英単語の語尾にくっついて品詞を変えたり文法的な意味を添えたりするパーツを suffix(接尾辞・接尾語) と呼びます。
例えば、teach(教える:動詞)の後ろに -er がつくと
teacher(教師:名詞)になり、care(注意:名詞/動詞)に -ful がつくと
careful(注意深い:形容詞)になります。接尾辞のパターンを知っておくと、初めて見る単語でも品詞や大まかな意味を瞬時に推測できるようになります。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- suffix(接尾辞)の基本的な定義と働き
- prefix(接頭辞)・root(語根)との位置関係と構造
- 派生接尾辞(Derivational)と屈折接尾辞(Inflectional)の違い
- 品詞別(名詞・形容詞・動詞・副詞)の代表的な接尾辞一覧
- 接尾辞が付くときのスペル変化(綴りの脱落・変化ルール)
- アクセントの位置が変わる接尾辞のパターン
1. まず押さえる!Suffix は「単語の末尾について品詞や文法を変える要素」
suffix(接尾辞) は、語根(root)や語幹(stem)の末尾に付加される拘束形態素(接辞:affix)の一種です。
接尾辞の最大の特徴は、「単語の品詞を決定・変化させる働き(品詞マーカー)」を持っている点です(例:動詞 → 名詞、名詞 → 形容詞)。
Cambridge Dictionary でも、suffix を「単語の末尾に加えられて新しい単語を作ったり、文法的な形を変えたりする文字・文字のグループ」と説明しています。
[Cambridge Dictionary: Suffixes]
英単語の構造と Suffix の位置
英単語は基本的に「接頭辞(prefix)+ 語根(root)+ 接尾辞(suffix)」という組み合わせで構成されています。
├── Prefix(接頭辞:単語の前につく。主に「意味」を変える)
│ └── 例: un- (否定), re- (再), dis- (反対)
├── Root / Stem(語根・語幹:単語の中核となる本来の意味)
└── Suffix(接尾辞:単語の後ろにつく。主に「品詞」や「文法」を変える)
├── Derivational suffix(派生接尾辞:品詞や新しい意味を作る)
└── Inflectional suffix(屈折接尾辞:複数形・過去形・比較級など文法形を作る)
具体例で単語の分解を体験
| 複合単語 | Prefix | Root | Suffix |
|---|---|---|---|
| unhappily | un-(否定) |
happy(幸せな) |
-ly(副詞化:〜に) |
| carelessness | なし | care(注意) |
-less(形容詞化) + -ness(名詞化) |
| disagreement | dis-(反対) |
agree(同意する) |
-ment(名詞化:〜のこと) |
| international | inter-(相互) |
nation(国家) |
-al(形容詞化:〜の) |
2. Suffix の2大分類:派生接尾辞と屈折接尾辞
接尾辞には、新しい単語を作る「派生接尾辞」と、文法上の役割を示す「屈折接尾辞」の2種類があります。
| 分類 | 役割・特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| 派生接尾辞 (Derivational) |
品詞を変えたり、新しい概念の語を派生させる。 (辞書で別の見出し語になる) |
-er (teach → teacher)-ful (hope → hopeful)-ize (real → realize)
|
| 屈折接尾辞 (Inflectional) |
品詞は変えず、数・時制・比較などの文法的な変化を表す(英語には全8種類のみ)。 |
-s / -es(名詞複数形、三人称単数)-ed(過去形・過去分詞)-ing(現在分詞・動名詞)-er / -est(比較級・最上級)
|
① 複数形
-s (books) | ② 所有格 -'s (Tom's) | ③ 三人称単数現在 -s
(runs) | ④ 過去形 -ed (walked)⑤ 過去分詞
-en / -ed (eaten) | ⑥ 現在分詞・動名詞 -ing (playing) | ⑦ 比較級
-er (faster) | ⑧ 最上級 -est (fastest)
3. 【品詞別】代表的な派生接尾辞一覧
語彙力アップやTOEICなどの品詞識別問題で最も役立つ、品詞を作る派生接尾辞を分類別に紹介します。
① 名詞を作る接尾辞(Noun Suffixes)
動詞や形容詞の後ろにつき、「〜する人」「〜すること」「〜な状態・性質」を表す名詞を作ります。
| 接尾辞 | 主な意味 | 単語の例 |
|---|---|---|
| -er / -or | 〜する人、〜する物 | teacher(教師), actor(俳優), printer(印刷機) |
| -ee | 〜される人(受動) | employee(従業員), examinee(受験者) |
| -ist | 〜する人、専門家、主義者 | artist(芸術家), piano → pianist(ピアニスト), tourist(観光客) |
| -tion / -sion | 行為、状態、結果 | action(行動), decision(決定), information(情報) |
| -ment | 行為、状態、手段 | development(発展), movement(運動), agreement(合意) |
| -ness | 性質、状態 | kindness(親切さ), darkness(暗闇), happy → happiness(幸福) |
| -ity / -ty | 性質、状態、度合い | activity(活動), security(安全), possibility(可能性) |
| -ance / -ence | 行為、状態、性質 | importance(重要性), difference(違い), performance(演奏・業績) |
| -ship | 身分、資格、関係、技能 | friendship(友情), leadership(指導力), citizenship(市民権) |
| -hood | 時代、状態、集団 | childhood(子供時代), neighborhood(近所) |
例文
- Her kindness touched everyone in the room.(彼女の親切さは部屋のすべての人を感動させました。)
- The company announced the development of a new software.(会社は新ソフトウェアの開発を発表しました。)
② 形容詞を作る接尾辞(Adjective Suffixes)
名詞や動詞の後ろにつき、「〜の性質を持つ」「〜できる」「〜に満ちた」という意味の形容詞を作ります。
| 接尾辞 | 主な意味 | 単語の例 |
|---|---|---|
| -able / -ible | 〜できる、〜に適した | washable(洗える), flexible(柔軟な), acceptable(受け入れ可能な) |
| -ful | 〜に満ちた、〜の多い | careful(注意深い), powerful(強力な), beautiful(美しい) |
| -less | 〜のない、〜を欠く | careless(不注意な), helpless(無力な), endless(終わりのない) |
| -al / -ial | 〜の、〜に関する | natural(自然の), official(公式の), cultural(文化的な) |
| -ous / -ious | 〜の特徴がある、〜に満ちた | famous(有名な), dangerous(危険な), curious(好奇心旺盛な) |
| -ive / -ative | 〜の傾向がある、〜の性質の | active(活動的な), creative(創造的な), attractive(魅力的な) |
| -ic / -ical | 〜に関する、〜的な | economic(経済の), historical(歴史に関する), scientific(科学的な) |
| -y | 〜の多い、〜のような | rainy(雨の), sunny(晴れた), tasty(おいしい) |
例文
- This jacket is machine washable.(この上着は洗濯機で洗えます。)
- He is a very creative designer.(彼は非常に創造力豊かなデザイナーです。)
③ 動詞を作る接尾辞(Verb Suffixes)
形容詞や名詞の後ろにつき、「〜にする」「〜になる」「〜化する」という動作・変化を表す動詞を作ります。
| 接尾辞 | 主な意味 | 単語の例 |
|---|---|---|
| -ize / -ise | 〜化する、〜にする | realize(実感する/実現する), modernize(近代化する), organize(組織する) |
| -en | 〜にする、〜になる | shorten(短くする), widen(広げる), sharpen(研ぐ・鋭くする) |
| -ify / -fy | 〜にする、〜化する | simplify(単純化する), clarify(明確にする), purify(浄化する) |
| -ate | 〜させる、〜を行う | activate(作動させる), motivate(動機付ける), communicate(伝達する) |
イギリス英語とアメリカ英語のスペル差(-ize vs. -ise)
アメリカ英語では realize, organize のように
-ize が標準ですが、イギリス英語では realise, organise のように
-ise の綴りも広く使われます。
④ 副詞を作る接尾辞(Adverb Suffixes)
主に形容詞や名詞の後ろにつき、「様態(どのように)」「方向」「観点」を表す副詞を作ります。
| 接尾辞 | 主な意味 | 単語の例 |
|---|---|---|
| -ly | 〜な風に、〜に(様態) | quickly(素早く), slowly(ゆっくりと), easily(簡単に) |
| -ward / -wards | 〜の方へ(方向) | forward(前方へ), backward(後方へ), homeward(家路へ) |
| -wise | 〜に関して、〜の方向に | clockwise(時計回りに), otherwise(さもなければ), business-wise(ビジネス面では) |
【注意】名詞 + -ly は「形容詞」になる
「形容詞 + -ly = 副詞」(例:quick → quickly)ですが、「名詞 +
-ly」は副詞ではなく形容詞になります。
例:friend(名詞)+ -ly =
friendly(形容詞:友好的な)/love(名詞)+ -ly =
lovely(形容詞:可愛らしい)
4. 接尾辞が付くときのスペリング(綴り)変化ルール
単語に接尾辞を連結するとき、語尾のスペルが変化することがあります。代表的な3つのルールを押さえておきましょう。
① 「子音字 + y」は「i」に変える
語尾が「子音字 + y」の単語に接尾辞を付ける場合、y を i に変えます。
- happy + -ness → happiness
- easy + -ly → easily
- beauty + -ful → beautiful
※ただし -ing がつくときは ii
を避けるため y のまま(例:study → studying)。
② 発音しないサイレント「e」は脱落する
末尾の「発音しない e」に母音から始まる接尾辞(-able, -ing, -er など)が付く場合、e を落とします。
- make + -er → maker(× makeer)
- use + -able → usable(× useable)
- write + -ing → writing(× writeing)
※子音で始まる接尾辞の場合は脱落しない(例:care + -ful → careful)。
③ 「短母音 + 子音」は末尾の子音を重ねる
アクセントのある1短母音+1子音で終わる語に母音の接尾辞が付くとき、末尾の子音字を重ねます。
- run + -er → runner(× runer)
- big + -est → biggest(× bigest)
- begin + -ing → beginning(× begining)
5. 接尾辞とアクセント(強音)の移動法則
接尾辞が付くことで、単語のアクセントの位置が変わることがあります。発音・リスニング対策として非常に重要です。
| パターン | 対象となる主な接尾辞 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 直前の音節に アクセントが来る |
-tion, -sion, -ic, -ity |
educate → education science → scientific possible → possibility |
| ② 接尾辞そのものに アクセントが来る |
-ee, -eer, -ese |
employ → employee engine → engineer Japan → Japanese |
| ③ アクセントの位置が 変わらない(中立的) |
-ful, -less, -ness, -ly,
-er |
care → careful happy → happiness teach → teacher |
6. FAQ(よくある質問)
Q1. suffix(接尾辞)と prefix(接頭辞)の違いは何ですか?
A. 単語の前につくか、後ろにつくかの違いです。
前につく prefix(接頭辞:un-, re-, dis- 等)は主に意味(否定や方向)を変えます。一方、後ろにつく
suffix(接尾辞:-tion, -ful, -ly 等)は主に「品詞」を決定・変換する役割を持ちます。
Q2. -er と -or はどう使い分けますか?
A. 語源の違いによりますが、一般的な動詞には -er、ラテン語由来の動詞には -or が多く使われます。
例として teach → teacher、play → player
はゲルマン系由来の一般語です。一方、act → actor、collect → collector、visit → visitor
のように -t や -s で終わるラテン語系動詞には -or がつく傾向があります。
Q3. -able と -ible の違いは何ですか?
A. -able は完全な英単語にそのまま付きやすく、-ible は不完全な語幹に付く傾向があります。
例:wash + able = washable、accept + able = acceptable
のように単語が原型を保ちます。一方、visible や flexible は vis- や
flex- 単体では英単語として独立しません(例外もあります)。
Q4. friendly は副詞ですか?
A. いいえ、friendly は形容詞です。
「形容詞 + ly」は副詞(quick + ly = quickly)になりますが、「名詞 + ly」は形容詞(friend + ly = friendly, love +
ly = lovely, cost + ly = costly)になります。「彼らは親切に接してくれた」を副詞的に表現したい場合は in a friendly way
/ manner と表現します。
Q5. 1つの単語に接尾辞が複数重なることはありますか?
A. はい、2つ以上連続して連結することがよくあります。
例:care(名詞)→ careless(形容詞:-less)→
carelessness(名詞:-ness)
nation(名詞)→ national(形容詞:-al)→
nationalize(動詞:-ize)→ nationalization(名詞:-ation)
Q6. TOEICや長文読解で接尾辞を知っておくメリットは何ですか?
A. 未知の単語の意味・品詞が推測でき、空所補充問題(Part 5)の即解に直結します。
文法的に「形容詞が入る位置」と分かれば、選択肢の中から -ful や -ive
で終わる単語を選ぶだけで数秒で正解を導き出せます。
7. まとめ
Suffix(接尾辞)を効率的にマスターするための重要ポイントを整理します。
- Suffix(接尾辞)は単語の末尾に付いて品詞や文法を変えるパーツ
- 単語の前につく Prefix(接頭辞) は「意味」を変え、Suffix(接尾辞) は「品詞」を変える
- 屈折接尾辞(複数形 -s, 過去形 -ed, 進行形 -ing 等)は品詞を変えず文法上の形を作る(8種類のみ)
- 派生接尾辞(-tion, -ful, -ize, -ly 等)は動詞・名詞・形容詞・副詞を相互に派生させる
- 「名詞 + ly」は形容詞(friendly, lovely, costly)になる点に注意
-tionや-ic,-ityがつくと、直前の母音にアクセントが移動する- 接尾辞のパターンを覚えると、語彙力増強・品詞識別・文法問題の解法スピードが飛躍的に向上する
英単語を1語ずつ丸暗記するのではなく、語根と接尾辞に分解して捉える習慣をつけることで、暗記の負担を減らしながら効率的に語彙を拡張していくことができます。
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