れることが大切です。
Q4. that 節の「同格」と「関係代名詞」はどう見分けますか?
A. that の後ろの節が「完全な文」なら同格(補部)、「不完全な文(主語や目的語が欠けている)」なら関係代名詞です。
・同格:the news that he died(he died で文が完結している)
・関係詞:the news that I heard yesterday(heard の目的語が欠けている)
Q5. 長文読解で後置修飾を素早く見抜くコツはありますか?
A. 名詞の直後にある「前置詞」「-ing」「過去分詞」「to」「関係詞」に注目してカッコ [ ] でくくる練習が効果的です。
修飾語のカタマリを一度カッコでくくり、「主語 + 述語動詞」の骨格を先につかむことで、長い文でも迷わず構造を把握できます。
Q6. Postmodifier の品詞は何になりますか?
A. Postmodifier は特定の品詞名ではなく、「名詞などの後ろに置かれて説明を加える働き」を表す文法用語です。
前置詞句、分詞句、関係詞節、形容詞句、副詞など、さまざまな形の語句が Postmodifier として機能します。
9. まとめ
Postmodifier(後置修飾語)を整理するための重要ポイントです。
- Postmodifier は、名詞などの主要部の「後ろ」に置かれて説明を付け足す要素
- 前置詞句・分詞句・関係詞節など、まとまりのある修飾語は名詞の後ろに置かれることが多い
something newのように、1語の形容詞でも代名詞の性質などによって後ろに置かれる場合がある- 代表的なパターン:前置詞句、現在分詞句(-ing)、過去分詞句(-ed)、to不定詞、関係詞節、形容詞句など
- 長文読解では「過去分詞の後置修飾」を述語動詞と見誤らないように注意する
- カンマなしは「先行詞の限定(制限用法)」、カンマありは「補足説明(非制限用法)」を表す
- 名詞の後ろの修飾語をカッコ [ ] でくくり、「主語(S)+ 述語動詞(V)」の骨格を素早く見抜く ことが速読のコツ
英語の文章が難しく・長く感じられる原因の多くは、この postmodifier による情報の追加です。
「名詞のあとに説明が続く」という英語本来のリズムを意識しながら、頭から英文を理解していきましょう。
文法用語やルールの暗記にとどまらず、「ネイティブが実際にどう使い分けているか」をアルファベット順(A-Z)で直感的に引ける定番の英文法リファレンスです。
Practical English Usage 4th Edition
世界中の英語学習者・英語教師が手元に置くバイブル。「この前置詞はどう使い分ける?」「似た単語のニュアンスの違いは?」といった疑問を即座に解決できる決定版。