Voice(態:能動態・受動態)とは?作り方・時制変化・使い分けを徹底解説

英文法における「voice(態)」の概念から、active voice(能動態)と passive voice(受動態)の構造、時制・助動詞別の変化一覧、by が省略されるケース、実践的な使い分けまで詳しく解説します。

英語の文構造を学ぶ上で欠かせない文法概念の1つが voice(態:たい) です。

主語が自ら動作を行う「active voice(能動態)」と、主語が動作を受ける立場になる「passive voice(受動態・受け身)」の2種類があり、同じ出来事でもどちらの視点から述べるかによって文の形が変わります。

この記事では、次のポイントをわかりやすく整理します。

  • voice(態)の基本的な意味と全体像
  • 能動態(active voice)と受動態(passive voice)の違い
  • 受動態の基本構造「be動詞 + 過去分詞」と変換手順
  • 時制別・助動詞別の受動態の作り方一覧
  • 第4文型(SVOO)・第5文型(SVOC)・群動詞の受動態
  • 「by 〜」が省略される場面と、by 以外の前置詞を使う受動態
  • 能動態と受動態の自然な使い分け(視点の置き方)

1. まず押さえる!Voice(態)とは「動作の主客関係」を表す文法形式

voice(態) とは、主語と動詞が表す動作との間の関係(主語が動作を「する側」なのか「される側」なのか)を示す動詞の文法的な形式です。

Cambridge Dictionary でも、voice を「動詞と主語・目的語との文法的な関係性(主語が動作を行うか受けるか)を示す形式」と説明しています。
[Cambridge Dictionary: Passive voice]

Voice の全体像

英語の態(voice)は、主に次の2つに分類されます。

Voice(態)
├── Active voice(能動態:主語が動作を「する」視点)
│    └── 主語(動作主) + 動詞 + 目的語(動作の受け手)
└── Passive voice(受動態:主語が動作を「される」視点)
    └── 主語(動作の受け手) + be動詞 + 過去分詞(+ by 動作主)

代表例で比較

文の種類 例文 主語の立場 焦点(フォーカス)
Active voice
(能動態)
Shakespeare wrote this play.
(シェイクスピアがこの戯曲を書いた。)
動作をする側
(Shakespeare)
誰が書いたか(動作主)
Passive voice
(受動態)
This play was written by Shakespeare.
(この戯曲はシェイクスピアによって書かれた。)
動作を受ける側
(This play)
何が書かれたか(作品)

2. 能動態(Active Voice)と受動態(Passive Voice)の基本構造

能動態の文を受動態に書き換えるときの基本的な手順とルールを確認しましょう。

① 能動態(Active Voice)の構造

主語が自ら動作を行う文です。日常会話やビジネス文書でも最も基本となる形です。

[主語(S: 動作主)] + [動詞(V)] + [目的語(O: 対象)]
  • The chef prepares delicious meals.(そのシェフはおいしい料理を調理する。)
  • Many people use this app.(多くの人がこのアプリを使っている。)

② 受動態(Passive Voice)の構造

能動態の目的語(O)を主語(S)の位置に置き、「be動詞 + 過去分詞(past participle: p.p.)」で表します。

[新主語(動作の対象)] + [be動詞(時制・主語に合わせる)] + [過去分詞] + (by 動作主)
  • Delicious meals are prepared by the chef.(おいしい料理がシェフによって調理される。)
  • This app is used by many people.(このアプリは多くの人に使われている。)

受動態への書き換え 3つのステップ

ステップ1: 能動態の「目的語(O)」を文頭に出して受動態の主語にする。
ステップ2: 動詞を「be動詞 + 過去分詞」に変える(be動詞は新しい主語の単数・複数と時制に一致させる)。
ステップ3: 能動態の主語は文末に「by + 目的格(代名詞の場合は me, him, them など)」として置く(不要な場合は省略)。
注意:受動態にできる動詞(他動詞と自動詞)
受動態は「目的語(O)を主語に持ち上げる」文法であるため、目的語をとる「他動詞(transitive verb)」でのみ作ることができます。目的語をとらない「自動詞(intransitive verb)」や、状態・関係を表す一部の他動詞(have「持っている」、resemble「似ている」、fit「サイズが合う」、suit「似合う」など)は受動態にできません。

3. 時制・助動詞別の受動態の作り方一覧

受動態の時制やニュアンスは、すべて be動詞の形 を変化させることで表現します。過去分詞の部分は常に固定です。

時制・形式 能動態(Active) 受動態(Passive: be + 過去分詞)
現在形 They clean the room. The room is cleaned (by them).
過去形 They cleaned the room. The room was cleaned (by them).
未来形 They will clean the room. The room will be cleaned (by them).
現在進行形 They are cleaning the room. The room is being cleaned (by them).
過去進行形 They were cleaning the room. The room was being cleaned (by them).
現在完了形 They have cleaned the room. The room has been cleaned (by them).
過去完了形 They had cleaned the room. The room had been cleaned (by them).
助動詞 They must clean the room. The room must be cleaned (by them).

間違いやすい2大パターン

  • 進行形の受動態「be + being + 過去分詞」:
    「今まさに〜されている最中だ」を表します。being を落として The road is repaired. とすると現在形(状態や習慣)になってしまうため、進行中の動作を表す場合は The road is being repaired.(道路が舗装工事中だ)とします。
  • 完了形の受動態「have / has + been + 過去分詞」:
    「すでに〜されてしまった/〜されたことがある」を表します。been を忘れると能動態(The report has written ❌)になってしまうので注意しましょう。

4. 文型別・特殊な受動態のパターン

第4文型(SVOO)、第5文型(SVOC)、群動詞(句動詞)など、少し複雑な文型の受動態の作り方を確認します。

① 第4文型(SVOO)の受動態

第4文型には目的語が2つ(間接目的語 O1「人」・直接目的語 O2「物」)あるため、原理上は2通りの受動態が作れます。

[能動態] She gave me a present.

主語にする対象 受動態の文
人(間接目的語) I was given a present by her.(私は彼女からプレゼントをもらった。)
物(直接目的語) A present was given to me by her.(プレゼントが彼女から私に贈られた。)

※「物」を主語にする場合、人の前には動詞に応じて tofor などの前置詞を補います(例:A nice meal was cooked for us.)。
なお、buymake, cook など「for + 人」をとる動詞は、原則として「人」を主語にした受動態(× We were cooked a nice meal.)は作れず、「物」を主語にする形のみとなります。

② 第5文型(SVOC)の受動態

目的語(O)を主語に持ち上げ、補語(C)は動詞の後ろにそのまま残します(受動態になると SVC の構造になります)。

[能動態] They elected him president. (S V O C)
[受動態] He was elected president (by them). (S V C)

使役動詞・知覚動詞の受動態(原形不定詞 → to不定詞)

能動態で原形不定詞(toのない動詞の原形)を補語にとる使役動詞 make や知覚動詞 see, hear などは、受動態にすると to不定詞 を用います(能動態で現れなかった to が必要になります)。
They made him clean the room.He was made to clean the room.(彼は部屋を掃除させられた。)
I saw him cross the street.He was seen to cross the street.(彼が通りを渡るのが目撃された。)

③ 群動詞(句動詞:動詞+前置詞/副詞)の受動態

look afterlaugh attake care of などの群動詞は、1つの動詞のかたまりとして扱います。前置詞を落とさないように注意が必要です。

[能動態] A car ran over the cat.
[受動態] The cat was run over by a car.(猫が車に轢かれた。)

overby のように前置詞が2つ連続して並びますが、文法的に正しい形です。

5. 「by 〜」の省略と、by 以外の前置詞を使う受動態

受動態の文では、必ずしも「by + 動作主」を書くわけではありません。むしろ実際の英語では by 以下が省略されるケースが大半 です。

①「by 〜」が省略される代表的な場面

  • 動作主が「一般の人々」であるとき:
    English is spoken in many countries (by people).(英語は多くの国で話されている。)
  • 動作主が不明・言えないとき:
    My wallet was stolen on the train.(電車で財布を盗まれた。)
  • 文脈から動作主が自明であるとき:
    The suspect was arrested yesterday (by the police).(容疑者は昨日逮捕された。)
  • 動作主をあえて伏せたいとき(責任回避など):
    Mistakes were made.(いくつかのミスが生じた。)

② by 以外の前置詞を使う慣用的な受動態

感情、心理状態、素材、原因などを表す場合、動作主の by ではなく、with, at, in, of, about などの前置詞が用いられます。これらは熟語・形容詞的な表現として定着しています。

表現 使用する前置詞 意味
be surprised at / by at / by 〜に驚く
be interested in in 〜に興味・関心がある
be covered with / in with / in 〜で覆われている
be made of / from of(材質)/ from(原料) 〜で作られている
be satisfied with with 〜に満足している
be known to / for / as to(人に)/ for(理由)/ as(身分) 〜に知られている / 〜で有名だ / 〜として知られている
be worried about about 〜について心配している

6. 能動態と受動態の使い分け(どちらを使うべきか?)

文法的に能動態から受動態への書き換えができても、実際の文脈においてどちらが適切かは「何を文の主役(トピック)にしたいか」によって決まります。

能動態(Active)が好まれる場面

「誰がその行動をとったか」を明確に伝えたいとき

  • 簡潔で力強く、直接的なメッセージを届けるビジネス文書や日常会話
  • 主語が主体的に行動していることを強調したいとき
  • 例:Our team developed the new software.(私たちのチームが新ソフトウェアを開発しました。)

受動態(Passive)が好まれる場面

「動作の対象」や「起きた結果」に焦点を当てたいとき

  • 学術論文・実験レポート・ニュース報道(客観的・中立的なトーンを保つ)
  • 動作主が重要でない、または不明なとき
  • 例:The experiment was conducted under strict conditions.(実験は厳格な条件下で実施された。)

7. 知っておくと役立つ態の豆知識

① get を使った受動態(get + 過去分詞)

日常会話では be の代わりに get を使った受動態(get hurt, get married, get fired など)が頻繁に使われます。

be が単なる「状態・受身」を表すのに対し、get は「予期せぬ変化」や「動作の発生」というニュアンスが強くなります(例:He got injured in the game.)。

② 能動態の形で「受動」の意味を持つ動詞

一部の動詞は、能動態の形のままで「〜と読める」「〜な感触がする」といった受動的な意味を表します(中間構文・能動受動態)。

  • This book sells well.(この本はよく売れる。)
  • The sign reads "No Parking".(看板には「駐車禁止」と書かれている。)
  • This cloth feels soft.(この布地は柔らかい手触りがする。)

③ It is said that 〜(伝聞表現の受動態)

People say that he is a genius. は、形式主語を用いて It is said that he is a genius. と受動態にできます。さらに that 節の主語を文頭に出して He is said to be a genius. と書き換えることもできます。

④ 日本語の「迷惑の受け身」との違い

日本語の「雨に降られた」「弟に泣かれた」のような自動詞を用いた迷惑の受身は、英語には存在しません。英語では I was caught in the rain.My little brother cried and annoyed me. のように別の構文で表現します。

8. FAQ(よくある質問)

Q1. voice(態)とは何のことですか?

A. 主語が動作を「する」側なのか、「される」側なのかを表す動詞の文法形式です。
「する」視点の文を active voice(能動態)、「される」視点の文を passive voice(受動態)と呼びます。

Q2. 受動態はどのような形で表しますか?

A. 基本の公式は「be動詞 + 過去分詞(past participle)」です。
主語の単数・複数や時制(現在・過去・未来など)に合わせて be動詞(am, is, are, was, were, been, being)を変化させます。

Q3. すべての動詞を受動態にできますか?

A. いいえ。受動態にできるのは原則として「他動詞(目的語をとる動詞)」のみです。
目的語をとらない自動詞(go, arrive, happen など)や、have(持つ)、resemble(似ている)などの一部の状態動詞は受動態にできません。

Q4. 受動態の文に「by 〜」は必ず必要ですか?

A. いいえ。実際の英語ではむしろ省略されることのほうが多いです。
動作主が一般の人々であるとき、誰がやったか不明・自明なとき、動作主を伏せたいときなどは「by 〜」を省略します。

Q5. 「be interested in」はなぜ by ではないのですか?

A. 動作ではなく「心理的な感情・関心がある状態」を表すためです。
感情や心理状態、物質で覆われている状態などを表す受動態では、by ではなく in, at, with, of などの前置詞が慣用的に使われます。

Q6. 英語のライティングでは能動態と受動態のどちらが良いですか?

A. 一般的には能動態が簡潔で力強く推奨されますが、文脈によります。
動作の「結果」や「受け手」を主役にしたい場合、学術論文などで客観性を出したい場合には受動態が最適です。

9. まとめ

Voice(態:能動態・受動態)を理解するための重要ポイントを整理します。

  1. Voice(態)は、主語と動作の主客関係を表す文法概念
  2. Active voice(能動態): 主語が動作を行う(主語 + 動詞 + 目的語)
  3. Passive voice(受動態): 主語が動作を受ける(主語 + be動詞 + 過去分詞)
  4. 受動態の時制変化は、be動詞の形を変える(is being, has been, will be など)
  5. 受動態を作れるのは、原則として目的語をとる「他動詞」のみ
  6. 第4文型(SVOO)は2通り、第5文型(SVOC)は補語(C)を残して受動態にする
  7. 群動詞(look after など)は1つのかたまりとして受動態にする
  8. 「by 〜」は動作主が不明・自明・一般人の場合には省略するのが普通
  9. 感情や状態を表す受動態では by 以外の前置詞(in, at, with 等) を使う
  10. 「誰がやったか」を伝えたいときは能動態、「何が起きたか/何がされたか」に焦点を当てるときは受動態を選ぶ

受動態は単なる「書き換えの公式」として覚えるのではなく、「なぜその出来事を受動態(または能動態)で表現するのか」という視点や意図に着目して使い分けられるようになると、英語の表現力と読解力が格段に向上します。

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