英語の文を組み立てるうえで最も重要な要素の1つが verb phrase(動詞句 / 略称: VP) です。
「動詞句」という用語は、文法理論や学習書によって指す範囲が少し異なることがあり、英語学習者がつまずきやすいポイントの1つです。
この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。
- verb phrase の基本的な定義と2つの捉え方(広義と狭義)
- 文法構造としての動詞句(動詞+目的語・補語・修飾語)
- 助動詞を伴う複合動詞形(
has been workingなど) - 句動詞(Phrasal verb:
look for,give upなど)との違い - 定形動詞句(Finite VP)と不定形動詞句(Non-finite VP)
- 英文解釈・リーディングで動詞句を見抜くコツ
1. まず押さえる!Verb Phrase(動詞句)とは?
verb phrase(動詞句) とは、中心となる動詞(主要部:head
verb)と、その動詞に伴う助動詞・目的語・補語・修飾語などが一体となった語のまとまりのことです。
[Cambridge Dictionary: Verb phrases]
文法書や辞書によって「動詞句」の定義には大きく分けて2つの視点があります。
- ① 生成文法・統語論の視点(広義): 主語以外の述語部分全体(動詞+目的語+副詞句など)を動詞句(VP)とする。
- ② 伝統文法・実用英語の視点(狭義): 助動詞+本動詞のまとまり(
is reading,have finishedなど)や連語(句動詞)を指す。
Verb Phrase の全体像
英語の文(Clause)は、大きく「主語(NP: 名詞句)」と「述部(VP: 動詞句)」に分かれます。
├── Noun Phrase(主語: Subject)
└── Verb Phrase(動詞句: VP / 述部)
├── Auxiliary Verbs(助動詞: have / be / will / can など)
├── Main Verb(本動詞: read, write, play など)
├── Objects / Complements(目的語・補語: a book, happy など)
└── Adverbials / Modifiers(修飾語・副詞句: in the library など)
代表例で比較
| 例文 | 動詞句(VP)の範囲 | 構成要素 |
|---|---|---|
| She smiled. | smiled |
自動詞のみ |
| He reads books. | reads books |
他動詞 + 目的語 |
| They are watching TV. | are watching TV |
助動詞 + 本動詞 + 目的語 |
| I have lived here for 5 years. | have lived here for 5 years |
助動詞 + 本動詞 + 副詞 + 前置詞句 |
2. 動詞句を構成する主な要素
動詞句は、動詞単体だけでなく、時制・相・態を表す助動詞や、動詞の意味を完結させるための補部(complements)から構成されます。
| 要素名 | 役割 | 具体例(下線部) |
|---|---|---|
| Main Verb(本動詞) | 動詞句の意味の中心(必須) | She plays tennis. |
| Modal Verb(法助動詞) | 話し手の推量・義務・能力などを付加 | You must see this movie. |
| Primary Auxiliary(助動詞) | 完了形(have)、進行形・受動態(be)を作る | They have completed the project. |
| Direct/Indirect Object(目的語) | 他動詞の動作対象 | He bought a new car. |
| Complement(補語) | 主語や目的語の状態を説明 | She became a doctor. |
| Adverbial(修飾語 / 付加詞) | 時・場所・様態・頻度などを補足 | We walked slowly along the beach. |
助動詞の重なり順序のルール
英語の動詞句で複数の助動詞が重なる場合、その語順は厳格に決まっています。
例: The road might have been being repaired.
(その道路は修理中だったかもしれない。)
3. 動詞句の種類と分類
動詞句は、文法的な働きや形態によっていくつかのタイプに分類されます。
① 定形動詞句(Finite VP)と不定形動詞句(Non-finite VP)
動詞句が時制(現在形・過去形)や主語の人称・数の一致を受けているかどうかによる分類です。
| 分類 | 特徴 | 例文 |
|---|---|---|
| Finite VP (定形動詞句) |
時制(現在・過去)を持ち、文の主動詞となる | He speaks Japanese fluently. |
| Non-finite VP (不定形動詞句) |
to不定詞、動名詞、分詞などで構成され時制を持たない | I want to learn Japanese. Having finished lunch, he left. |
② 混同注意!Verb Phrase(動詞句)と Phrasal Verb(句動詞)の違い
名前が似ているためよく混同されますが、文法上の概念が異なります。
- Verb Phrase(動詞句): 統語論上の単位。動詞を中心に目的語や助動詞まで含んだ「句(Phrase)」全体のこと。
- Phrasal Verb(句動詞 / 群動詞):
「動詞+不変化詞(副詞・前置詞)」がセットになって1つの動詞のように機能する語彙的イディオム(例:
turn on,give up,look after)。
| 用語 | 説明 | 具体例 |
|---|---|---|
| Phrasal Verb(句動詞) | 熟語としての動詞単位 | give up(諦める), look for(探す) |
| Verb Phrase(動詞句) | 句動詞や目的語を含んだ文構造上のまとまり | She [gave up her dream]VP. |
4. 文型パターンごとの動詞句の構造
英語の基本5文型(SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC)における動詞句(VP)の内部構造を見てみましょう。主語(S)以外の部分がすべてVPに該当します。
| 文型 | 文の構造(S + [ VP ]) | 動詞句(VP)の内部構成 |
|---|---|---|
| 第1文型 (SV) | The birds [sing beautifully]. | 自動詞 + 副詞(修飾語) |
| 第2文型 (SVC) | This soup [tastes delicious]. | 連結動詞 + 形容詞(主格補語) |
| 第3文型 (SVO) | Alice [bought a new laptop]. | 他動詞 + 名詞句(直接目的語) |
| 第4文型 (SVOO) | My father [gave me a watch]. | 授与動詞 + 間接目的語 + 直接目的語 |
| 第5文型 (SVOC) | They [elected him president]. | 選出・呼称動詞 + 目的語 + 目的格補語 |
5. 動詞句(VP)を見抜くための文法テスト
言語学では、ある単語の並びがひとまとまりの句(Constituent)であることを証明するために、いくつかの置き換えテストを行います。
① 代動詞 do so による置き換え
動詞句全体は do so や do it でまるごと置き換えることができます。
※「did so」が動詞句「cleaned his room yesterday」全体を代替しています。
② 省略(VP Ellipsis)
助動詞を残して、動詞句全体を省略することができます。
※助動詞 can の後ろの動詞句 [speak French] が省略されています。
③ 前置(VP Fronting)
強調のために動詞句全体を文頭に移動させることができます。
④ 等位接続(Coordination)
動詞句同士は and や but で並列に結ぶことができます。
6. FAQ(よくある質問)
Q1. 動詞(Verb)と動詞句(Verb Phrase)の違いは何ですか?
A. 動詞は単一の「品詞」であり、動詞句は動詞を中心とした「語のまとまり(句)」です。
例えば play は動詞ですが、is playing soccer in the park は動詞を中心とした動詞句です。
Q2. 1語だけでも「動詞句」と呼べますか?
A. はい、現代文法理論では1語でも動詞句(VP)とみなします。
例えば Jesus wept. の wept は、単独で動詞句(VP)として機能しています。
Q3. Phrasal verb(句動詞)との使い分けはどうすればいいですか?
A. 語彙・熟語の話をしている時は「Phrasal verb」、文の構造の話をしている時は「Verb phrase」と使い分けます。
take off や give up などの熟語を学ぶ文脈では「句動詞(Phrasal verb)」と呼びます。
Q4. 述部(Predicate)と動詞句(VP)は何が違うのですか?
A. 現代統語論では、文(Clause)における述部全体を動詞句(VP)として同義に扱うのが一般的です。
主語(Subject)が「誰が/何が」を示すのに対し、述部・動詞句(VP)は「何をする/どうである」という動作・状態全体を表します。
7. まとめ
Verb Phrase(動詞句)を理解するための重要ポイントを整理します。
- 動詞句(VP)は、動詞(Head)を中心とした語のまとまり
- 広義の動詞句は、主語を除く「述語部分全体」(動詞+目的語+補語+修飾語)を指す
- 狭義には、助動詞と本動詞の組み合わせ(
have seen,will goなど)を指すこともある - 熟語である句動詞(Phrasal Verb:
look upなど)とは区別して理解する - 文構造において、動詞句は
do soへの置き換えや省略(Ellipsis)が可能
動詞句(VP)の範囲を正しく捉えられるようになると、長い英文でも「どこからどこまでが主語で、どこからが動詞のまとまり(述部)なのか」を瞬時に見抜くことができるようになります。
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