英語を学ぶ上で欠かせない品詞の1つが preposition(前置詞) です。
in、on、at、to、for、with、by
などの短い単語ですが、名詞などと結びつくことで「場所」「時」「方向」「手段」「理由」といった様々な関係性を示します。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- preposition の語源と基本的な役割
- 前置詞が作る「前置詞句」の働き(名詞修飾・動詞修飾・補語)
- 「場所」「時」「方向」を表す代表的な前置詞とコアイメージ
in / on / atやby / until、for / duringの使い分け- 前置詞の後ろに来る形(動名詞 vs 不定詞)
- 前置詞と副詞・接続詞の見分け方
- 前置詞をつけてはいけない他動詞(
discuss,marryなど)
1. まず押さえる!Preposition の基本と語源
preposition は、日本語で「前置詞」と呼ばれる品詞です。
語源を分解すると、pre-(前に)+ position(置くもの) となり、「名詞や代名詞などの前に置かれる言葉」という意味を持ちます。
Cambridge Dictionary でも、preposition を「場所、位置、時間、方法などを表すために、名詞・代名詞・名詞句の前に使われる語」と定義しています。
[Cambridge Dictionary:
Prepositions]
前置詞の構造:前置詞+後ろに続く要素
前置詞は通常、名詞句・代名詞・動名詞句などを後ろに伴い、意味のまとまりを作ります(※疑問文や関係節などでは前置詞が文末に残ることもあります)。
├── 前置詞(in, on, at, with, for など)
└── 前置詞の目的語(補部)
├── 名詞句(in the room)
├── 代名詞の目的格(with him, for me)
└── 動名詞句(good at speaking English)
前置詞句が果たす主な役割
「前置詞+語句」のセットは 前置詞句(prepositional phrase) と呼ばれ、文の中で名詞を修飾したり、動詞・形容詞・文全体を詳しく説明したり、補語として使われたりします。
| 働き | 例文 | 解説 |
|---|---|---|
| 名詞修飾 (形容詞的な働き) |
The book on the desk is mine. | on the desk が名詞 The book を修飾(机の上の本) |
| 動詞・文修飾 (副詞的な働き) |
She studied in the library. | in the library が動詞 studied を修飾(図書館で勉強した) |
| 時・条件の説明 (副詞的な働き) |
We will meet at 3 PM. | at 3 PM が会う時点を説明(3時に会う) |
| 補語(述語的働き) (主語の状態を表す) |
The key is on the table. / He is in trouble. | be動詞の後ろで主語の「位置」や「状態」を叙述 |
2. 関連語:「Preposition」と関連用語の違い
前置詞に関連する文法用語を整理しておきましょう。
| 英語 | 品詞 / 区分 | 意味・役割 |
|---|---|---|
| preposition | 名詞(略:prep.) | 前置詞(in, on, at など) |
| prepositional | 形容詞 | 前置詞の、前置詞に関する |
| prepositional phrase | 前置詞句(句) | 前置詞句(前置詞+名詞等のまとまり。主に形容詞句・副詞句として機能) |
| prepositional verb | 動詞句(連語) | 前置詞付き動詞(look at, listen to など「動詞+前置詞」の結びつき) |
発音
- preposition:プレポジション(/ˌprep.əˈzɪʃ.ən/)
- prepositional:プレポジショナル(/ˌprep.əˈzɪʃ.ən.əl/)
3. 前置詞のコアイメージと主要な分類
前置詞を日本語訳(「〜に」「〜で」)だけで覚えると混同しやすくなります。それぞれの コアイメージ(本質的な空間概念) を捉えることが重要です。
① 場所・位置を表す前置詞(at / on / in)
空間における広がりや捉え方によって使い分けます。
| 前置詞 | コアイメージ | 具体例 | 例文 |
|---|---|---|---|
| at | 「点」(特定の地点・目標) | at the station, at home | Meet me at the station. |
| on | 「接触・面」(くっついている) | on the table, on the wall | There is a clock on the wall. |
| in | 「空間の中・枠内」(立体・包囲) | in the room, in Tokyo | He lives in Tokyo. |
その他の場所・位置関係の前置詞
- under / below: 〜の下に(接触せず下にある状態)
- above / over: 〜の上に(空間的に離れて上にある状態)
- between: (2つのもの)の間に
- among: (3つ以上の群衆・集合)の中に
- next to / beside: 〜の隣に
② 時・期間を表す前置詞
時間も「点」「日」「広がり(月・年)」の概念で捉えます。
| 前置詞 | 時間の捉え方 | 使い分けの対象 | 例文 |
|---|---|---|---|
| at | 時刻・ピンポイントの時点 | 時刻、正午、夜 | at 7:00, at noon, at night |
| on | 特定の日・曜日・日付 | 曜日、特定の日、記念日 | on Monday, on May 5th |
| in | 月・季節・年・世紀・時間枠 | 月、季節、年、時代 | in August, in summer, in 2026 |
時に関する要注意ペア
・by(〜までに): その時点までに成立・完了していること(期限)
Please submit the report by 5 PM.(午後5時までにレポートを提出してください。)
You must be home by 10.(10時までには家にいなければならない。)
・until / till(〜までずっと): その時点まで動作や状態が継続すること
I will stay here until 5 PM.(午後5時までずっとここにいます。)
・for + 期間の長さ: 「どのくらいの時間か」(時間の量)
I studied for three hours.(3時間勉強した。)
・during + ある期間・出来事・活動: 「〜の期間中に」「その出来事の間に」(特定の時間枠の中)
I met many people during the vacation.(休暇中に多くの人と会った。)
He fell asleep during the meeting.(彼は会議中に寝てしまった。)
③ 方向・移動を表す前置詞
人や物が動く向きや経路を示します。
| 前置詞 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|
| to | 方向・到達点(〜へ、〜に向かって到達するイメージ) | go to school |
| toward(s) | 方向(〜の方角に向かって)※到達するかどうかは問わない | walk toward the station |
| into | 中への進入(外から中へ) | come into the room |
| out of | 中からの脱出(内から外へ) | get out of the car |
| through | 通過・貫通(トンネルなどを通り抜ける) | pass through the tunnel |
| across | 横断(平面を横切る) | swim across the river |
| along | 沿行(線状のものに沿って進む) | walk along the street |
④ 手段・原因・材料・同伴を表す前置詞
| 前置詞 | 役割・意味 | 例文 |
|---|---|---|
| with | 同伴(〜と一緒に)/ 道具(〜を使って) | cut with a knife / go with friends |
| by | 交通・伝達手段(無冠詞)/ 行為者 | go by train / written by Shakespeare |
| of | 材料(元の材料の形や性質がそのまま残っている) | made of wood(木製) |
| from | 原料(加工されて元の形や性質が分かりにくい) | made from grapes(ブドウから作られた) |
| about | 関連(〜に関して・周辺) | talk about the plan |
4. 前置詞の重要文法ルール
前置詞を正確に使いこなすために必須の4つのルールを解説します。
ルール1:前置詞の後ろは「名詞相当語句」
前置詞の直後には、名詞、代名詞(目的格)、または 動名詞(-ing) が来ます。to不定詞(to do)や節(that節など)を直接置くことは基本的にできません。
❌ She is good at to play the piano.(前置詞の後ろに不定詞は不可)
ルール2:「群前置詞(複合前置詞)」の存在
2語または3語以上のまとまりで1つの前置詞と同じ働きをするものを 群前置詞(phrase prepositions / complex prepositions) と呼びます。
| 群前置詞 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| because of | 〜のために、〜の理由で | because of the heavy rain |
| in spite of (※同義の1語前置詞: despite) |
〜にもかかわらず | in spite of the bad weather |
| in front of | 〜の正面に、〜の前に | in front of the building |
| according to | 〜によれば、〜に従って | according to the news |
| in addition to | 〜に加えて | in addition to English |
ルール3:文末に残る前置詞(Stranded Preposition)
疑問文、関係代名詞節、受動態、不定詞などで、前置詞の後ろにあった目的語が文頭や前方に移動した場合、前置詞が文末に残ることがあります。
- 疑問文: Who are you waiting for?(誰を待っているのですか?)
- 関係代名詞節: This is the house (which) she lives in.(これが彼女が住んでいる家です。)
- 受動態: The baby was taken care of by Mary.(赤ん坊はメアリーに世話された。)
※かつての伝統文法では「文末に前置詞を置いてはならない」と教えられることもありましたが、現代の標準英語ではごく自然で一般的な語順です。
ルール4:前置詞 vs 接続詞 vs 副詞 の見分け方
同じ単語でも、文中の位置や後続する要素によって品詞が変わります。
| 品詞 | 後続する要素 | 例文(before の場合) |
|---|---|---|
| 前置詞 | 名詞 / 代名詞 / 動名詞 | Wash your hands before dinner.(夕食の前に) |
| 接続詞 | 節(主語 + 動詞) | Wash your hands before you eat.(食べる前に) |
| 副詞 | 後ろに目的語をとらない | I have met him before.(以前に会ったことがある) |
5. 日本人が間違えやすい前置詞の落とし穴
① 前置詞をつけてはいけない他動詞
日本語の「〜について話し合う」「〜と結婚する」という感覚につられて前置詞をつけてしまいがちな動詞です。これらは 他動詞(transitive verb) のため、直後に直接目的語を取ります。
| 正しい表現(他動詞) | 間違いやすい表現 | 意味 |
|---|---|---|
| discuss the problem | 誤 discuss |
その問題について話し合う |
| marry her | 誤 marry |
彼女と結婚する |
| reach the station | 誤 reach |
駅に到着する |
| resemble his father | 誤 resemble |
父親に似ている |
| mention the topic | 誤 mention |
その話題に言及する |
| enter the room | 誤 enter |
部屋に入る(※enter into a contract 等の比喩を除く) |
② 前置詞が必要な動詞(前置詞付き動詞)
逆に、目的語を取るために特定の 前置詞を必ず伴う自動詞 です。
- listen to 〜: 〜を聞く(❌ listen music → ⭕ listen to music)
- wait for 〜: 〜を待つ(❌ wait him → ⭕ wait for him)
- apologize to 人 for 理由: 人に〜のことで謝罪する
- arrive at / in 〜: 〜に到着する(※reach は他動詞)
③ 前置詞1つで意味が変わる重要フレーズ
| フレーズ | 意味とニュアンス |
|---|---|
| in time | 間に合って(締め切りや予定時刻より前に余裕を持って) |
| on time | 定刻通りに、時間通りに(遅れずスケジュール通りに) |
| hear of | 〜の存在を(噂などで)耳にする・知っている |
| hear from | 〜から直接連絡(手紙・メール・電話)をもらう |
| on the bus / train | 大型交通機関(バス・電車・飛行機・船など「乗っている」感覚) |
| in the car / taxi | 小型車(乗用車やタクシーなど「中に乗り込んでいる」感覚) |
6. 辞書での表記と関連知識
英和・英英辞典で前置詞を引く際に役立つ知識です。
① 辞書の品詞記号
辞書では前置詞は主に prep.(preposition)と略記されます。
prep.= preposition(前置詞)phr. v.= phrasal verb(句動詞:動詞+particle/副詞的小辞など)
※厳密にはlook upなどの句動詞と、look atのような前置詞付き動詞(prepositional verb)は文法構造が区別されます。
② look forward to doing の「to」
look forward to や be used to、object to に含まれる
to は「to不定詞」ではなく 前置詞 です。そのため、後ろには動詞の原形ではなく
動名詞(-ing) が続きます(例:look forward to seeing you)。
7. FAQ(よくある質問)
Q1. 前置詞の後ろに to 不定詞を置くことはできますか?
A. 原則として置けません。
前置詞の後ろに置けるのは「名詞」「代名詞」「動名詞(-ing)」などの名詞相当語句です。「〜すること」と言いたい場合は不定詞ではなく動名詞(例:thank you for
helping me)を使います。
Q2. 文末に前置詞を置くのは文法的に間違いですか?
A. いいえ、現代英語では間違いではありません。
「What are you looking for?」のように文末に前置詞を置く語順は日常会話からビジネス英語まで標準的です。極めて形式的な論文等で「For what are
you looking?」とする場合もありますが、現代では文末前置詞が極めて自然です。
Q3. 電車やバスはなぜ「in」ではなく「on」を使うのですか?
A. 空間の「中に入る」というより「乗り物に乗っている」という感覚から on が使われます。
バス(on the bus)、電車(on the train)、飛行機(on the plane)、船(on the ship)などは通常 on
を使います。一方、かがんで身体を中に収め込むような乗用車やタクシーは「in the car / in a taxi」と表現します。
Q4. by 5 PM と until 5 PM の違いは何ですか?
A. by は「その時点までに成立・完了(期限)」、until は「その時点までずっと継続」です。
レポートの提出や帰宅のように特定時点までに完了する事柄は「submit it by 5 PM / be home by 10」、オフィスで待つなど状態が続く場合は「stay
here until 5 PM」と使い分けます。
Q5. discuss about はなぜ誤りなのですか?
A. discuss が他動詞で、すでに「〜について話し合う」という意味を含んでいるからです。
discuss の直後に前置詞を挟まず直接目的語を置いて「discuss the issue」とするのが正解です。
Q6. 前置詞と副詞をどう見分ければよいですか?
A. 後ろに名詞などの目的語があるかどうかで判断します。
「He came in the room.」の in は後ろに the room があるため前置詞ですが、「Please come in.」の in
は後ろに目的語がないため副詞です。
8. まとめ
Preposition(前置詞)をマスターするための重要ポイントを整理します。
- 前置詞(preposition)は「名詞などの前に置く言葉」
- [前置詞 + 名詞/代名詞/動名詞など] で前置詞句を作り、名詞修飾・動詞修飾・補語として機能する
- 場所の基本:
at(点)、on(面・接触)、in(空間・枠内) - 時の基本:
at(時刻・時点)、on(特定の日)、in(月・年・季節) - 期限と継続:
by(その時点までに完了/成立)、until(その時点まで継続) - 期間の表現:
for(+時間の長さ)、during(+ある期間・出来事の中) - 前置詞の後ろは 動名詞(-ing) を置く(不定詞は不可)
discuss,marry,reachなどの他動詞には前置詞をつけないlook forward to doingのtoは前置詞なので動名詞が続く
前置詞は丸暗記するだけでなく、空間や時間の「コアイメージ」を視覚的に捉えることが習得の近道です。
前置詞の感覚が身につくと、リーディングの読解スピードが上がり、自然な英文ライティングやスピーキングができるようになります。
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