英語の文構造を理解するうえで最も基礎的かつ重要な文法要素の1つが subject complement(主格補語 / 略して SC または SVC の C) です。
She is a doctor. や The soup tastes delicious.
などの文において、a doctor や delicious は主語の状態や性質を説明する主格補語として働いています。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- subject complement(主格補語)の基本的な意味と役割
- 主語と補語を結ぶ「S = C」の考え方
- 主格補語をとる Linking Verb(連結動詞)の種類
- 主格補語になれる語句・構文(名詞・形容詞・副詞句・不定詞・動名詞・that節など)
- 主格補語(SVC)と目的語(SVO)の違い
- 主格補語(SVC)と目的格補語(SVOC)の見分け方
- 感覚動詞における形容詞補語と副詞(taste delicious vs taste deliciously)の使い分け
It is I.とIt is me.の代名詞の格ルール
1. まず押さえる!Subject Complement(主格補語)の基本
subject complement(主格補語) とは、主語(Subject)が「何であるか」「どのような状態・性質・場所か」を説明・補足して、文を意味的に完成させる語句のことです。
日本の学校文法(5文型)では主に 第2文型(SVC = Subject + Verb + Complement) の「C」として扱われます。
Cambridge Dictionary や Oxford などの英文法リファレンスでも、linking verb(連結動詞)の直後に置かれ、主語に関する情報を与える語句を「subject
complement」と定義しています。
[Cambridge Dictionary: Complements]
主格補語の特徴:「S = C」の関係(主語を説明する関係)
主格補語を含む典型的な文では、主語(S)と補語(C)の間に「=(イコール)」に近い関係が成り立ちます。これはSVO(目的語)と見分けるうえで非常に強力な目安になります。
├── 同一人物・同等物(S = C):She is a teacher.(She = teacher)
├── 主語の性質・状態(S = C):The flower is beautiful.(The flower = beautiful)
├── 変化後の状態(S = C):He became angry.(He = angry)
└── 主語の所在・情報(S の場所・状況):I am upstairs. / The meeting is at 3 pm.
補語(complement)という単語は「完全にするもの(complete)」に由来します。したがって、He is... や
The cake tastes... だけでは文の意味が完結せず、主格補語が不可欠です。
代表例で確認
| 主語(S) | 動詞(V) | 主格補語(C) | 意味と関係 |
|---|---|---|---|
| My father | is | a lawyer | 父 = 弁護士(身分・同等) |
| This book | seems | interesting | この本 = 面白そう(性質) |
| The leaves | turned | red | 葉 = 赤い状態(変化) |
| His dream | is | to become a pilot | 夢 = パイロットになること(内容) |
2. 主格補語をとる動詞:Linking Verbs(連結動詞)の種類
主格補語を導く動詞は、Linking Verb(連結動詞 / 不完全自動詞) と呼ばれます。主語と主格補語を「つなぐ(リンクする)」働きをします。
連結動詞は主に次の4つのグループに分類できます。
① 状態・存在を表す動詞(Be動詞系)
主語の現在の状態・存在を表します。
be, seem, appear, look
- She is calm.(彼女は落ち着いている。)
- He seems tired today.(彼は今日疲れているようだ。)
- They appear satisfied with the result.(彼らは結果に満足しているように見える。)
② 状態の継続・維持を表す動詞(Remain系)
ある状態がそのまま続いていることを表します。
remain, keep, stay, hold
- The museum remained open during the renovation.(美術館は改装中も開館したままだった。)
- Please keep quiet in the library.(図書館では静かにしていてください。)
- Stay safe and healthy.(安全で健康でいてね。)
③ 状態の変化を表す動詞(Become系)
ある状態から別の状態へ移行することを表します。
become, get, turn, grow, go, come
- He became famous worldwide.(彼は世界的に有名になった。)
- It is getting dark outside.(外が暗くなってきた。)
- The milk went sour.(牛乳が酸っぱくなった/腐った。)
- Her dream came true.(彼女の夢が実現した。)
④ 感覚・知覚を表す動詞(Sensory Verbs)
五感を通して主語の状態を認識することを表します。
look, sound, feel, taste, smell
- Your plan sounds great!(あなたの計画は素晴らしく聞こえるね。)
- This silk cloth feels smooth.(この絹織物は滑らかな手触りだ。)
- The coffee smells wonderful.(そのコーヒーは素晴らしい香りがする。)
3. 主格補語(C)になれる品詞・語句・節
主格補語(C)には、名詞句・形容詞句をはじめ、副詞句・前置詞句・各種名詞節などが幅広く用いられます。学習上はまず代表的な「名詞・形容詞」のパターンを押さえるのが基本です。
① 名詞 / 代名詞(Predicate Noun / Nominative)
主語の「正体・身分・職業・同一物」を表します。文法用語では 述語名詞(predicate noun / predicate nominative) と呼ばれることもあります。
- Ken is an architect.(ケンは建築家です。[Ken = architect])
- The winner of the tournament is her / she.(大会の勝者は彼女です。)
② 形容詞 / 分詞(Predicate Adjective)
主語の「様子・性質・感情・状態」を表します。文法用語では 述語形容詞(predicate adjective) と呼ばれます。現在分詞(-ing)や過去分詞(-ed)も形容詞として補語になります。
- The weather is sunny.(天気は晴れている。)
- The presentation was very convincing.(そのプレゼンは非常に説得力があった。[現在分詞])
- All the guests felt satisfied.(来客は皆満足そうに感じた。[過去分詞])
③ 不定詞(to do) / 動名詞(-ing)
主語の内容が「〜すること」である場合、名詞的用法の不定詞や動名詞が補語になります。
- His goal is to pass the exam.(彼の目標は試験に合格することです。[不定詞])
- Her hobby is taking landscape photos.(彼女の趣味は風景写真を撮ることです。[動名詞])
④ 前置詞句 / 副詞句(場所や状態を表す)
前置詞句や場所などを表す副詞が主語の所在・状態を補足する主格補語として機能します(Cambridge文法など)。
- I am upstairs.(私は2階にいます。[場所を表す副詞句])
- This dictionary is of great use (= very useful).(この辞書は非常に役に立つ。[形容詞相当の前置詞句])
- She is in good health (= healthy).(彼女は健康な状態にある。)
⑤ 名詞節(that節 / wh-節 / whether節)
節(主語+動詞を含むカタマリ)全体が1つの名詞として主格補語の役割を果たします。
- The fact is that we don't have enough budget.(事実は、私たちに十分な予算がないということだ。)
- This is what I wanted to tell you.(これが私があなたに伝えたかったことです。)
- The question is whether he will accept the offer.(問題は彼がオファーを受けるかどうかだ。)
4. 混同しやすい!補語(C)と目的語(O)の見分け方
英文解釈で最も多く学習者がつまずくのが、「後ろに来ている語句が 補語(C)なのか目的語(O)なのか」という判別です。
① 主格補語(SVC) vs 目的語(SVO)
見分け方の決め手は 「主語(S)と動詞の後ろの語がイコール関係(主語そのものの説明)かどうか」 です。
- SVC(主格補語):
S = Cの関係(主語の状態・身分などの説明) - SVO(目的語):
S ≠ Oである(動作の対象物・相手)
| 例文 | 文型 | 関係性 | 判定 |
|---|---|---|---|
| He became a teacher. | SVC | He = a teacher(彼は先生) | 主格補語(C) |
| He met a teacher. | SVO | He ≠ a teacher(先生に会った) | 目的語(O) |
| The leaves turned red. | SVC | leaves = red(葉が赤い) | 主格補語(C) |
| He turned the page. | SVO | He ≠ the page(ページをめくった) | 目的語(O) |
② 主格補語(SVC) vs 目的格補語(SVOC)
補語(C)には「主格補語(Subject Complement)」と「目的格補語(Object Complement)」の2種類があります。何を説明しているかで区別します。
| 補語の種類 | 文型 | 説明する対象と関係 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 主格補語 (SC) | SVC | 主語(S) を説明(S = C) |
The room is clean. (部屋=清潔) |
| 目的格補語 (OC) | SVOC | 目的語(O) を説明(O = C) |
We kept the room clean. (私たちは部屋を清潔に保った[部屋=清潔]) |
③ 感覚動詞での形容詞補語 vs 様態の副詞
感覚動詞(taste, smell, sound, feel, look)の後ろには、主語の状態を表す形容詞補語を置くのが標準的です。日本語の「美味しく香る」「良く聞こえる」という感覚に引きずられて副詞を使ってしまうミスに注意しましょう。
[正しい] The cake tastes delicious. ⭕(主語 The cake の状態を表す形容詞補語)
5. 知っておくと差がつく!主格補語の発展知識
① 「It is I」vs「It is me」(代名詞の格)
伝統的な規範文法では、be動詞の後ろは主語と同等であるため主格代名詞を使うとされ、It is I. や
This is she.(電話口で「私です」)が正式とされました。
しかし現代英語の日常会話では、動詞の後ろには目的格を置く自然な語順感覚から It is me.
の方が圧倒的に一般的です。フォーマルな論文・格式高いスピーチを除き、日常会話では It's me. で問題ありません。
② 補語専用の形容詞(叙述用法限定)
形容詞の中には、名詞を前から直接修飾できず、補語(C)としてしか使えない形容詞(叙述用法限定形容詞) が存在します。頭に
a- がつくものが多いのが特徴です。
alive(生きている):The fish is alive. ⭕ / an alive fish ❌asleep(眠っている):The baby is asleep. ⭕ / an asleep baby ❌afraid,alone,awake,aware,ashamedなど
③ 「seem / appear / prove + (to be) C」
seem、appear、prove、turn out
などの動詞の後ろにある to be は省略されることが多く、実質的に形容詞や名詞が直接主格補語として機能します(例:He seems (to
be) happy. / The rumor proved (to be) true.)。
④ 「be to 不定詞」構文の捉え方
S + be + to do
の構文(予定・義務・可能などを表す用法)は、文法上は不定詞句がbe動詞に続く補語的な位置づけを持ちますが、学習上は助動詞のようなニュアンスを持つ独立した慣用表現(be
to構文)として理解するとわかりやすいです(例:The Prime Minister is to visit France next
week.)。
6. 複雑な長文で「主格補語」を見抜くコツ
修飾語句(M: Modifier)が多く挟まると、どこが主格補語(C)なのか見失いやすくなります。修飾語(前置詞句や関係詞節)を括弧でくくり、文の骨格「S + V + C」を抽出しましょう。
【例文】
The primary reason for our remarkable business growth in the Asian market remained unclear to external analysts.【構造分解】
・主語 (S): The primary reason [for our remarkable business growth] [in the Asian market](アジア市場における目覚ましい事業成長の主な理由)・動詞 (V): remained(〜のままであった)
・主格補語 (C): unclear(不明瞭な状態・明らかでない)
・修飾語 (M): [to external analysts](外部のアナリストにとって)
骨格:The reason (S) remained (V) unclear (C). 「その理由は不明なままであった。」
7. FAQ(よくある質問)
Q1. Subject Complement(主格補語)とは何ですか?
A. 主語(Subject)の状態・性質・同一人物などを説明し、文を完成させる語句です。
英語の第2文型(SVC)における「C」にあたり、主語と補語を結ぶ役割を果たします。
Q2. 補語(C)と目的語(O)の最大の違いは何ですか?
A. 主語を説明する「イコール関係」があるかどうかです。
「S = C」(He is a teacher. 彼は先生)なら補語、「S ≠ O」(He knows a teacher. 彼は先生を知っている=動作対象)なら目的語です。
Q3. 主格補語(SC)と目的格補語(OC)はどう違いますか?
A. 説明する対象が「主語」か「目的語」かの違いです。
主格補語(SVC)は「主語=C」(The room is clean)、目的格補語(SVOC)は「目的語=C」(We kept the room clean)を表します。
Q4. 副詞は主格補語になれますか?
A. 場所を表す副詞句などは主格補語になり得ます。ただし感覚動詞の後ろでは形容詞補語を使います。
現代文法では I am upstairs. の upstairs のように副詞句が主格補語になる場合があります。一方、感覚動詞(taste,
smell など)では主語自体の状態を表すため、The food smells delicious (⭕) のように形容詞を使います(副詞の
deliciously は不可)。
Q5. "It is I." と "It is me." はどちらが正しいですか?
A. 伝統的な規範文法では "It is I." ですが、現代の日常会話では "It is me." が標準的です。
極めてフォーマルな文章や学術スピーチでない限り、現代英語では It's me. を使うのが自然です。
Q6. 主格補語をとる動詞にはどのようなものがありますか?
A. Linking Verb(連結動詞)と呼ばれる動詞群です。
be, seem, appear(状態)、remain, keep, stay(維持)、become, get, turn, grow(変化)、look, sound,
taste, smell, feel(感覚)などがあります。
Q7. that節やwh節も主格補語になれますか?
A. はい、名詞節として主格補語になります。
例:The problem is that we lack experience.(問題は私たちが経験不足であることだ)、That is what I
mean.(それが私の言いたいことです)。
Q8. 不定詞と動名詞のどちらも主格補語になれますか?
A. どちらも名詞相当語句として主格補語になれます。
例:My dream is to travel the world.(不定詞) / Seeing is
believing.(動名詞=百聞は一見に如かず)。
8. まとめ
Subject Complement(主格補語)をマスターするための重要ポイントです。
- 主格補語(C)は主語(S)を説明・補足して文を完成させる要素(目安は S = C)
- 英語の 第2文型(SVC) の根幹をなす要素である
- 主格補語をとる動詞は Linking Verb(連結動詞)(be, seem, remain, become, taste など)
- 主格補語には 名詞句・形容詞句 を中心に、前置詞句・副詞句・名詞節などが用いられる
- 感覚動詞の後は形容詞補語を使う(The cake tastes delicious. ⭕ / deliciously ❌)
- 目的語(SVO)との違い: 主語を説明する
S = C(補語) vs 動作の対象S ≠ O(目的語) - 目的格補語(SVOC)との違い: 主語を説明する(主格補語) vs 目的語を説明する(目的格補語)
alive,asleep,afraidなどの形容詞は補語(叙述用法)としてのみ使われる
主格補語(SVC)の構造が正確に理解できるようになると、長い英文に出会っても「何が(S)」「どうである(C)」のかを瞬時に見抜く読解力が身につきます。
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