英語で「自分自身」「彼ら自身」のように表現するときに用いられるのが reflexive pronoun(再帰代名詞) です。
myself、yourself、themselves などの
-self / -selves で終わる語句は、日常会話からビジネス文書まで幅広く使われます。しかし、「通常の代名詞(me や
him)との違い」「再帰用法と強調用法の区別」「よくある誤用」など、正確に使いこなすにはいくつか重要なポイントがあります。
この記事では、再帰代名詞の基礎から応用までを次のポイントに沿ってわかりやすく整理します。
- reflexive pronoun の基本的な役割とニュアンス
- 再帰代名詞の全一覧(単数形
-selfと複数形-selvesの対比) - 「再帰用法」と「強調用法」の明確な違いと見分けの目安
himとhimselfの違い(同一指示対象のルールと例外)by oneself、for oneselfなどの重要イディオム- ビジネスメール等で多発する過剰使用(
John and myselfなど)
1. まず押さえる!Reflexive Pronoun(再帰代名詞)とは
reflexive pronoun(再帰代名詞) とは、主語が行った動作の対象(目的語など)が「主語と同じ指示対象(主語自身)」に向かうときに用いられる代名詞です。
「reflexive(再帰的)」という用語は、「元に戻る・反射する(reflect)」というイメージに由来します。文の主語と目的語が同じ人物・物を指す場合、通常は
me や him ではなく、-self / -selves の形を取ります。
再帰代名詞の全体像
再帰代名詞には、文法上大きく分けて2つの機能があります。
├── 再帰用法(Reflexive Use):動作が主語自身に向かう(文の必須要素・目的語)
│ ├── 動詞の目的語(例:He cut himself.)
│ └── 前置詞の目的語(例:Look at yourself.)
├── 強調用法(Emphatic / Intensive Use):名詞・代名詞を強調する(文法上は修飾・付加的)
│ └── 「自ら」「直接」(例:The CEO himself called me.)
└── 慣用表現(Idiomatic Expressions)
└── by oneself, for oneself, help oneself など
基本の文構造で比較
| 英文 | 目的語の対象 | 意味・解釈 |
|---|---|---|
| John saw him in the mirror. | John 以外の別の男性 | ジョンは(鏡の中にいる)別の男性を見た。 |
| John saw himself in the mirror. | John 本人(主語と同一) | ジョンは(鏡の中にいる)自分自身の姿を見た。 |
2. 再帰代名詞の一覧(単数形 -self と 複数形 -selves)
再帰代名詞は、人称(1人称・2人称・3人称)および数(単数・複数)によって明確に形が分かれます。単数形は語尾が -self、複数形は
-selves です。
| 人称・分類 | 人称代名詞(主格) | 再帰代名詞 | 主な意味 |
|---|---|---|---|
| 1人称単数 | I | myself | 私自身 |
| 1人称複数 | we | ourselves | 私たち自身 |
| 2人称単数 | you | yourself | あなた自身(1人) |
| 2人称複数 | you | yourselves | あなた方自身(2人以上) |
| 3人称単数(男性) | he | himself | 彼自身 |
| 3人称単数(女性) | she | herself | 彼女自身 |
| 3人称単数(中性・物/事) | it | itself | それ自身 |
| 3人称複数 | they | themselves | 彼ら自身 / 彼女ら自身 / それら自身 |
| 不定代名詞 | one | oneself | 人自身、自分自身(一般論) |
・3人称単数男性は
hisself ではなく himself です。・3人称複数は
theirselves ではなく themselves が標準です。・2人称は、相手が1人なら
yourself、2人以上なら
yourselves と形が変わります。
3. 再帰代名詞の2大用法:再帰用法と強調用法
再帰代名詞の使い方は、文構造上の役割から「再帰用法」と「強調用法」の2つに大別されます。
① 再帰用法(Reflexive Use)
主語の動作が自分自身に向けられる用法です。動詞や前置詞の「目的語(O)」として機能するため、文の骨格を成す要素となります。
A. 他動詞の目的語になる場合
- I accidentally cut myself with a
knife.
(包丁で誤って(自分の)手を切ってしまった/けがをしてしまった。) - She looked at herself in the mirror.
(彼女は鏡の中の自分の姿を見た。) - They introduced themselves to the new team
members.
(彼らは新しいチームメンバーに自己紹介した。)
B. 前置詞の目的語になる場合
- He bought a brand-new laptop for
himself.
(彼は自分自身のために新しいノートパソコンを買った。) - She was talking to herself.
(彼女は独り言を言っていた。)
② 強調用法(Emphatic / Intensive Use)
主語や目的語などの名詞・代名詞を「他ならぬその人自身が」「自分で直々に」と強調する用法です。
この用法では文法上の主要な目的語ではないため、英語圏の文法書では intensive pronoun(強調代名詞) とも呼ばれ、修飾的な役割を持ちます。
| 強調用法を含む文 | 配置位置 | ニュアンス |
|---|---|---|
| I baked this cake myself. | 文末 | お店で買ったのではなく「自分で」作った |
| The CEO himself answered the phone. | 強調する語の直後 | 秘書ではなく「社長本人が直々に」出た |
| She made the dress herself. | 文末 | 誰かに頼まず「彼女自身の手で」縫った |
再帰用法と強調用法の見分け方の目安
-self を取り除いてみる・He hurt
・The President
※一部の動詞(例:wash など)は目的語を省略しても文法上成立することがありますが、全体の文意・構造を判断する有効な目安になります。
4. 再帰代名詞を使った重要イディオム・慣用表現
再帰代名詞は、前置詞や動詞とセットになって特定の意味を持つ慣用表現(イディオム)として頻出します。
前置詞 + 再帰代名詞の重要表現
| イディオム | 英語でのニュアンス | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| by oneself | alone / without help | ひとりで、自力で、独力で |
| for oneself | for one's own benefit / directly | 自分のために、自分の目で直接(確かめて) |
| in itself / in themselves | fundamentally / intrinsically | それ自体は、本来は |
| of itself | automatically / naturally | 自然に、ひとりでに |
| to oneself | privately / exclusively | 自分だけに(独占して、心の中に) |
| beside oneself (with ...) | out of control / overwhelmed | (怒りや喜びで)我を忘れて、取り乱して |
例文で確認
- He lived by himself in a small apartment.(彼は小さなアパートで一人暮らしをしていた。)
- You should go and see the museum for yourself.(あなた自身の目で実際にその美術館を見て確かめるべきだ。)
- Money in itself is not evil.(お金それ自体は悪ではない。)
- The door closed of itself.(ドアがひとりでに閉まった。)
- She was beside herself with joy when she passed the exam.(彼女は試験に合格して我を忘れるほど喜んだ。)
動詞 + 再帰代名詞の頻出フレーズ
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| enjoy oneself | 楽しく過ごす(=have a good time) | We really enjoyed ourselves at the party. |
| help oneself to ... | 〜をご自由に取って飲食する/使う | Please help yourself to some coffee. |
| make oneself at home | くつろぐ、気兼ねなく過ごす | Make yourself at home. |
| behave oneself | 行儀よくする | Please behave yourself during class. |
| express oneself | 自分の考え・感情を表現する | Art allows people to express themselves. |
5. 目的格代名詞 vs 再帰代名詞の使い分け
主語と同じ指示対象を表す場合は再帰代名詞を使うのが基本ですが、「主語と同一人物ならどんな場合も必ず再帰代名詞」というわけではありません。文構造や前置詞の性質によって使い分けが存在します。
空間・位置関係を表す前置詞の後ろ
behind, next to, with, near
などの物理的な位置や空間関係、携帯を表す前置詞句では、主語と同じ人物を指していても通常の目的格代名詞(me, him, her, them)が自然に用いられるケースが多く見られます。
| 英文 | 代名詞 | 解説 |
|---|---|---|
| He looked behind him. | 目的格 (him) | 物理的な背後の空間を示すため、him が自然に使われます。 |
| She took an umbrella with her. | 目的格 (her) | 「傘を携帯して」という位置・同伴関係を表すため her を使用します。 |
| He bought a gift for himself. | 再帰代名詞 (himself) | 空間ではなく動作の直接の受益者(対象)を表すため himself が必須です。 |
6. よくある誤用と注意点
① 主語や普通の目的語に myself を使う誤用
丁寧な響きがあると誤解され、ビジネスメール等で主語や単なる目的語に myself
を使ってしまう誤りが多く見られます。文中に対応する先行詞(I)がない文では使えません。
正しい John and I will lead the project.
誤り Please contact Sarah or myself.
正しい Please contact Sarah or me.
② 再帰代名詞の要否に関する動詞の注意点
他言語(フランス語やスペイン語などの再帰動詞)の影響や直訳により、不要な再帰代名詞を付けてしまうことがあります。
- relax / concentrate: 英語では通常自動詞として使います(I want to relax. / I can't concentrate.)。
- feel: 単に感情を表す際は I feel happy. です。(※I don't feel myself today.「今日は調子が優れない」という定型表現は存在します)。
- wash / dress / shave: 日常的な身づくろいは代名詞なし(I washed and dressed.)で言えます。なお、I washed myself.(自分で体を洗った)のように再帰代名詞を付ける表現も文法的に正しい英語です。
7. 発展:相互代名詞との違い & singular they
再帰代名詞(themselves)と相互代名詞(each other)の違い
複数人の主語において、「それぞれ自分自身」を指すのか「お互い」を指すのかで明確に区別されます。
| 英文 | 代名詞の種類 | 意味 |
|---|---|---|
| Tom and Mary looked at themselves. | 再帰代名詞 | トムとメアリーは、それぞれ自分自身(の姿)を見た。 |
| Tom and Mary looked at each other. | 相互代名詞 (reciprocal pronoun) | トムとメアリーはお互いの顔を見つめ合った。 |
Singular they(単数の they)における再帰代名詞
性別を特定しない単数主語(someone, everybody, a user など)を
they で受ける際、現代標準英語では一般的に themselves が広く用いられます。
近年では単数であることを強調して themself を用いるケースも増えていますが、主要な文脈やテスト英語では依然として
themselves(または himself or herself)が定着しています。
8. FAQ(よくある質問)
Q1. 再帰代名詞とは一言で言うと何ですか?
A. 「〜自身」を意味し、主語が行った動作の対象が主語自身に向かうことを表す代名詞です。
myself, yourself, himself, herself, itself, ourselves, yourselves, themselves などがあります。
Q2. 再帰用法と強調用法の違いを簡単に見分ける方法は?
A. 文から -self の語を取り除いても完全な文意が保たれるかが大きな目安です。
取り除くと動詞の目的語が欠落するものが「再帰用法」、取り除いても完全な骨格が残るものが「強調用法」です。
Q3. by myself と on my own は同じ意味ですか?
A. ほぼ同じ意味で使われます。
どちらも「ひとりで(alone)」または「誰の助けも借りずに自力で(without help)」という意味を表します。
Q4. 「by oneself」と「for oneself」の違いは何ですか?
A. by oneself は「ひとりで/独力で」、for oneself は「自分のために/自分の目で直に確かめて」を表します。
例:I solved it by myself.(自力で解いた)/See it for yourself.(自分の目で確かめてごらん)。
Q5. yourself と yourselves の違いは何ですか?
A. 相手が1人のときは yourself(単数)、2人以上のときは yourselves(複数)を使います。
例:Help yourself.(1人に対して:ご自由にどうぞ)/Help
yourselves.(同席する複数人に対して:皆さんご自由にどうぞ)。
Q6. “Please contact myself” はなぜ間違いなのですか?
A. 文の主語(You)と目的語の指示対象が一致していないためです。
再帰代名詞は主語と同じ対象を指す際に使います。命令文の主語は You であるため、目的語には通常の目的格代名詞 me を用いて
Please contact me. とするのが正解です。
9. まとめ
Reflexive Pronoun(再帰代名詞)を理解するための重要ポイントを整理します。
- 再帰代名詞は「〜自身」を表し、単数形は
-self、複数形は-selvesで終わる - 再帰用法:動詞・前置詞の目的語となり、主語と同じ対象を指す(文の主要要素)
- 強調用法:名詞・代名詞を強めて「自ら・直接」の意味を添える(修飾的要素)
by oneself(ひとりで/自力で)、for oneself(自分のために/自分で直接)などの重要イディオムを区別して押さえるenjoy oneselfやhelp oneself to ...などの頻出動詞句を覚える- 主語や単なる目的語の位置に、過剰に
myselfを使わない(Iやmeを正しく使う) themselves(各自自分自身)とeach other(お互い)の明確な意味の違いに注意する
再帰代名詞は、文構造のルール(主語と目的語の一致関係)と強調のニュアンスさえ押さえれば、自信を持って使いこなせるようになります。
会話での自然な表現や、ビジネスメールでの正確な英文作成にぜひ役立ててください。
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