Transitive Verb(他動詞)とは?自動詞との違い・見分け方・使い方を徹底解説

英語の動詞を理解する上で不可欠な「他動詞(transitive verb)」の基本概念、自動詞との違い、目的語(Object)の働き、受動態との関係、前置詞が不要な間違いやすい他動詞まで詳しく解説します。

英語の動詞を学ぶ上で、避けて通れない最重要概念のひとつが transitive verb(他動詞) です。辞書では略して [T]vt. と表記されます。

I reach the station. なのか I reach to the station. なのか、あるいは discuss the problemabout は必要なのかといった疑問は、すべて動詞が他動詞か自動詞かに直結しています。

この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。

  • transitive verb(他動詞)の基本的な定義と意味
  • 自動詞(intransitive verb)との本質的な違いと見分け方
  • 文型(SVO, SVOO, SVOC)における他動詞の役割
  • 受動態(Passive Voice)を作れる理由
  • 日本人が前置詞をつけ間違えやすい代表的な他動詞
  • 自動詞と他動詞の両方の働きを持つ動詞(エルガティブ動詞など)

1. まず押さえる!他動詞(Transitive Verb)とは?

transitive verb(他動詞) とは、動作の影響が「他の対象(=目的語: Object)」に及ぶ動詞のことです。

語源であるラテン語の transitivus は「(向こう側へ)渡る・移行する」という意味を持ちます。主語(S)の動作が、前置詞などを介さず直接目的語(O)へと移行する性質を持っています。

Cambridge Dictionary でも、transitive verb を「直接目的語(direct object)を必要とする動詞」と定義しています。
[Cambridge Dictionary: Verbs: transitive and intransitive]

他動詞の構造図

他動詞は、動作の対象となる「〜を」「〜に」にあたる名詞(目的語)が後ろに直結します。

Transitive Verb(他動詞)の基本構造
├── 主語 (S) + 他動詞 (V) + 目的語 (O: 名詞/代名詞)
│    └── 動作が直接目的語に及ぶ(前置詞は挟まない)
├── 3つの主要な文型で使用される
│    ├── SVO(第3文型):単一の目的語を取る (Monotransitive)
│    ├── SVOO(第4文型):間接・直接の2つの目的語を取る (Ditransitive)
│    └── SVOC(第5文型):目的語と補語を取る (Complex-transitive)
└── 受動態(be + 過去分詞)を作ることができる

自動詞と他動詞の比較

分類 辞書表記 目的語(O)の要否 例文
他動詞 (Transitive) [T] / vt. 必須(前置詞なしで直接取る) She bought a book.(彼女は本を買った)
自動詞 (Intransitive) [I] / vi. 不要(名詞を置くには前置詞が必要) She smiled.(彼女は微笑んだ)

2. 関連語:「Transitive」と「Intransitive」の違い

動詞の性質を表す文法用語を整理します。接頭辞 in-(否定)が付くことで「他動性がない=自動詞」となります。

用語 品詞 意味・役割
transitive 形容詞 他動詞の、他動性のある(目的語を必要とする)
intransitive 形容詞 自動詞の、自動性のある(目的語を必要としない)
transitivity 名詞 他動性(言語学で目的語を取る性質のこと)

発音

  • transitive:トランスィティヴ /ˈtræn.zə.tɪv/
  • intransitive:イントランスィティヴ /ɪnˈtræn.zə.tɪv/
  • transitivity:トランスィティヴィティ /ˌtræn.zəˈtɪv.ə.ti/

見分け方の黄金ルール

動詞の後ろに 「何を?(What?)」「誰を?(Whom?)」 と問いかけて、自然に対象(答え)が必要になる動詞が他動詞です。

I made... → 「何を?」が必要 → a cake(他動詞)
The baby cried... → 動作単体で完結。「何を?」は不要(自動詞)

3. 文型から見る他動詞の3つのタイプ

他動詞は、英語の5文型のうち 第3文型 (SVO)・第4文型 (SVOO)・第5文型 (SVOC) で中心的な役割を果たします。

① SVO(第3文型):単一他動詞(Monotransitive Verb)

1つの目的語(O)を直接従える、最も標準的な他動詞の形です。

主語 (S) 他動詞 (V) 目的語 (O) 日本語訳
They built a bridge. 彼らは橋を建設した。
He plays the guitar. 彼はギターを弾く。
I need your help. 私はあなたの助けを必要としている。

② SVOO(第4文型):二重他動詞・授与動詞(Ditransitive Verb)

「〜に(間接目的語: IO)」と「〜を(直接目的語: DO)」の 2つの目的語 を取る他動詞です。相手に何かを「与える」「教える」「送る」といった意味を持つ動詞(give, send, show, buy, teach など)が該当します。

主語 (S) 他動詞 (V) 間接目的語 (IO) 直接目的語 (DO) 書き換え (SVO + 前置詞)
She gave me a present. gave a present to me
He bought his son a watch. bought a watch for his son

③ SVOC(第5文型):複合他動詞(Complex-transitive Verb)

目的語(O)の後に、その目的語の状態や動作を説明する 補語(C: Complement) を必要とする他動詞です。「O = C」の関係(主語と述語の関係)が成り立ちます(make, call, find, keep, elect など)。

主語 (S) 他動詞 (V) 目的語 (O) 補語 (C) OとCの関係
The news made him happy. He was happy.
They call the dog Max. The dog is Max.

4. 他動詞と受動態(Passive Voice)の深い関係

受動態(〜される)を作れるかどうかは、その動詞が他動詞であるかどうかが基本的な基準となります。

受動態とは、「能動態の目的語(O)を主語(S)の位置に移動させる構文」 です。したがって、目的語を持たない自動詞は原則として受動態を作ることができません。

【他動詞の受動態化】
・能動態 (SVO):Shakespeare wrote this play.
・受動態 (S be V-ed):This play was written by Shakespeare.
※目的語(this play)が存在するため、それを主語にして受動態を作ることができます。
自動詞を受動態にできない例:
An accident was happened.(happen は目的語を取らない自動詞なので受動態不可)
An accident happened.(事故が起きた。)

※注意(受動態にできない他動詞):
他動詞であっても、状態・所有・関係を表す動詞(have, resemble, fit, suit, lack, cost など)は原則として受動態を作ることができません(例:⭕ He has a car. ➔ ❌ A car is had by him.)。

5. 【頻出】前置詞をつけてしまいがちな間違いやすい他動詞

日本語の助詞「〜について」「〜に」に引きずられて、不要な前置詞をつけてしまうミスが非常に多い代表的な他動詞をまとめました。

他動詞 よくある誤り(❌) 正しい用例(⭕)
discuss
(〜について話し合う)
discuss about the issue discuss the issue
marry
(〜と結婚する)
marry with him marry him
reach
(〜に到着する)
reach to / at the station reach the station
enter
(〜に入る)
enter into the room enter the room(※事業等への参入は enter into あり)
attend
(〜に出席する)
attend to / at the meeting attend the meeting(※「対処する・専念する」の意味では attend to あり)
mention
(〜について言及する)
mention about the plan mention the plan
resemble
(〜に似ている)
resemble to / with her father resemble her father
approach
(〜に近づく)
approach to the airport approach the airport

これらはすべて他動詞であるため、後ろに直接名詞(目的語)を置きます。TOEICや大学入試でも頻出のポイントです。

6. 自動詞と他動詞のペア・両用動詞

英語の動詞には、形が似ている「自他のペア」や、1つの単語で自動詞・他動詞の両方の働きを持つ動詞が多く存在します。

① 混同しやすい「自・他」の対立ペア

自動詞(目的語なし) 意味・活用 他動詞(目的語あり) 意味・活用
rise 上がる(rise-rose-risen) raise 〜を上げる(raise-raised-raised)
lie 横たわる(lie-lay-lain) lay 〜を横たえる・置く(lay-laid-laid)
sit 座る(sit-sat-sat) seat 〜を着席させる(seat-seated-seated)
fall 落ちる(fall-fell-fallen) fell 〜を切り倒す(fell-felled-felled)

② 自動詞・他動詞のどちらにもなる動詞(Ergative Verbs / 能格動詞)

同じ動詞が、主語自身の変化を表す自動詞としても、対象を変化させる他動詞としても使われるパターンです。

動詞 自動詞としての用例 [I] 他動詞としての用例 [T]
open The door opened.(ドアが開いた) He opened the door.(彼がドアを開けた)
start The concert started at 7.(開演した) She started the engine.(エンジンをかけた)
change His attitude changed.(態度が変わった) This will change your life.(人生を変える)

7. 知っておくと役立つ他動詞の豆知識

① 群動詞(Phrasal Verbs)による他動詞化

本来は自動詞である動詞も、前置詞や副詞とセットになることで句他動詞(Phrasal Transitive Verb)として目的語を取ることができます。

look at him(彼を見る)
listen to the music(音楽を聴く)
rely on data(データに依存する)

② 辞書での記号の見方

英語辞書によって他動詞の表示スタイルが異なります。

  • 現代の学習辞書(OALD, LDOCE, Cambridge等): [T] (Transitive) / [I] (Intransitive)
  • 伝統的英和辞書: vt. (verb transitive) / vi. (verb intransitive)

新しい単語を引く際は、意味だけでなくこの記号を必ず確認する習慣をつけましょう。

③ 同族目的語(Cognate Object)

通常は自動詞として使う動詞(live, die, smile, dream など)が、その動詞と同系統の名詞を目的語に取って一時的に他動詞として機能することがあります。
例:She lived a happy life.(彼女は幸せな生涯を送った)
例:He died a hero's death.(彼は英雄的な死を遂げた)

④ 中間態(Middle Voice)

本来は他動詞として使われる動詞が、目的語を置かずに能動態の形のままで「〜される」という受動的な性質・特徴を表す構文(自動詞的用法)です。
This book sells well.(この本はよく売れる)
The cloth washes easily.(この生地は簡単に洗える)

8. FAQ(よくある質問)

Q1. 他動詞と自動詞の一番簡単な見分け方は?

A. 動詞の直後に「何を?」「誰を?」に答える名詞が直接置けるかを確認します。
直後に前置詞なしで名詞を置けるものが他動詞(have a pen, reach Tokyo)、前置詞が必要なものが自動詞(arrive in Tokyo, look at it)です。

Q2. 「discuss about」が間違いなのはなぜですか?

A. discuss 自体に「〜について話し合う」という他動詞の意味が含まれているためです。
about を付けると意味が重複してしまいます。同様に marry with, mention about なども前置詞は不要です。

Q3. すべての動詞は自動詞か他動詞のどちらか一方に決まっていますか?

A. いいえ。英語の動詞の大半は、文脈によって自動詞にも他動詞にもなります。
例えば run は「走る(自動詞)」だけでなく、「〜を経営する(他動詞: run a company)」の意味でも使われます。

Q4. 自動詞を受動態にすることは絶対にできませんか?

A. 単独の自動詞はできませんが、「自動詞+前置詞」のひとかたまりなら受動態にできます。
例:He laughed at me.I was laughed at by him.(群動詞全体をひとつの他動詞とみなすためです)

Q5. raise と rise の違いは何ですか?

A. raise は他動詞(〜を上げる)、rise は自動詞(上がる)です。
「手を上げる」は raise your hand、「太陽が昇る」は The sun rises と使い分けます。

Q6. 辞書の [T] と vt. は同じ意味ですか?

A. はい、まったく同じ意味です。
どちらも「他動詞(transitive verb / verb transitive)」を表す略称表記です。

9. まとめ

他動詞(Transitive Verb)を正しく使いこなすための重要ポイントを整理します。

  1. 他動詞は、直後に目的語(O:〜を、〜に)を直接取る動詞
  2. 前置詞を挟まずに名詞が直結するのが最大の特徴
  3. SVO(第3文型)、SVOO(第4文型)、SVOC(第5文型) を構成する
  4. 目的語があるため、受動態(be + 過去分詞)を作ることができる
  5. discuss, marry, reach, mention は不要な前置詞をつけないよう注意
  6. raise / riselay / lie など、自他の対立ペアは活用形を含めて暗記する
  7. 多くの動詞は文脈に応じて自動詞・他動詞の両方の働きを持つ

動詞を学習する際は、単語の日本語訳だけでなく「他動詞なのか(目的語を直接取るのか)」を常に意識することが、前置詞のミスを減らし、正しい英文を組み立てる一番の近道です。

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